Archive for category 日本のオーディオ

Date: 8月 19th, 2025
Cate: 名器, 日本のオーディオ

ヤマハ NS10Mのこと(その2)

私ぐらいの世代だと、NS10Mの前に、ヤマハにはNS451があったことを思い出す。

NS451は、私がオーディオに興味を持った1976年には、すでに登場していた。
20cm口径のウーファーとコーンとドームを組み合わせた複合トゥイーターの2ウェイのスピーカーシステム。

NS451の広告を見て、まず思ったのは、ウーファーのコーン紙が貼り合わせてあったことだった。
最初は、なぜこういうコーンの作り方をしているのだろうかだった。
一枚の紙をコーン(円錐形)にしているかのように貼り合わせてある。
他のスピーカーのウーファーには、そういうモノはなかっただけに、
余計に不思議に思えた。

カタログや広告を読んでいくと、いわゆるプレス紙ではなく、
シート状の和紙に近い紙を使っているためだとわかる。

NS451のウーファーは白かった。NS10Mのウーファーも白い。同じ製法によるもので、コーン紙はプレスでなく貼り合わせてある。

NS451は、当時気にはなっていたが、聴いていない。
瀬川先生は、ステレオサウンド 43号で、こう評価されている。
     *
 内外の目ぼしい製品を殆ど聴いてみて、私自身がローコストスピーカーの限界に一線を引くとしたら(サブ的に気軽に鳴らすのは別にして)、このNS451をボーダーラインに置く。これの成功以後、各社がこのランクに狙いをつけて新製品をぶつけるが、この価格では、NS451の生き生きと弾むバランスの良い音を越える製品は難しいと思う。良いアンプと良いプログラムソースで鳴らしてみると、いっそう真価がわかる。
     *
同じ43号で、菅野先生もベストバイとして選ばれている。
     *
 低価格スピーカーとして、実に巧みな音のまとめられ方をしたシステムである。本当は、こういうスピーカーをつくるのは、高級スピーカーに匹敵する難しさがある。ヤマハらしい、音のノウハウの蓄積がよく出た製品といえる。よくコントロールされた、それらしさの再生では実に優秀なスピーカーシステムだ。音色的に、アメリカ製のスピーカーのような力強さがあって、ジャズの積極的な表現がよく生きる。
     *
《生き生きと弾むバランスの良い音》、
《アメリカ製のスピーカーのような力強さがあって、ジャズの積極的な表現がよく生きる》、
白いコーン紙のウーファーの採用がこのあたりに活きていると思いながら、読んでいたことを思い出すし、
NS10Mの良さも、NS451譲りの白いウーファーあってのことだろうから、
プレス紙のウーファーからは、決して得られないはず。

Date: 8月 18th, 2025
Cate: 名器, 日本のオーディオ

ヤマハ NS10Mのこと(その1)

いつぐらいからだろうか、ヤマハの小型スピーカーのNS10Mが、名機と言われるようになったのは。

NS10Mは1978年ごろに登場している。私が15歳のころだ。
そのころの私にとって、ヤマハのスピーカーシステムといえば、
やはりNS1000Mがまっさきに頭に浮かんでいたし、その次にNS1000Mとは対称的な性格のNS690IIだった。

どちらも、いわゆるブックシェルフ型。そこに小型ながらも、NS1000Mと同じく型番末尾に「M」がつくモデルの登場。

関心が全くなかったわけではないが、早く音を聴いてみたいという存在ではなかった。

NS10Mの音は、いろんなところで聴いているが、
ステレオサウンドの試聴室で聴いてただろうか、と振り返ってみると、
ぼんやりした記憶しかないほど、印象はかなり薄い。

このNS10Mがスタジオでモニターとして使われるようになったのは、いつからだろうか。
同時に、トゥイーターのレベルコントロールを持たないNS10Mだから、
ティシュペーパーをトゥイーター前面に貼ってという使い方も伝わってきた。

この話を聞いて、そこまでして使うスピーカーだろうか──、
私の最初の感想だった。
その頃は、オーラトーンの5Cもスタジオで使われていたので、そんな感じでのNS10Mなんだろう、とも思っていた。

けれどNS10Mの知名度は高くなっていき、名機とも呼ばれるようになった。
悪いスピーカーとは言わないけれど、名機とまで呼ばれると、
どうして? と疑問しか私にはない。

NS10Mも、かなり前に製造中止になっている。
それでも需要がかなりあるようで、
NS10Mとそっくりなスピーカーも存在している。

以前別項で、ガウス(Gauss)の名前が復活していると書いた。
このGauss 7というスピーカーシステムを出しているAVANTONE PROから、CLA10 Passiveという型番で市販されている。

そっくりである。
昔は海外製にそっくりの国産オーディオ機器が、いくつもあった。
そんな時代を知っている者にとっては、CLA10の存在は、
時代が変ったことを感じさせるし、
NS10Mを名機という人たちは、やっぱり名機なんだよ、となるだろうが、
私のような者にとっては、疑問符がついてまわる。

Date: 8月 15th, 2025
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ(DIASOULのこと・その5)

このことはダイヤソウルだけに言えることではなく、ごく小規模のオーディオメーカーほぼ全てに関係してくることだ。

ダイヤソウルの製品は修理ができるのか、である。
ぴあ分室のDIASOUL.AIのウーファー用のアンプとシステム全体の専用ネットワークは、
すでに書いているように大阪のMさんによって置き換えられている。
より良いモノに置き換わっているともいえる。

オリジナル至上主義の方からすれば、この時点でけしからん、となるだろうが、
ダイヤソウルという会社もなく、設計者も亡くなられているのだから、
内蔵アンプ、専用ネットワーク、どちらも不具合が生じていたのだから、
私もMさんと同じように何かに置き換える。

エレクトロニクス系は、まだいい。
けれどスピーカーユニットが破損したら、どうするのか。
同じようなスピーカーユニットが手に入るだろうか。

修理不能となる可能性が高い。
このようなことは、ダイヤソウルと同じ規模のオーディオメーカーにもいえる。

メーカーはあっても、古い機器となると修理を、そのメーカーでは受け付けてくれなくなる。
製造中止になって、けっこうな時間が経過しているのならば、仕方ない。

けれどダイヤソウルのようにわずか数年で会社が倒産してしまったら──。
そんなことを心配していたら、モノは買えない、という声はある。それもわかる。

それほど高価でなければ、まあいいだろう。
だがペアで一千万円するモノが、修理不能になってしまうのは、購入した人ならば、納得いかないだろう。

このことはダイヤソウルだけの問題ではない。
完全な安心など、ないわけだが、それでもと思う。

日本には、ほぼ個人でやっているオーディオメーカーがいくつかある。
主宰者が亡くなってしまうと、どうなるのか。

エレクトロニクスの機器であれば、回路図と基板のパターン、部品一覧表といった情報を、
例えばオーディオ協会に預ける、というのはどうだろうか。

そのオーディオメーカーがなくなってしまった時に、修理のために、
必要な、そういった情報を預かっていたオーディオ協会が公開する。

これだけのことでも、修理にあたる人にとっては、役立つ。
売るだけではなく、そろそろこういったことも考えて、
そのためのシステムづくりをやる、そういう時期になっていると思う。

Date: 8月 14th, 2025
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ(DIASOULのこと・その4)

DIASOUL.AIのエンジニアは、スピーカーエンジニアということに、普通はなる。
アンプを開発・設計する人はアンプエンジニアと呼ばれるわけだが、スピーカーエンジニアとして、アンプエンジニアとして優秀だとしても、
だからいって優れたスピーカーシステムやアンプを製品化できるとは限らない。

DIASOUL.AIに搭載されているスピーカーユニットは、その技術的特徴から、
ダイヤトーンから供給を受けているモノだとわかるし、
個々のスピーカーユニットの性能は優れているはず。

けれど優秀なスピーカーユニットを揃えたからといって、優れたスピーカーシステムができあがるわけではない。
オーディオエンジニアリングがあってこそ、特にスピーカーシステムの場合は、
優れたスピーカーシステムの実現につながる。

DIASOUL.AIのエンジニアは、オーディオエンジニアであったのだろうか。

(その2)でもリンクしているPhile webの記事では、
S/N比の獲得、向上とあるが、
スピーカーシステム全体としての聴感上のS/N比に関しては、
オーディオエンジニアリングとしては、まだまだと言わざるをえない。

大きく手を加えるのではなく、わずかなことをするだけで聴感上のS/N比が良くなるのに──、
そう思える箇所がいくつもある。

DIASOUL.AIのエンジニアの周りには、オーディオエンジニアリングについて助言してくれる人はいなかったのか。
それともDIASOUL.AIのエンジニアが、そういう声があったけれど、聞かなかったのか。

どちらかなのかは私にはわからないけれど、
DIASOUL.AIの音を聴いて思うのは、助言を受け入れなかったのだろう。

Date: 8月 13th, 2025
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ(DIASOULのこと・その3)

DIASOUL.AIの音は、どうだったのかについて、こと細かに書くつもりはない。
理由はいくつかある。

ぴあ分室という初めて入った環境ということが、まずある。それに自分でセッティングしたスピーカーではないこともある。
比較試聴できる他のスピーカーがあったわけではないこと。
そしてDIASOUL.AIには、大阪のMさんの手が加えられているからだ。

Mさんによると、Mさんがオーディオの方もまかされるようになってあれこれ見ていくと、
手直しというか、修理に近いことをやっていく必要があった、とのこと。

DIASOUL.AIのウーファーは、パワーアンプ内蔵のアクティヴ型だが、まずここに不具合があった、という。
その不具合がどんなだったのかも聞いているけれど、
お粗末なつくりから来ていることもある。

エンクロージュアの仕上げはピアノ塗装できちんとしていても、
表面にあらわれていないところに関しては、そうではない。

2017年にペアで一千万円するスピーカーとは思えない。
DIASOUL.AIだけでなく、他の高価なスピーカーの中にも、けっこうお粗末なつくりだったりするモノはあったりするが、
DIASOUL.AIは製品としての仕上げが、手を抜いているとしか思えない箇所が、けっして一つではない。

それでも肝心なのは音であって、音が良ければ、いい。
DIASOUL.AIの音は良かったのか。

ぴあ分室のDIASOUL.AIは、ウーファーは内蔵アンプの不具合で、マークレビンソンのアンプがあてがわれていた。

それにDIASOUL.AIには専用ネットワークコントローラー、NW1が付属しているが、
これもまた不具合が発生していて、トリノフ・オーディオの ST2 HiFiに置き換えられている。
このST2 HiFiも、マークレビンソンと同じくMさんの私物。

こんなふうに本来のDIASOUL.AIとは違う。
その上での音の印象を語ると、頑固なスピーカーだなぁ、だった。

この頑固はスピーカーに関してよりも、設計者に向けてのほうが強い。

Date: 8月 12th, 2025
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ(DIASOULのこと・その2)

オーディオ業界で昔から言われていることがある。
どんなオーディオ機器であっても、最低二台(スピーカーならば二セット)は売れる。
次が二十台、二百台、二千台、二万台……、と推移していくと。

昭和のころ聞いた話だから、いまのように高額化が天井知らずになっている状況でも当てはまるのか、
それはなんとも言えないが、そうかも、と思いながら聞いていた。

ダイヤソウルのスピーカーシステム、DIASOUL.AIがどれだけ売れたのか。
私はニセットほどかも──、と思っている。

一台(一セット)は、今回聴いたところにある。
もう一セットは関西の方で買われた人がいる、とのこと。

何年か前にプロトタイプがヤフオク!に出ていた、とも聞いている。

もっと売れていたのかもしれないが、そうだとしても十セットも売れているとは思えない。

そんなDIASOUL.AIを今回、じっくり聴くことができた。実物を見たのも、昨晩が初めてだった。

東京にある一セットは、個人購入ではなく、ぴあ株式会社が購入したもので、
このことはDIASOUL.AIの紹介記事の中でも触れられている。

そういうにところあるDIASOUL.AIを聴くことができたのは、大阪のMさんのおかげだ。

Mさんはホームシアターの専門家で、四谷三丁目にあった喫茶茶会記でaudio wednesdayをやっていたころから参加されていた方。
2024年から再開しても来られることはなかったが、今年になって毎月参加されている。

DIASOUL.AIは、ぴあ本社ではなく近くのぴあ分室と呼ばれているところにある。
Mさんは、ぴあ分室のホームシアターを最初手がけられていて、その後、DIASOUL.AIのシステムの方も任せられるようになった、とのこと。

ぴあ分室にはぴあが購入したモノだけでなく、Mさんの私物(主にアンプ関係)もある。
そこで、今回、DIASOUL.AIを聴いた。

Date: 8月 12th, 2025
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ(DIASOULのこと・その1)

オーディオの面白さは、スピーカーにある、と言っても言い過ぎにはならないほどに、
スピーカー(システム)の存在は、オーディオ・コンポーネントにおいても、ユニークと言える。

スピーカーは全て違う。
にも関わらず、日本のオーディオメーカーは、ある時期、598戦争と呼ばれるほどに、よく似たスピーカーばかりを出していた。

それを煽っていた(といえる)オーディオ評論家がいた。おかしな現象だった。

本来、個性的な存在であるスピーカーが、没個性に陥ってしまったのだから、
このことについてオーディオ雑誌(ジャーナリズム)は、きちんと振り返って記事として残すべきだと考えるが、
たぶん、どのオーディオ雑誌(評論家)も、ダンマリのままだろう。

2015年にDIASOUL(ダイヤソウル)というスピーカーメーカーが誕生した。
元三菱電機のエンジニアの寺本浩平氏が立ち上げた会社(ブランド)だ。
オーディオ関係のウェブで取り上げられていたから、記憶されていた方もいよう。
第一弾のスピーカーはDIASOUL i、2017年に改良モデルの
DIASOUL.AIを出している。

どちらのウェブ記事もなんとなく記憶しているが、特に聴いてみたいとは思わなかったし、
聴く機会もなく終ってしまった。

終ってしまった、と過去形にしたのは、ある事件の記事があったからだ。

Date: 3月 24th, 2025
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(取り残されてきているのか・その8)

日本に輸入されていない海外のオーディオ・ブランドは、いくつもある。
過去に輸入されていたけれど、いまは取り扱う会社がなくて、という場合もある。

新たな輸入元ができて、取り扱い再開というケースもある。

今年になって、SMEが輸入されなくなった、という話を聞いた。
一時期輸入が途絶えていたSMEだが、2020年からリジェールが取り扱うことになった。
インターナショナルオーディオショウにも出展していた。

なので、リジェールがやっているのでは? とまず思ったわけだが、
確認のためと思い、昨晩、SMEのウェブサイトを見てみた。

リジェールのウェブサイトでは、SMEをいまも扱っている。
少なくともウェブサイト上では、そうなっている。

SMEのウェブサイトでは、日本の取り扱いに関しては、
“Contact SME direct”と表示される。

つまり日本には輸入元が存在しないことになる。

Date: 8月 2nd, 2024
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(取り残されてきているのか・その7)

一週間前はインターナショナルオーディオショウだった。
ブースをまわっていろんな音を聴いていると、ふと、思い出す音もある。

もう一度、聴きたいな、と思う音だったりもする。
今回思い出していたのは、けっこう前にノアのブースでの音だった。

スピーカーはソナス・ファベールのCremonaだった。
アンプは、当時のノアが扱っていたVTLの管球式だった。

無骨な外観の、このアンプはソナス・ファベールのスピーカーの仕上げに相応しいとは言えない。
それでも鳴っていた音は、相応しかった。

私の耳には、それまで聴いたソナス・ファベールの音よりも、
ずっとずっと魅力的だった。

また聴きたいと思ったけれど、聴く機会はなかったし、
VTLの取り扱いをノアはやめてしまった。
VTLのアンプは、あまり売れなかったのか。

正直、私もこの時の音を聴くまでは、
VTLの音を聴いてみたいとは思ってなかった。
偶然のタイミングで聴けたことを、いまでも好運だったと思うほどだ。

VTLを、その後、どこも取り扱っていない。
VTLは健在だ。

ずっとこのままなのだろうか。

Date: 4月 5th, 2023
Cate: High Resolution, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(MQAのこと・その4その後)

その4)で、TIDALではMQAで配信されているのに、
e-onkyoではflacしかない、ということを書いた。

ドイツ・グラモフォン、デッカなどのユニバーサル系はMQAも新しく配信されていたが、
旧EMIに関しては、2022年リマスターを含めて、flacだけでMQAがないということが増えた。
すべてをチェックしているわけではないが、旧EMIに関しては、ほとんどそうである。

Qobuzを運営しているフランスの会社、Xandrieへ譲渡されたあとからそうなったことから、
そしてQobuzがMQAを扱っていないことからも、
e-onkyoの方針ではなく、親会社の方針としてMQAを扱わないようにしているのか──、
そう思えていた。

Qobuzのサービスが日本でも開始になれば、MQAは扱われなくなるだろう、とも思っていた。
事実、今日、そういう発表があった。

MQAだけではなく、WAV、DIFF、MLP(Dolby TrueHD)、32ビット音源の配信が終了となる。
配信終了予定日は4月25日。

Date: 4月 2nd, 2023
Cate: High Resolution, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(MQAのこと・その13)

ステレオサウンド 226号がKindle Unlimitedで読めるようになっている。
特集のハイレゾオーディオ2023について書く前に、
新製品紹介で、CHプレシジョンのC1.2のことについて触れておく。

三浦孝仁氏が担当で、
本文中には《本機ではMQAにフル対応していることも大きなトピックといえよう》とある。

けれど続く音についてのところでは、MQAの音についてはまったく触れられていない。
《大きなトピック》だったら、なぜMQAの音について触れないのか。

MQAの音について触れないのであれば、
《本機ではMQAにフル対応していることも大きなトピックといえよう》
と書かなければいい──、個人的にはそう思うのだが。

《本機ではMQAにフル対応している》、そこで終っているだけでいい。
《大きなトピックといえよう》とある。
なのに、実際のMQAの音がどうだったかについて、三浦孝仁氏は一言も書かれていないのをみると、
もしかするとステレオサウンド編集部がMQAを封殺しようとしている──、
そんなふうに勘ぐってしまう。

三浦孝仁氏はMQAの音について書きたかったのかもしれない。
けれどステレオサウンド編集部から、触れるな、というお達しがあったのか。

Date: 3月 29th, 2023
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(取り残されてきているのか・その6)

インターネット・オークションといえば、日本ではヤフオク!となる。
ヤフオク!を頻繁に利用はしないけれど、
こんな値段で落札できていいの? と思ってしまうほど、
以前から欲しかったオーディオ機器をいくつか落札したことは別項で書いている。

こういうモノがあるのか、と思う反面、
オーディオに関しては弱いな、とつねづね感じている面もある。

そういうところが、eBayは違う。
製造中止になっているオーディオ機器の補修パーツならば、
ヤフオク!はほとんど頼りにならない。
eBayである。

今月は、三つほど、eBayで補修パーツを手に入れた。
送料が高いのは海外からなのでしかたない。
補修パーツ自体は良心的な価格だった。

eBayの品揃えの豊かさを眺めながら、ヤフオク!と比較してしまうと、
こういうところでも取り残されつつあるような──、そんな感じを受けてしまう。

Date: 3月 26th, 2023
Cate: High Resolution, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(MQAのこと・その12)

(その11)に、facebookにコメントがあった。
ゾノトーンのツイートへのリンクがあった。

そのゾノトーンのツイートは知っていた。
どんな内容かといえば、オーディオアクセサリーを購入する際、
頼りにする情報源は何か、というアンケートである。

結果は、
メーカー発信情報が11%、
オーディオショップ意見が13%、
オーディオ雑誌社の記事が6%、
その他インターネット情報が70%、
である。

メーカー発信情報もインターネットでのことだろうから、
その他インターネット情報とあわせると81%となる。

オーディオ雑誌は、わずか6%である。

このリンクを投稿された方も指摘されているが、
この結果は、ソーシャルメディア上でのものだから、
この数字をそのまま鵜呑みにはできない面もある。

それでもインターネット上の情報を頼りにする人は、かなり多いとはいえよう。
だから、現実にはオーディオ雑誌は読まれていない、
だから封殺も何もない──、とコメントにはあった。

コロナ禍前だったら、今回のコメントにかなり同意しただろうが、
コロナ禍を経て、オーディオマニアのインターネットの活用の具合を、
少しばかり知ることで、実際はけっこう違っている、という認識をもつにいたっている。

ゾノトーンのアンケートは、比較的若い世代の方によるものだろう。
一方、ステレオサウンドの読者の年齢層は、60代より上である。

Date: 3月 24th, 2023
Cate: High Resolution, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(MQAのこと・その11)

(その10)に、facebookにコメントがあった。
とりあげないということには封殺するという意図を感じることがある、というものだった。

同じことは感じていた。

MQAのことを肯定も否定もしない。
ただとりあげないだけ。
つまり封殺したいのだろう、と。

仮にそうだとして、ほんとうに封殺できると編集部(編集者)は考えているのか。
昔のステレオサウンドだったら、もしかした、そんなこともできたかもしれない。
けれど、いまのステレオサウンドができるだろうか。

それに、いまはインターネットが普及して、ソーシャルメディアもまた普及している。
そういう時代においては、もう無理なはずだ。

いまのところ、日本ではTIDALのサービスは開始されていない。
日本でMQAを聴くには、MQA-CDを買ってくるか、
e-onkyoで購入・ダウンロードするくらいしかない。

けれどTIDALが始まったら──。
MQAのデコード機能をもつD/AコンバーターやCDプレーヤーを持つ人は、
TIDALでMQAが聴けるのなら、試しに聴いてみようか、と思うことだろう。

MQAのコアデコードの音だったり、フルデコードの音であったりする。
フルデコードの音を聴いた人ならば、なにかを感じるはずだ。

聴いた人すべてが、MQAを肯定するとはかぎらない。
やっぱりMQAなんて──、という人もいるけれど、
MQAって、いいな! と感じる人もいる。

TIDALが日本で始まる、
つまりMQAでさまざまなアルバムを聴けるようになったとき、
ステレオサウンドのMQA無視のやり方に疑問をもつ人も現れる。

Date: 3月 23rd, 2023
Cate: High Resolution, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(MQAのこと・その10)

編集者(編集部)には、記事をつくらない(とりあげない)自由があるといえば、そういえる。
だからステレオサウンド編集部がMQAをとりあげないのも、
それは編集部の自由といえばそうである。

三年ほど前に、逆木 一氏のブログのことを書いた。
逆木 一氏はアンチMQAである。
自身のブログで、「さよなら、MQA」を公開されている。

「さよなら、MQA」を読んで、どうおもうのかは、その人次第だ。
逆木 一氏の意見に、まったく同感という人もいるだろうし、
こういう意見の人もいるだろうな、とおもう人、
MQAの肯定している人からすれば、なにかいいたくなるか、
もしくは黙っておこう、とおもったのかもしれない。

逆木 一氏を、「さよなら、MQA」をどう読むか、その評価とは別に、
ステレオサウンドの態度と逆木 一氏の態度は、大きく違うことだけは認めている。

逆木 一氏は、きちんと自身の意見・立場を表明している。
それすらせずに、ただただ無視していくだけのオーディオ雑誌がステレオサウンドであることが、
ステレオサウンドはずいぶん変質してしまったなぁ……、とおもわせる。