Archive for category VUメーター

Date: 7月 12th, 2022
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(レゼルボワールの腕時計)

レゼルボワールから、アンプのVUメーターをモチーフとした腕時計が発表された。
ソノマスタークロノグラフが、そうである。

どんな腕時計なのかは、リンク先を見てほしい。
VUメーターをモチーフという見出しを見た時には、
品のない仕上がりになっているのでは……、と思っていたけれど、
リンク先の写真をみると、おっ、と思ってしまう。

色調も、いかにもVUメーター的である。

Date: 7月 7th, 2021
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その26)

SAEのMark 2500のメーターの駆動回路はどうなっているかというと、
スピーカー出力に並列に接続されている。

メーターのレンジ切り替えのための抵抗と半固定抵抗が複数直列に挿入されていて、
その出力にブリッジダイオードがきて、メーターに接続されている。

音質面を考慮すれば、スピーカーの出力からバッファーアンプを介して、
という接続にするところだが、そんなことはやっていない。

バッファー回路を増設する手もあるが、
まずはブリッジダイオードに対してノイズ対策をすること、
そしてメーターにもコイルが使われている。

ならば、メーターのコイルに対して、別項で書いているCR方法を施す。
まったく効果なしとはならないと予測している。

Date: 7月 6th, 2021
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その25)

メーターがついていれば、その針がどこまで振れるのか。
このことに、まったく関心がない、と断言できるオーディオマニアは、そういないはずだ。

メーター付きのアンプを手に入れたのであれば、
しかもそれがパワーアンプのメーターであれば、どこまで出力が出せるのか、
つまりどこまで針が振れるのかをやってみたくなる。

瀬川先生が、ステレオサウンド 59号の新製品紹介で、
アキュフェーズのM100を取り上げられている。
     *
 いったい、どこまでの出力が出せるものかと、ハイパワー限界のテストをしてみた。こういうテストは、もしもクラシックで、ピーク500Wを出そうとしたら、ふつうの部屋ではとても耐えられない音量になってしまう。むしろ、最近の録音の良いジャズやフュージョンの、むしろマイナー・レーベル(たとえばオーディオ・ラボやシェフィールドなど)のほうが、一瞬のピーク出力が制限されずにそのままカッティングされている。いいかえれば、音量感の上ではむしろ意外なところで、出力の表示は数百Wを軽くオーバーシュートして、びっくりさせられる。
     *
M100は、出力500Wのモノーラルパワーアンプで、
8Ω負荷時のピークパワーの値を数字で示すディスプレイもついている。

瀬川先生は、この時の試聴で640Wを記録した、と書かれている。
この時のスピーカーはJBLの4345だろうから、出力音圧レベルは95dB/W/m。
いまどきの80dB前後のスピーカーとは違う。

メーターがついていると楽しい。
ピークメーターであれば、さらに楽しい。

とはいえ、メーターの針の動きを、ずっと眺めているわけではない。
瀬川先生も、59号で、こうも書かれている。
     *
 というのは、かなり時間をかけてテストしたにもかかわらず、C240+M100(×2)の音は、聴き手を疲れさせるどころか、久々に聴いた質の高い、滑らかな美しい音に、どこか軽い酔い心地に似た快ささえ感じさせるものだから、テストを終えてもすぐにスイッチを切る気持になれずに、そのまま、音量を落として、いろいろなレコードを、ポカンと楽しんでいた。
 その頃になると、もう、パワーディスプレイの存在もほとんど気にならなくなっている。500Wに挑戦する気も、もうなくなっている。ただ、自分の気にいった音量で、レコードを楽しむ気分になっている。
     *
ならばメーターなどなくてもいいじゃないか、
メーターがないほうが音がよくなるのだから、と。
人によっては、そう思われるかもしれないが、
オーディオ機器の製品としての魅力というものは、
そんなふうに割り切れるわけではないところに潜んでいたりする。

Date: 7月 6th, 2021
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その24)

マランツのModel 510Mは、ここ十年、オーディオ店で中古を見かけることはなくなった。
たまたま私が出会っていないだけで中古として流通しているのかもしれないが、
1990年代には、オーディオ店で中古を見かけることが何度かあった。

ステレオサウンドでリファレンスとして使われていたし、
510Mが現役だったころのステレオサウンドが行っていた読者の選ぶベストバイでも、
510Mは上位にランクされていた。

人気があったモデルだから、中古が出てくるわけでもある。

それでも私がみかけた510は、510MかP510Mのどちらかだった。
メーター無しの510は一度も見かけたことがない。

510と510Mの価格差は五万円。
この時代、メーターの有無による音の違いがあるとは、
少なくともオーディオ雑誌で見かけたことはない。

となると、このクラスのモデルを購入する人にとって、
510Mという選択だったのだろうか。

510にはメーターがないので、メーターの感度切り替えのツマミがない。
510Mには、フロントパネル下側に四つのツマミがあるが、
510は二つだけである。

これ以外にも細かな違いがいくつあって、
写真で見較べると、510Mのほうに魅力を感じる。

メーター無しの510は、あまり売れなかったのか。

おそらくだが、510と510Mを比較試聴すれば、510のほうが音はいいであろう。
それでも510と510Mを直接比較すれば、そうであっても、
510Mを選択した人は、他社製とのアンプの比較はやったであろうが、
510との比較試聴は、ほとんどの人がやっていないはずだ。

SAEのMark 2500もメーターがないほうが音はいいに決っている。
それでもメーター無しのMark 2500を想像すると、
この精悍なパネルフェイスは得られない、と思う。

Date: 7月 5th, 2021
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その23)

SAEのMark 2500と同時期のパワーアンプに、
マランツのModel 510Mがあった。

1970年代後半のステレオサウンドのリファレンス・パワーアンプでもあった。

ステレオサウンド 43号の特集ベストバイで、
井上先生は《標準アンプ的に使えるマランツの伝統をもつ音は信頼度が高い》、
瀬川先生は《いわゆる音のクセというほどの色づけは感じられず、音質評価の基準として使うことができる》、
と評価されている。

510M(525,000円)には、メーターがついていた。
その510Mには、メーターを省いたModel 510(475,000円)があり、
完成後の測定で、特に優れた個体をピックアップして、
8mm厚の19インチ・ラックマウントのパネル仕様のModel P510M(565,000円)もあった。

この三つの仕様の510の音は、それぞれどう違っていたのだろうか。

510MとP510Mの違いについては、
1978年発行の「世界のコントロールアンプとパワーアンプ」のなかで、
井上先生は《リファレンス用の♯510Mよりも余裕のあるスケール感タップリの音であり、ソリッドさ、タイトさの面では不足気味かもしれない》、
瀬川先生は《そのほんのわずかな違いを拡大していえば、510Mにくらべてこちらの方がいくつか反応がおっとりしている》、
こんなふうに表現されている。

P510MのPはprofessionalの頭文字である。
だから19インチ・ラックマウントパネル仕様なのだ。

セレクト品だからの音の違いもあるだろうが、
8mm厚のフロントパネルの違いも、違いの要因として無視できないはずだ。

510Mのフロントパネルの厚みがどれだけなのかは、はっきりとしないが、
P510Mが、わざわざ8mm厚と謳っていることからも、8mmよりも薄いはずだ。

しかもフロントパネルの横幅が違う。
510Mの横幅は39.0cm、P510Mは48.3cm。
厚みも違うのだから、重量も違うわけだ。
それにラックハンドルもついているから筐体の違いは無視できない。

私が510MとP510M以上に、その音の違いがどれだけなのか知りたいのは、
510Mと510(メーターの有無)の違いである。

Date: 6月 25th, 2021
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その22)

音だけに関していえば、メーターはないほうがいい。
アンプによっては、メーターのON/OFF機能がある。

OFFにした音を一度でも聴くと、ONにしようとは思わなくなる。
ではOFFにしたから、メーターによる音への影響はゼロにできるかというと、
決してそうではない。

フロントパネルにメーターが取り付けられている時点で、音への影響は生じている。
メーターが大きいほど、フロントパネルに開けられる取り付け穴は大きくなる。

その分だけフロントパネルの強度は低くなる。
振動モードも当然変化する。

しかもそこに空間をもつメーターがとりつけられるわけで、
この部分の共振も、また音への影響となっていく。

メーターを構成する部品の共振も無視できない。

それにメーターの駆動部分には磁石が使われている。
メーター機能をOFFにしていても、この磁石は生きている。

他にもあるけれど、メーターがついてるだけで、
メーターとして機能していなくても、音への影響をゼロにできるわけではない。

そんなことはわかったうえで、今回のSAEのMark 2500である。
マークレビンソンのLNP2にしても、メーターがなければ、もっと音が良かったはずだ。

けれどメーターのないLNP2を想像してほしい、
メーターのないMark 2500を思い浮べてほしい。

メーターのON/OFF機能は、私はいらない、と思っている。
こういうスイッチがついているから、ついOFFにした音を聴くことになる。
OFFにした音を聴くと、ONにしようとは思わない。
ならば、最初からメーカーをつけなければいいのに──、そう思ったりするからだ。

ON/OFF機能がなければ、メーターの音への影響があるのはわかっていても、
簡単にたしかめることはできないから、そのままで聴く。
それでいいではないか。

Date: 6月 23rd, 2021
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その21)

SAEの創業者のモーリス・ケスラー(Morris Kessler)は、1988年にSAEを売却している。
その後のSAEがどうなっていったのか、くわしいことは知らないが、
ケスラーはATI(Amplifier Technologies, Inc.)を新たに作っている。

そのケスラーが2015年ごろに、SAEブランドを買いなおしていること、昨晩知った。
SAEのMark 2500を手に入れて、そういえば、SAEのその後は……、と検索していったら、
新生SAEのサイトを見つけた。

コントロールアンプのMK ONE、
パワーアンプが三機種、SAE 8300、SAE 2HP-D、SAE 2HPである。

2HP-Dと2HPの違いは、メーターの有無である。
2HP-Dには液晶のパワーメーターがついている。

当時のSAEのパワーアンプすべてにメーターがついていたわけではない。
Mark 2500はついていた。
弟分にあたるMark 2400もついていた。

2400はわりとすぐに2400Lになり、LED式の表示に変更になった。
こちらのほうがコストがあまりかからないからだろう。

MarkシリーズのあとにXシリーズを展開していったSAEなのだが、
メーターはすべての機種でLED式だった。

なので、新生SAEのパワーアンプは指針式のメーターがついていたのは、
少し意外でもあった。

液晶なのか、という気持はある。
(その14)、(その15)で、OPPOのヘッドフォンアンプの、
やはり液晶のVUメーターについてちょっと触れているが、
私の知るかぎり、どのオーディオメーカーも、液晶式のメーターのデザインが未熟である。

SAE 2HP-Dのメーターが、どんな感じなのか、
動いているところう見ているわけではないが、
写真でみるかぎり、とってつけたような感じが拭いきれていない。

Mark 2500を手に入れたばかりの目で見ているから、そう感じるのではないはずだ。

Date: 3月 8th, 2020
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その20)

私がオーディオに興味を持ち始めた1970年代は、
メーター付きのアンプが、いまよりも多かった。

その当時は、なぜだろう、とは考えなかった。
その後、メーター付きのアンプが減ってきても、そんなことは考えなかった。

いまはちょっと考える。
なぜだったのか。

それは真空管アンプが、ほとんど市場からなくなった、
メーカー製の真空管アンプが非常に少なかったからなのではないか、と考える。

真空管アンプにあって、
トランジスターアンプにないものとはなにか。

ガラスという素材である。
真空管の多くはガラスのなかに電極がおさめられている。

真空管のまわりにはトランスがある。
トランスは金属のかたまりであり、
真空管、トランスはシャーシーの上に並ぶ。
シャーシーも、もちろん金属である。

真空管アンプ、
きちんといえば真空管のパワーアンプは、金属とガラスという異る素材がつねにあった。

トランジスターアンプになると、金属だけである。
でも、そこにメーターがついてくると、少し違ってくる。

メーターにはガラスもしくはアクリルが使われている。

Date: 9月 20th, 2017
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その19)

コントロールアンプ、パワーアンプ、プリメインアンプにメーターをつける。
なぜ、メーカーはつけるのか。

1970年代には、メーターをつけたほうが売れるから、という理由があったようだ。
そんなことがオーディオ雑誌に書いてあった。

そうかもしれないが、それだけがメーターをつける理由ではないはずだ。
メーターをつけるということは、
透明の素材をフロントパネルに採用することである。

アンプのメーターでも、アナログテスターでも、
針を保護する意味でも、針の前面には、ガラスもしくはアクリルが使われる。

透明な素材で、硬質であっても、金属の硬質さとは違う。
そういう素材が、フロントパネルに部分的に使われることになる。

このことは、アンプのデザインするさいに、
デザイナーにとっては、どうなんだろうか。

ただ単にフロントパネルにメーターをつける、というふうに、
中学生のころの私は、そんなふうに捉えていたが、
いまはそんなふうには思っていない。

メーターをつけるということは、フロントパネルに金属以外のなにかが、加わる。
場合によってはかなりの面積を占めることにもなるわけだ。

しかもメーターのガラス(もしくはアクリル)は、
フロントパネルと面一(ツライチ)のこともあれば、
少し奥に引っ込んでいる、反対に前に出ていることもある。

くわえてメーターの照明がある。
メーターの文字盤も、金属とは違う素材である。

これらのことに留意してメーターつきのアンプをふり返ってみる。
できれば写真だけでなく、実物(それも電源をいれた状態)をみたい。

10代、20代のころには気づかなかったことが、いまなら気づくはずだ。

Date: 6月 13th, 2017
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その18)

テクニクス・ブランド復活で登場したパワーアンプSE-R1は、
テクニクスのパワーアンプらしく大型のメーターをそなえていた。

テクニクスのパワーアンプのメーターは、
SE9600、SE10000のころは、小型のメーターが、ふたつ取り付けられていた。
それがSE-A1で、ひとつの大型メーターに、針がふたつある方式へと変更になった。
二連針メーターの採用である。

その後のSE-A3、SE-A5も、この二連針メーターを採用していたし、
SE-R1も二連針である。

復活後のテクニクスは、この二連針メーターをプリメインアンプにも採用した。
SU-C700、SU-G700がそうである。

テクニクスのプリメインアンプに、それまではメーターはなかった、といえる。
まったくなかったわけではない。
SU7300、SU7600といったエントリーモデルにはメーターがついていたが、
そのくらいである。ほとんどのプリメインアンプにメーターはなかった。

復活後のテクニクスは、プリメインアンプにもメーターを採用した。
でも、このメーターの採用は成功といえるのだろうか、と思う。

メーターの位置が、フロントパネルの下側にある。
パワーアンプの上に、薄型コントロールアンプを置いたようなデザインを意図してなのだろうか。

何度見ても違和感をおぼえる。
なぜ、メーターが下にあるのか、とその度に思うし、その理由を考える。

メーターをもつパワーアンプの上にコントロールアンプが置かれている写真は、
これまでに数えきれないほど見ているが、特に違和感はなかった。
にも関わらずテクニクスのプリメインアンプには、違和感がある。

見慣れれば印象も変ってくるのか……、と思いもしたが、
いまもって印象は変っていない。

Date: 7月 2nd, 2016
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その17)

6月のaudio sharing例会では、マークレビンソンのLNP2を聴いた。
LNP2はVUメーターをもつコントロールアンプである。

VUメーターつきのコントロールアンプは、LNP2以外にも意外とあった。
ヤマハのCI、テクニクスのSU-A2、ソニーのTA2000F、TA-E7B、サンスイのCA3000、
ナカミチの610、ダイナベクターのU22、DV3000、クワドエイトのLM6200R、ギャラクトロンのMK16、
4チャンネル対応のモノでは、ビクターのJP-V1000があった。

それから一般市販されたモノではないけれど、
伊藤先生のコントロールアンプにもVUメーターがついている。

ダイナベクターのDV3000だけが上下にVUメーターが配置されていた。
他のアンプは左右に配置されている。

これはどうなんだろうか。
人によって違うのだろうか、と思いつつも、
私はVUメーターは左右に並んでいてほしい。
上下に配置させていると、違和感といってはいいすぎだけれども、それに近いものを感じてしまう。

それにできれば中央にあってほしい。
上下左右の中央ではなく、左右の中央にあってほしい。それも下ではなく上でなくてはならない。
そうなると、LNP2、U22、610、LM6200Rがそうなっている。

だからといってVUメーターが、
アンプのフロントパネルの中央で威張っているかようにあってほしいのではなく、
ついている以上は、もっとも見やすい位置に、見やすいように配置されていてほしいのだ。

LNP2をひさしぶりに、時間をかけて聴くことができてあらためて思っていた。
VUメーターがついていると(もちろん正確なメーターにかぎるのだが)、
オーディオは楽しい、と感じる。

針が振れるのは、質量があるモノが動くということであり、
アナログプレーヤーのターンテーブルプラッターもそうだが、
重さでいえばメーターの針よりもずっと重いし、針のような動きはしない。

それでも粛々と廻っている姿が見えるのは、やはりオーディオだ、と思うところだ。

Date: 10月 27th, 2014
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その16)

電気工事の人が使うアナログ式テスターは、小さいとはいえない。
かなり大きいサイズであることが多い。

電気工事の人が使う工具はテスターだけではない。他にもいろいろな工具を必要とする。
だから必要な性能であれば、工具は小さくて軽い方がいい面もある。
アナログ式テスターは、どうしても大きくなってしまう。
サイズ(小さいということ)では、デジタルテスターの方が有利である。

にも関わらずアナログ式テスターの方がいい、と言っていた人は、
「針が振れるから」ということだった。

正確な測定値を読みとるということではデジタルテスターの方が便利なのだけど、
そうではなく、導通があるのかないのか、電気が来ているのかそうでないのか、
そういった測定値が必要なのではなく、状態を確認する場合には、針が振れることが重宝する、ということだった。

あとはおそらくデジタルテスターは、電圧・電流を測る時でも電池を必要とする。
電池がなければデジタルテスターは動作しない。

アナログ式テスターは、抵抗値を測る時には電池が必要となるが、
電圧・電流の測定には電池は必要としないこともあってだと思う。

アナログ式テスターが大きくなってしまうのはメーターのためである。
アナログ式テスターのメーターの文字盤にはいくつもの目盛りが描かれている。
電圧・電流・抵抗を測るのがテスターの基本なのだから、少なくともこれだけは必要となり、
さらにアナログ式テスターではレンジの切替えもやる。

デジタルテスターではそんなことは必要としない。
電圧を測るのか電流なのか、抵抗値なのかを指定するだけである。

Date: 10月 26th, 2014
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その15)

平面であることがすべて悪いわけではなく、
平面であることの良さが感じられるメーターであれば、OPPOの液晶によるメーターをひどいとはいわない。
けれどOPPOのヘッドフォンアンプについているメーターは、平面であることの良さがまったく感じられなかった。

その12)で、メーターに時計と共通するものを感じる、と書いた。

メーターも時計も文字盤と針があるだけでなく、透明なガラス(もしくはプラスティック)が前面にある。
奥から文字盤、中間に針、手前にガラスが、それぞれの間隔をもって配置され、閉じた空間を形成している。
この間隔が、時計というモノに対しての感覚をつくっているのではないか。

空間の存在しない表示をしてしまう液晶表示のメーターは、何を模倣しているのか。
ただ針の動きを模倣すれば、液晶でメーターが表示できる、というものではないはずだ。

時計もメーターも閉じた空間の中で針が動く。
直読ということでは、針と文字盤による表示よりも、数字での直接表示が有利だろう。
なのに、なぜ針の動きに惹かれるのか、針で表示することにメリットはなにかあるのだろうか。

メーターはアンプやカセットデッキの他にも、テスターにもついている(いた)。
私が最初に買ったテスターは、いわゆるアナログ式テスターである。
大きなメーターがついていた。

そのころデジタルテスターも登場していたかもしれない。
だがデジタルテスターは、当時は高価だった。いまとは違っていた。

デジタルテスターもどんどん安価になっていき、いま秋葉原に行けば、デジタルテスターの方が数多く並んでいる。
私もデジタルテスターを使っている。

どのくらい前になるだろうか。
デジタルテスターがシェアを逆転しはじめたころだった。
ある電気工事の人が、テスターの話をしているのが聞こえてきた。

デジタルテスターも良くなっているけれど、まだまだアナログ式テスターだ、ということだった。

Date: 10月 23rd, 2014
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その14)

OPPOのヘッドフォンアンプがそうだった。
丸いメーターを液晶ディスプレイで表示していた。

ヘッドフォンの試聴コーナーに展示してあり、再生中だったので針が動くのを見ることができた。
正直、がっかりした。
OPPOのヘッドフォンアンプの音は聴いていないから、
あくまでも液晶ディスプレイのメーターのことに関してだけだが、
これならば他の表示の仕方があるだろうに……、と思うほど、ひどかった。

平面的だ。
実際のメーターは手前に針があり、奥に文字盤がある。
そこにはわずかとはいえ間が空いている。
液晶ディスプレイでメーターを表示するのなら、ここのところをきちんと処理しなければ、
なんとも寂しい感じになってしまう。

わざわざ針のメーターではなく、棒グラフ的なメーターにすればまだよかったのに、とまで思った。
それで思い出した。

以前iPhone用にダウンロードしたアプリに、メーターを表示しているものがあった。
マッキントッシュ(Appleのそれではなく、オーディオのMcIntoshの方)が、AP1 Audio Playerを出していた。
マッキントッシュの顔であるブルーのメーターが表示される。
針は一本しかないが、OPPOのメーターのように平面的で寂しい感じはない。

マッキントッシュのメーターの感じはけっこう伝わってくる。
このアプリが登場したのがいつだったのか正確には記憶していないが、二年以上前だったと思う。
iPhoneで音楽を聴くことはあまりないし、純正アプリばかり使っているので、
割とすぐに削除してしまっていたこともあって、AP1 Audio Playerのことを忘れてしまっていた。

OPPOのヘッドフォンアンプは、AP1 Audio Playerの存在を思い出させてくれた。

Date: 10月 22nd, 2014
Cate: VUメーター

VUメーターのこと(その13)

もう五年くらい前のことになるだろうか、
電車に乗ってきた時に耳にはいってきた話だ。

スーツ姿の、40代から50代くらいの人たちが、オシロスコープについて話していたのが聞こえてきた。
オシロスコープにも液晶ディスプレイが採用されはじめてきているけれど、
反応速度の点で十分とは言えず、まだまだCRTのオシロスコープを使っていくことになりそうだ、ということだった。

その液晶ディスプレイの反応速度も向上してきている。
この人たちも、いまはどうなのか。
まだまだ液晶ディスプレイの反応速度では不足なのか、それとも実用に耐える速度になってきているのだろうか。

iPhoneに採用されている1インチあたりの画素数300dpi前後の液晶を見ていると、
液晶ディスプレイによるメーターについて、だれもが考えることだろう。

液晶ディスプレイにメーターを表示させるのであれば、どんなデザインのメーターも可能になる。
メーターを取り付けることでの音への影響については、(その2)で書いた。
液晶ディスプレイにすればゼロとはいわないまでも、実際のメーターを使うのよりは少なくなる。

それにいいメーターが少ない。
瀬川先生が、LNP2についているメーターはひじょうに信頼できる、といわれたが、
そのメーター、ウェストンのメーターもいまは手に入れにくい。

メーターを自製できるメーカーであれば、満足のいくモノを調達できようが、そういう会社はいまではわずかだ。
ならば液晶ディスプレイによるメーターは、自然と行き着く考えといえる。

今年のオーディオ・ホームシアター展で、そんなヘッドフォンアンプが展示してあった。