VUメーターのこと(その24)
マランツのModel 510Mは、ここ十年、オーディオ店で中古を見かけることはなくなった。
たまたま私が出会っていないだけで中古として流通しているのかもしれないが、
1990年代には、オーディオ店で中古を見かけることが何度かあった。
ステレオサウンドでリファレンスとして使われていたし、
510Mが現役だったころのステレオサウンドが行っていた読者の選ぶベストバイでも、
510Mは上位にランクされていた。
人気があったモデルだから、中古が出てくるわけでもある。
それでも私がみかけた510は、510MかP510Mのどちらかだった。
メーター無しの510は一度も見かけたことがない。
510と510Mの価格差は五万円。
この時代、メーターの有無による音の違いがあるとは、
少なくともオーディオ雑誌で見かけたことはない。
となると、このクラスのモデルを購入する人にとって、
510Mという選択だったのだろうか。
510にはメーターがないので、メーターの感度切り替えのツマミがない。
510Mには、フロントパネル下側に四つのツマミがあるが、
510は二つだけである。
これ以外にも細かな違いがいくつあって、
写真で見較べると、510Mのほうに魅力を感じる。
メーター無しの510は、あまり売れなかったのか。
おそらくだが、510と510Mを比較試聴すれば、510のほうが音はいいであろう。
それでも510と510Mを直接比較すれば、そうであっても、
510Mを選択した人は、他社製とのアンプの比較はやったであろうが、
510との比較試聴は、ほとんどの人がやっていないはずだ。
SAEのMark 2500もメーターがないほうが音はいいに決っている。
それでもメーター無しのMark 2500を想像すると、
この精悍なパネルフェイスは得られない、と思う。