Archive for 6月, 2023

Date: 6月 27th, 2023
Cate: ディスク/ブック

Leroy Walks!(その2)

Leroy Vinnegarの“Leroy Walks!”が、TIDALで聴けることは、
TIDALを使い始めたころに検索して知っていた。

“Leroy Walks!”、いまではTIDALでMQAで聴けるようになっている。
192kHz、24ビットで配信されている。

つい最近、MQAでも配信されるようになったようだ。

4月にMQAの破綻のニュースがあった。
それ以降、MQAがどうなるのかについての詳しい情報は入ってこないけれど、
いまのところ新譜も旧譜も、MQAでの配信が活発に続いている。

Date: 6月 27th, 2023
Cate: ショウ雑感

2023年ショウ雑感(その9)

オーディオショウは、いまや老人しか来ない──、
こんな投稿も、ソーシャルメディアでは毎回目にする。

こんな書き込みをしている人は、ほんとうに会場まで行ったのだろうか。

私が今年のOTOTENに行ったのは日曜日で、滞在時間は三時間もいなかった。
けれどインターナショナルオーディオショウよりも、全体的に若い人が多くいるな、と感じていた。

ヘッドフォン祭のように、若い人のほうが圧倒的に多いわけではないが、
老人しかいない、というのは事実ではないと思っている。

そんなことを書きこんでいる人が行ったときには、若い人がほとんどいなかったのかもしれない。
それは否定できないけれど、
(その8)で書いたような人、何も得るものがない──、という人、
老人しかいない──、という人、
こういう人たちはオーディオ界を憂えている、みたいな感じを漂わしがちだが、
でも、こういう人たちがいるから、オーディオ界の未来は明るくはならないのではないか。

Date: 6月 27th, 2023
Cate: ショウ雑感

2023年ショウ雑感(その8)

ソーシャルメディアをながめていたら、
OTOTENに行ったけれど、何も得るものがなかった──、
そんなことをコメントしている人がいた。
それに同調する人もいた。

今回のOTOTENだけのことではない、
インターナショナルオーディオショウでも、毎年、
これと同じようなことを投稿する人は、必ずいる。

得るものがなかった、ではなく、何も得ることできなかった、というべきだろう。
会場に行き、きちんと聴いていれば、得られるものは少なからずある。

こういうことをいう人は、自身のオーディオのキャリアを自慢したいのかもしれないが、
むしろ逆だろう。

キャリアをほんとうに長く積んできた人ならば、行けば必ず得られるものはある。

Date: 6月 27th, 2023
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(その13)

(その4)で、Troubadour 40のカーボン仕様が登場した時に、
菅野先生に、どうでしたか、と訊いたことを書いている。

その時、菅野先生は少し渋い表情をされて、やっぱりチタンだよ、といわれた。

カーボン仕様のTroubadour 40が登場したのは2008年ごろ。
それから十年以上が経っていて、
今回のOTOTENでHRS130を聴いて、まず思ったことは、カーボン、いい! だった。

十年以上の歳月のあいだに、カーボン振動板も改良されていることだろう。
Troubadour 40のカーボン仕様を聴く機会は、あのころはなかった。

実際のところ、どうなのだろうか。
私は勝手に良くなっている、と思っている。

それに昨年9月、サウンドクリエイトで聴いた時よりも、印象がずっといい。
あの時は、チタンのTroubadour 40がよかったかも……、そんなことを思いながら聴いていたけれど、
今回はカーボンのDDD型ユニットのほうがいいかも、と思っていたくらいだ。

比較試聴すると、どうなのだろうか。
どちらにもそれぞれの良さがあるのだから、あえて比較試聴しないほうがいい。

でも、そのくらいに今回のHRS130はよく鳴っていた。
もしかするとなのだが、カーボンのDDD型ユニットは、ある程度鳴らし込む時間が必要なのかもしれない。

Date: 6月 27th, 2023
Cate: アナログディスク再生, 老い

アナログプレーヤーのセッティングの実例と老い(その15)

今回のOTOTENだけのことではないのだが、
気になることがあった。

トーンアームのインサイドフォースキャンセラーのオモリについてだ。
SMEのトーンアームのように糸の先にオモリをつけたタイプの場合、
なにかの拍子に、このオモリが揺れてしまうことがある。

このことに無頓着な人が少なくないように、昔から感じている。
今回のOTOTENでもあった。

私が座っているところからもはっきりとわかるくらいにオモリが揺れている。
気にしないのか──、
そんなふうに眺めていた。

音に影響しないのであれば、オモリが揺れていても気にしなければいいのだが、
このタイプのインサイドフォースキャンセラーをもつトーンアームを使っている人は、
自分でオモリを意図的に揺らしてみて、その音の違いを確認してみたらいい。

Date: 6月 26th, 2023
Cate: ショウ雑感

2023年ショウ雑感(その7)

来年のOTOTENで、ひとつ、とても期待していることがある。
タクトシュトックは、カノア・オーディオの取扱いを拡大していく、とのこと。

カノア・オーディオのサイトをみると、
現在、タクトシュトックが取り扱っているモデル以外にも、けっこうある。
今回のOTOTENでも、D/Aコンバーターなどが参考展示されていた。
今年後半以降から取り扱いをはじめるとのこと。

D/Aコンバーターは、DAC 2.10という。
このDAC 2.10というモデル、MQAフルデコード対応である。

来年のOTOTENでのタクトシュトックのブースでは、
このDAC 2.10の音が聴けるはず。
その時、スピーカーがジャーマン・フィジックスであれば──、
そのことをついつい期待してしまう。

MQAとベンディングウェーヴのスピーカーこそ、
ごく私的な黄金の組合せ、と以前書いた。

これは、ほんとうに、その音を聴いて実感を深めている。
けれど、このごく私的な黄金の組合せの音は、どれだけの人が聴いているのだろうか。

ジャーマン・フィジックスを鳴らしていて、MQAも、という人は、
どれだけいるのだろうか。

とにかく、多くの人に聴いてもらいたい、ごく私的な黄金の組合せの音。
来年のOTOTENでは、オーディオショウとしては初めて、この組合せの音が鳴るのかもしれない。

Date: 6月 25th, 2023
Cate: ショウ雑感

2023年ショウ雑感(その6)

ジャーマン・フィジックスの十一年間の不在。
やる気のない、そして愛情のない輸入元にかわってしまったことの不幸が、
日本では続いていた。

2022年から、やっとタクトシュトックが新しい輸入元となり、
輸入が再開された。

タクトシュトックの人たちがどういう人たちなのかはまったく知らない。
けれど今日のOTOTENでのスタッフの人の話は、愛情がきちんとあった。

いい輸入元にめぐりあえたな、と実感できるほどだ。
それは話だけではなく、
HRS130のデモンストレーションが始まる前、
それまで鳴っていたスピーカーシステムと入れ替えるわけで、
その時、エンクロージュアに手が触れることになる。

HRS130の仕上げだと、どうしても手の跡が残ってしまう。
タクトシュトックのスタッフの人は、柔らかい布できちんと拭き取っていた。
それを見ているだけで、ゼファンからタクトシュトックになって良かった、と思えた。

このことが今年のOTOTENでの最大の収穫だったし、
そしてカノア・オーディオのアンプが、かなり気になっている。

これも別項で書いていることなのだが、
タンノイにはKT88のプッシュプルが合う、というのが、私の経験則だ。

もちろんすべてのKT88のプッシュプルアンプが合うというわけではないのだが、
カノア・オーディオのKT88のアンプ、タンノイをどう鳴らすのか。
それもとても興味深いと思わせてくれた。

Date: 6月 25th, 2023
Cate: ショウ雑感

2023年ショウ雑感(その5)

タイムロード時代のインターナショナルオーディオショウでの音、
タイムロードの試聴室での音、
菅野先生のリスニングルームで鳴っていた音、
知人のリスニングルームでの音、
サウンドクリエイトでの音、
それから秋葉原のオーディオ店での音、
そして私の部屋で鳴っている音。

これらのジャーマン・フィジックスの音は、デジタルでの音だった。
CD、SACD、TIDALなどによる音だった。

今回はじめてアナログディスクの音で、ジャーマン・フィジックスを聴いたことになる。
予想していたとおり、スクラッチノイズの質がいい。
耳につかない、気にならない。

一時間ちょっとHRS130の音を聴いていて思っていたことがある。
いま別項で「終の組合せ」を書いている。
ウーファーをどうしようか、と書いているけれど、
HRS130とカノア・オーディオのアンプの組合せ──、
これでいいんじゃないか、という気持が芽ばえてきた。

カノア・オーディオのアンプは、管球式プリメインアンプだ。
KT88のA級プッシュプルで、出力に余裕を持たせるために今回は二台用意しての音出しだった。

カノア・オーディオのプリメインアンプは、百万円を超えるものの、
むちゃくちゃ高価なアンプではない。

なのに、これだけ鳴ってくれる(HRS130を鳴らしてくれる)。
ウーファーで苦労することはない。

そう考えると、かなり心がぐらっとしたのはほんとうだ。
それでも──、と次の瞬間、そう思ってしまう。

やっぱりTroubadour 40を中心とした組合せを構築しよう、と。
そう決心しながらも、経済的に余裕があれば、
HRS130とカノア・オーディオのアンプ、それにMQAを組み合わせれば──、
その音を想像してしまう。

Date: 6月 25th, 2023
Cate: ショウ雑感

2023年ショウ雑感(その4)

ジャーマン・フィジックスのHRS130は、
輸入元タクトシュトック取扱いの製品で鳴らされた。

アナログプレーヤーはヴァルテレのスラッグシップモデル。
アンプはスロヴァキアのカノア・オーディオ。

ヴァルテレは、ロクサンのプレーヤーは聴いたことはあるけれど、
それからずいぶん時間は経っているし、モデルのランクも違っているから、
初めてのモデルといえるし、
カノア・オーディオに関しては、
タクトシュトックが取り扱いを始めてたのは知っている程度でしかなかった。

どういう音が鳴ってくるのか。
音は鳴ってみるまで(聴いてみるまで)わからない。

開始時間は13時30分からなのだが、
セッティングができた13時15分くらいから、HRS130の音が鳴り始めた。

国際フォーラムでひさしぶりに聴くジャーマン・フィジックスの音。
タイムロードが取り扱っていた時代は、インターナショナルオーディオショウで聴いていた。

輸入元がゼファンになってからは、
取扱いブランドの多さからなのだろうが、ジャーマン・フィジックスが鳴らされる時間は短かった。
ゼファン時代のジャーマン・フィジックスの音は、
インターナショナルオーディオショウでは聴く機会がなかった。

タイムロード時代のジャーマン・フィジックスと、
タクトシュトック時代のジャーマン・フィジックスは、けっこう違っている点もある。

鳴らすアンプも違う。
タイムロード時代はCDだったのが、
今回のタクトシュトックはLPのみだった。

そういう違いがあっても、鳴ってきた音を聴いた瞬間、
なんの異和感もなく、いい音だ、と思える。

Date: 6月 25th, 2023
Cate: ショウ雑感

2023年ショウ雑感(その3)

タクトシュトックでジャーマン・フィジックスの音を聴いたあと、
すぐに会場を出たので、滞在時間は二時間半ほどだから、
他に、いい音で鳴っていたブースもあるかもしれないと思いつつも、
ジャーマン・フィジックスのHRS130の音は、
今年のOTOTENで、聴いておくべき、と断言したくなるほどに、うまく鳴っていた。

昨年9月に、銀座のサウンドクリエイトでHRS130を聴いている。
その音と、今回のタクトシュトックのブースでの音を比較してあれこれ言うのは、
控えたいと思いながらも、それでも今回の音はうまく鳴っていた。

ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットならではの音が鳴っていた。

HRS130は、サウンドクリエイトに今年から常設されているはずだから、
昨年の音よりもよく鳴っていることだって考えられる。

なので、ここではあくまでも約一年ほど前の音との比較なのだが、
今回のHRS130の音を聴いた人のなかには、なにか感じるものがあった人がきっといるだろう。

タクトシュトックのスタッフが話していたのは、十人、この音を聴いたら、
九人が不思議なスピーカーと感じ、のこり一人が、この魅力から離れられなくなる、と。

十人中一人。
一割。

私の感覚では、これまでは、もっと少ないように感じていた。
一割いたのであれば、ジャーマン・フィジックスは輸入が止ることもなかっただろう。

けれど、十一年、輸入元がなかったのが現実である。

Date: 6月 25th, 2023
Cate: ショウ雑感

2023年ショウ雑感(その2)

OTOTENに行ってきた。
予定では土曜日(24日)に行くつもりだったが、
どうにも都合がつかなくなり、今日(25日)になった。

今日は夕方からもともと予定があったので、会場にいられる時間も短い。
そうなると、ジャーマン・フィジックスの音は聴けないかもしれない──。
今回、ジャーマン・フィジックスの輸入元であるタクトシュトックは、
スペックとの合同ブースだから、スケジュール的に合わなくて、という可能性はけっこうある。

それでも聴ける可能性はあるのだから、と思いながら、12時ごろに会場到着。
まずタクトシュトックのブースに行く。

13時30分からジャーマン・フィジックスのHRS130が鳴らされる。
これならば、一時間、途中で抜け出すことなくHRS130の音が聴ける。

それまでの一時間ちょっとのあいだ、他のブースに入ってみた。
といっても二つだけである。

たまたまなのだろうが、最初のブースも、次のブースも、
そしてタクトシュトックのブースでも、アナログディスクでの音出しだった。

どこのブースだったのかは書かないが、
最初のブースでは、LPをかけるときにヒゲをつけるかけ方をしていた。
なんとも無頓着で、スピンドルの先端でLPの中心穴周辺をこすっている。

LPのヒゲに無頓着の人は、けっこういる。
音質には関係ないだろう──、
そういわれればそれまでなのだが、そんな扱いをされたLPは、
どんなにきれいにクリーニングされていても、
「五味オーディオ教室」でオーディオの世界に入ってきた者にとっては、
《レコードを、つまりは音楽をいかに大切に扱い、考えるかを端的に示すこれは一条項だろう》、
ということを思い出させる。

Date: 6月 21st, 2023
Cate: 「オーディオ」考

時代の軽量化(その21)

オーディオに限らず、どの分野、とくに趣味の世界では、
自称オーソリティがすくなからずいる。

他称オーソリティももちろんいるのだけれど、
その他称オーソリティのなかには、自称オーソリティが認めるオーソリティだったりして、
実のところ、自称オーソリティとなんらかわらないだけの、あやしいオーソリティだったりする。

そんなふうに感じているのは私ぐらいのものか、と思っていたら、
そうではなかった。

やっぱりそうなんだなぁ……、とおもうしかない。

自称オーソリティの周りには、類は友を呼ぶわけだから、
同じ人たちが集まって、互いに、あの人はオーディオのオーソリティですから、と呼ぶ。

そういう時代である。

Date: 6月 21st, 2023
Cate: きく

クレデンザをきいて(その1)

昨日、映画を二本観ていた。
「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」と「ザ・フラッシュ」だ。

どちらもハリウッドの大作で、CGを多用した作品。
どちらもIMAX Laserの劇場で観た。

こうい作品をIMAXで観るたびに、
この映画の上映、一回あたりの使用電気量はいったいいくらなのだろうか、と思う。

スクリーンに映し出されるディテールの明瞭度、
それに音。
そうとうな電気量なのだから、入場料金が高くなるのもしょうがない、と思う。

それにこれら二本の作品は上映だけに多くの電気を必要とするわけではなく、
制作においても、そうとうな電気を消費している。

とにかくそうやってできあがった作品を、二本観た次の日、
つまり今日、アクースティック蓄音器の王様といわれるクレデンザを聴いてきた。

それも二箇所で聴いてきた。

一箇所目のクレデンザはゼンマイ式、
二箇所目のクレデンザはモーター式。

ゼンマイ式のクレデンザは、電気をまったく必要としない。
モーター式のクレデンザはディスクの回転のための電気は必要とするものの、
音を出す仕組み(構造)には、まったく電気は使われていない。

音は電気信号に変換されることなく鳴ってくる。

Date: 6月 16th, 2023
Cate: コントロールアンプ像

コントロールアンプと短歌(その13)

私がオーディオに関心をもち始めたころ、
1970年代後半には、チューナー付きのコントロールアンプが存在していた。

チューナーとプリメインアンプが一対になったものはレシーバーと呼ばれ、
一時期はそこそこのモデルが用意されていた。
日本でもそうだったけれど、アメリカやヨーロッパでは、もっと多くのモデルが用意されていた。

けれどチューナー付きのコントロールアンプとなると、少ない。
他にもあったのかもしれないが、
私の記憶にあるのはナカミチの630とマッキントッシュのMXで始まる型番のモデル、
それからブラウンのCES1020くらいだ。

需要がなかったから──、といわれればそれまでなのだが、
いまの時代になってみると、チューナー付きのコントロールアンプのことが気になってくる。

この項では、コントロールアンプのバラストとしての機能をふくめて書いている。
バラストなのだから、時代によって、その形態は変化していくのかもしれない。

TIDALを始めとして、ストリーミングで音楽を聴くことが浸透していくことで、
コントロールアンプのバラストとしての形態は、
チューナー付きコントロールアンプ的な製品が登場するのかもしれない、と思わせる。

Date: 6月 16th, 2023
Cate: 表現する

熱っぽく、とは(その4)

ステレオサウンド 208号の特集「オーディオ評論家の音 評論家による評論家訪問」では、
傅 信幸氏のリスニングルームを黛 健司氏、
宮下 博氏のリスニングルームを傅 信幸氏、
山本浩司氏のリスニングルームを宮下 博氏、
黛 健司氏のリスニングルームを山本浩司氏が訪問している。

227号の特集「待望のニューモデル導入顛末記」に登場しているのは、
傅 信幸、黛 健司、三浦孝仁、山之内正、宮下 博の五氏。

三浦孝仁氏、山之内正氏は、208号には登場していないが、
三浦氏は195号の「オーディオ評論家の音 評論家による評論家訪問」に登場。
和田博巳氏が訪問されている。

ならばだ、黛氏に傅氏の音、
山本氏に黛氏の音、
和田氏に三浦氏の音、
傅氏に宮下氏の音を聴いてもらおうとは、
ステレオサウンド編集部の誰一人として考えなかったのか。