Archive for 11月, 2019

Date: 11月 30th, 2019
Cate: 真空管アンプ

Western Electric 300-B(その24)

300Bのプッシュプルアンプは、私にとってのグッドリプロダクション・アンプなだけに、
徹底してオーディオ機器としての音色を磨き上げたい。

そのためにしたいことは、徹底的に灰汁をとっていくことだ。
面倒がらずにていねいに灰汁をとっていくことでしか得られない味があるように、
アンプの内部からも、そういう灰汁へと結びついていく要素を面倒がらずにていねいになくしていく。

部品を吟味していくだけでは、
良質の素材を用意しただけではおいしい料理がつくれないのと同じで、
雜味のたっぷり残った音は、私の望む音色ではない。

そういう300Bのプッシュプルアンプをつくりたいのだから、
(その23)で書いているように、
配線方法にいままで真空管アンプに採用されたことのないやり方でいく。

もしかすると誰かが既に試しているかもしれないが、
少なくとも私がこれまで見てきた真空管アンプ、
メーカー製、オーディオ雑誌の記事などでは見たことはない。

周囲のケーブルに影響を与えない、
周囲のケーブルからの影響を受けにくいような方式を採用すべき、と書いているが、
だからといってシールド線を使えばいい、というものではない。

中学生のころは、なぜ シールド線を、
信号系ではなく電源系の配線に使わないのか、と疑問だった。

私になりに、その理由をいくつか考えた。
それでも疑問点は残ったままでもあった。

300Bのプッシュプルアンプに採用するやり方は、大袈裟にはならない。
パッと見て、どんなことをやっているのかわからないところがある。
それがいいな、と思っている。

Date: 11月 30th, 2019
Cate: ショウ雑感

2019年ショウ雑感(その25)

アナログディスクをかけるブースは、数年前から増えてきている。
いいことだと思いながらも、
増えることによって、アナログディスク再生の難しさも露呈してきているように感じてもいる。

アナログディスクをかけたから、どなんかけかたでもいい音が出るというわけではない。
むしろCDよりもずっと使い手(鳴らし手)の技倆が、はっきりと音に出てくる。

もちろん使用機材の良し悪しも関係してくるわけだが、それでも使いこなしも重要であり、
それ以上に、と考えるのは、
鳴らし手が、これまでどういう音でアナログディスクを再生してきたか、である。

ようするに、ここでも「音は人なり」ということをいいたい。

どこのブースなのかは書かない。
あまりにもひどかったからだ。

アナログディスクの音は、鳴らし手によっては、
硬く冷たい表情であることが多々ある。

CDよりも、ひどく鳴った場合の音は、ほんとうにひどい。

そのブースで鳴っていた音は、骨格だけの音のようにも感じた。
ゴリゴリした感触しかない音で、
しかもその骨格の均整が崩れてしまっている、としかいいようのない音だった。

なのにそのブースの人は、アナログディスクの魅力を十全に鳴らしきった──、
そんな感じの話をしていた。

その時の音の表現は、アナログディスクの魅力を語る際によく使われる類だった。
なのに、出てきた音は、そんな表現とは正反対にしか私の耳にはきこえなかった。

私には、鳴らしている人の表情は満足げにみえた。
だから、鳴っていた音は、その人が鳴らしたかった音であるのは間違いない。

こういう音と、その表情は何を語っているのか、と考えると、
結局は「音は人なり」は、常に真理であることに行き着いてしまう。

Date: 11月 29th, 2019
Cate: 黄金の組合せ

黄金の組合せ(その31)

別項の「リファレンス考」に書こうかな、と考えたが、
facebookへのコメントは「黄金の組合せ」に対してあったので、こちらで書こう。

オーディオにおいて、リファレンス(reference)をどう訳すか、となると、
私は標準原器を第一にもってきたい。

標準原器としてのアナログプレーヤー、
標準原器としてのCDプレーヤー、
標準原器としてのコントロールアンプ、
標準原器としてのパワーアンプ、
標準原器としてのスピーカーシステム、
それぞれをまず具体的にイメージしてみてほしい。

その30)へのコメントには、
「リファレンス」が「最高のもの」を示すマーケティング擁護として使われているからではないか、
その一例として、テクニクスのフラッグシップモデルが、「リファレンス」を冠している、
とあった。

たしかに「リファレンス」はそういう使われ方をされることが、
オーディオ業界では多い。

私が知る限りでは、Referenceを型番として採用した最初のオーディオ機器は、
トーレンスのReferenceである。

それから数年後に、ゴールドムンドの、やはりアナログプレーヤーがReferenceという型番で登場した。
このゴールドムンドのReferenceから、
「リファレンス」はそういう使われ方へと変化していったように、私は感じている。

トーレンスのReferenceの記事は、ステレオサウンド 56号に載っている。
瀬川先生が書かれている。
     *
 ことしの3月に、パリの国際オーディオフェア(アンテルナシォナル・フェスティヴァル・デュ・ソン)に出席の途中に、スイスに立寄ってトーレンス社を訪問した。そのときすでにこの製品の最初のロット約10台が工場の生産ラインに乗っていたが、トーンレス本社で社長のレミ・トーレンス氏に会って話を聞いてみると、トーレンス社としても、これを製品として市販することは、はじめ全く考えていなかった、のだそうだ。
「リファレンス」という名のとおり、最初これはトーレンス社が、社内での研究用として作りあげた。アームの取付けかたなどに、製品として少々未消化な形をとっているのも、そのことの裏づけといえる。
 製品化を考慮していないから、費用も大きさも扱いやすさなども殆ど無視して、ただ、ベルトドライヴ・ターンテーブルの性能の限界を極めるため、そして、世界じゅうのアームを交換して研究するために、つまりただひたすら研究用、実験用としてのみ、を目的として作りあげた。
     *
トーレンスのreferenceは、トーレンスがつくりあげた標準原器である、
と、この文章を読んでも私はそう思う。

ところがゴールドムンドのReferenceとなると、
まずReferenceという型番ありきの開発だったのではないのか。

Date: 11月 28th, 2019
Cate: 黄金の組合せ

黄金の組合せ(その30)

リファレンス機器についての読者からの問い合せを三度ほど受けたことがある。
電話での問い合せだった。

一人の方は、具体的に海外製の高価な、そして高評価なオーディオ機器の型番をあげて、
なぜ、○○がリファレンスとして採用されないのですか──、ということだった。
採用されない理由は、読者にいえないことなのか、という勘ぐりも含まれていた。

別の人は、ステレオサウンドで使っているリファレンス機器が、
いちばんいいんでしょう、と念押し的な問い合せだった。

どちらの問い合せも、リファレンス(reference)の意味を取り違えている。
だから、そのことから話すことになった。

電話をかけてこられた方には直接説明できる。
けれど、編集部に電話をかけてくる人は、ほんとうに稀である。
それ以外の人で、リファレンス機器の意味を勘違いしたままの人は、
もしかすると、ずっとそのままな可能性も高い。

そしてステレオサウンド試聴室のリファレンス機器ということは、
それが一つの御墨付になってしまったようにも思っている。

ステレオサウンドのどこにも、リファレンス機器が、
その時点での最高のオーディオ機器だ、なんてことは書いてない。

別項の「リファレンス考」を読んでもらえればわかるように、
リファレンス機器にはリファレンスとして求められる条件がけっこうある。

だから私がいたころも、
アンプはマッキントッシュからアキュフェーズへと替った。

マッキントッシュとアキュフェーズのどちらが優れているか、
そういうことではない、ということがいまだ浸透していないのか。

Date: 11月 28th, 2019
Cate: 黄金の組合せ

黄金の組合せ(その29)

先ほど公開した「リファレンス考(その10)」の一つ前(その9)は、
二年半前に公開している。

それを思い出したように続きを書き始めたのは、この項に関係してくるからである。
おそらくなのだが、JBLの4343に代表されるスタジオモニターと、
マッキントッシュの同時代のアンプとを黄金の組合せというのは、
どちらもそのころのステレオサウンド試聴室のリファレンス機器であったことが、
深く関係しているのではないのか。

瀬川先生が生きておられたころは、
リファレンス機器は、特にアンプは人によって違っていた。

スピーカーはJBLの4343で、ほぼ固定といえたが、
アンプに関してはそうではなかった。

それが1981年夏に瀬川先生が二度目の入院をされて、
そして三ヵ月後に亡くなられてからは、アンプに関しては変化があった。

ほぼマッキントッシュのペアが、リファレンスとなった。
C29とMC2205(後にMC2255に替る)がそうだった。

1981年夏の別冊「81世界の最新セパレートアンプ総テスト」でもそうだ。
このことが、黄金の組合せと結びついていったのではないか。

トーレンスのReferenceのせい、といってしまうと言い過ぎなのだが、
日本のオーディオマニアは、リファレンス・イコール・最高のオーディオ機器、
そんな認識を持っている人が少なくないように感じている。

「リファレンス考」でも書いているのように、
リファレンスは、ひとつの基準・参照である。
なにも最高のオーディオ機器ということではない。

この勘違いが、JBLとマッキントッシュが「黄金の組合せ」といつしかなっていった。

Date: 11月 28th, 2019
Cate: ショウ雑感

2019年ショウ雑感(その24)

1974年に、日本で「エクソシスト」が公開になった。
当時,とても話題になっていた。

まだ小学生だったこと、
「エクソシスト」を上映している映画館は、バスで一時間ほどのところにあるため、
母と弟と一緒に観た。

怖かったし、気持悪かった。
観終っても、一ヵ月ほどは、その怖さが抜けきらなかったほどだった。

でも、ホラー映画を含めて、怖いおもいができる映画が好きである。
この手の映画が苦手な人は、
なぜお金を払ってまで怖いおもいをしに行くのか、という。

いわれてみると、そうだな、と思いつつも、
ここ十年ほどは、心底怖かった、とおもえる映画にであえていない。

「エクソシスト」はグロテスクでもあった。
そのグロテスクさと、幻想交響曲のグロテスクさを一緒くたにするつもりはないが、
いまの時代は、グロテスクさやグロテスク的なものを排除か、
そこまでいかなくともかなり薄めてしまっている面も感じるといえば、そうだ。

不特定多数の人が来場するオーディオショウのブースで、
はっきりとグロテスクさが感じられる演奏、音を鳴らすのは時代にそぐわないのか。

Date: 11月 28th, 2019
Cate: ショウ雑感

2019年ショウ雑感(その23)

オーディオショウに行く楽しみの一つに、
未知のディスクとの出逢いがある、という人は多いはずだ。

今年のOTOTENでは、アンジェリーク・キジョー(Angélique Kidjo)と出逢えた。
インターナショナルオーディオショウは、残念ながらなかった。

たまたま私が行ったブースではなかった、というだけのことかもしれない。
他のブース、行って聴いたブースでも、違う時間帯であれば、
また違っていた可能性はあるけれど、今回はなかったのは変えようがない。

そういえば、今年のインターナショナルオーディオショウでは、
ベルリオーズの幻想交響曲が、いくつかのブースで鳴っていた。
指揮者はそれぞれ違っていた。

去年のインターナショナルオーディオショウでも、幻想交響曲を聴いている。
これもまた今年聴いた演奏とは違う。

幻想交響曲は、また、よく使われるようになっているのか。
正直どうでもいいや、と思いながらも、
幻想交響曲がもつグロテスクさのようなところは、
演奏のせいなのか、録音のせいなのか、
それともそこで鳴っていた音がいちばん影響しているのか、
残念ながら感じとれなかった。

Date: 11月 28th, 2019
Cate: Reference

リファレンス考(その10)

1980年代になってから、試聴室のリファレンス機器には、
バランス伝送に対応しているかどうかも重要となってくる。

バランス出力が、アンバランス出力よりも必ずしも、
性能的にも音質的にも優れているとはいえない。

どうやってバランス信号をつくり出しているのか。
それによっては、アンバランス出力のほうが、ずっと音がいいことは意外に多い。

しっかりとバランス信号をつくり出している機器であっても、
受け側のバランス入力が、どうなっているかによっては、同じことがいえる。

バランスだから、アンバランスよりも音がいい、とは必ずしもいえないわけで、
と同時に、アンバランス/バランス入出力がついていたとしても、
そのメーカーは、どちらを基準としているかという問題もある。

そういったことも試聴で確認していくためには、
しっかりとしたアンバランス/バランス入出力をもつコントロールアンプ、
アンバランス/バランス入力のパワーアンプ、
アンバランス/バランス出力のCDプレーヤーなどが必要となってくる。

絶対必要条件ではないが、きちんとした試聴を行おうとするのであれば、
要らない、とはならない。

バランス伝送では、
特にトランスを使ってのバランス伝送ではインピーダンスマッチングをどうするかも重要となる。

出力段の最後にトランスを入れて、バランス信号をつくり出す。
一般的に二次側のインピーダンスが600Ωであれば、
このトランスの出力を受ける側の入力インピーダンスは、原則として600Ωでなければならない。

けれど現実には、そうなっていないことが多い。

Date: 11月 28th, 2019
Cate: ジャーナリズム, 広告

「タイアップ記事なんて、なくなればいい」という記事(その4)

デノンのプリメインアンプのPMA-SX1 LIMITED EDITIONと、
SACDプレーヤーのDCD-SX1 LIMITED EDITIONのタイアップ記事には、
必ずといっていいほど、デノンの山内慎一氏が登場している。

開発に携わった人が誌面、ウェブサイトに登場するのは、
昔からよくあることだし、開発者ならではの話は興味深いこともある(そうでないこともある)。

それにしても、よく登場されるな、と思いながら見ていた。
今月発売のステレオの表紙にも登場されている。

デノンが、PMA-SX1 LIMITED EDITIONとDCD-SX1 LIMITED EDITIONにかける意気込みが、
よくわかるといえばそうだけど、もう聴く前からお腹いっぱい、そんな感じがしてくる。

インターナショナルオーディオショウのデノンのブースでは、
この二機種が鳴っていたはずである。

私はデノンのブースには寄らなかった。
もうお腹いっぱい、という感じだったからだ。

ここまでくると逆効果と感じる人も出てきているのではないだろうか。

「音は人なり」とずっと以前からいわれてきているし、
私自身も、ここでしつこいぐらいち書いてきている。

なので開発者という「人」が誌面に登場するのはいいことだと思っているが、
ここまでくると、どうだろうか、と何かいいたくなる。

同じようなことが二十年くらい前にもあった。
ケンウッドからミニコンポの高級版といえるK’sシリーズが出た。

この時も、オーディオ各誌に、開発を主導した人がよく登場していた。
たしかEさんだった、と記憶している。

Date: 11月 28th, 2019
Cate: 黄金の組合せ

黄金の組合せ(その28)

つまりJBLの、1970年代後半以降のスタジオモニターと、
同時代のマッキントッシュのアンプの組合せは、
黄金の組合せなんかじゃない、と私は断言する。

それでもインターネット、SNS上には、
これこそ黄金の組合せ、とあったりするのはどうしてなのか。

この時代になると、ジャズといっても、多彩になってきている。
録音も、器材の変化、方法の変化などがある。

ジャズにとっての黄金の組合せ、というふうにくくっても、
私には、そうとは思えない。

いまでもそういっている人たちは、いったいどこで黄金の組合せを目にしたのか。
ほんとうに目にしたのか。そのことすら疑いたくなる。

では、瀬川先生が、4343の組合せとして、
マークレビンソンのML2以前は、
マークレビンそのLNP2とSAEのMark 2500のペアを、よく組み合わせられていたし、
瀬川先生自身、この組合せを愛用されていた。

だからといって、4343、LNP2+Mark 2500が黄金の組合せかというと、
誰もそんななことはいっていな。
瀬川先生もいっていない。

私も、この組合せを一度も黄金の組合せだ、というふうに考えたこともない。
憧れの組合せではあったし、その時点での理想に近い組合せのようにも思っていた。

思うのだが、黄金の組合せという表現を使いたがる人は、
白黒つけたがる人、はっりきと順位を決めたがる人なのではないのか。

黄金の組合せの「黄金」は、そういう人たちにとっては金メダルという意味なのか。

Date: 11月 28th, 2019
Cate: アクセサリー

仮想アース(こういう方法も……・その2)

小学校三、四年のときと記憶している。
私が通っていた小学校には、各教室にラジオがあった。
真空管式の、だからかなり古いラジオである。

何かで使っていたわけでもない。
昔から設置されていて、それがそのまま放置されていた感じだった。

授業でラジオを聴くことになった。
何の授業でそうなったのかは、もう忘れてしまった。

ラジオのスイッチを入れる。
教室にあったラジオに電源が入ったのは、ひさしぶりのことのはずだ。
なので満足な受信はできなかった。

動作は明らかに不安定だった。
誰かが軽く叩いてみたり、置き場所、方向を変えてみたりしても、
ほとんど変化しない。

このラジオからは、一本のアース線が出ていた。
それをクラスの誰かが、いたずら半分なのだったと思うが、
パクッと口にくわえた。

その瞬間、ラジオからはっきりと音声が鳴ってきた。
みんな、わーっとなった。

いま思えば、これも仮想アースなのだろう。
すぐに試せる仮想アースともいえる。

けれど銅線を舌の上に置いているわけだし、
ピリピリする、ともいっていた記憶がある。

彼がアース線を口から出すと、途端に聞こえが悪くなる。
みんな、ブーッという。
しかたなくまたくわえる。

なので、効果はあったとしても、くわえている人にまったく害がないのはいえない。
私も、こればかりは試していない。
でも、効果ははっきりとあらわれそうである。

Date: 11月 28th, 2019
Cate: アクセサリー

仮想アース(こういう方法も……・その1)

昔から大地アースをきちんとやれば、音が良くなる、とはいわれ続けている。
一戸建て、リスニングルームが一階であれば、大地アースをやろうと思えばできる。

一戸建てでも二階がリスニングルームだと、
アース線が長くなりすぎて……、という意見もある。

どちらも試したことはないからはっきりしたことはいえない。

それでもこれまで住んできた賃貸住宅では、
アース端子がACコンセントのあったところもある。
試しに接いでみたことはある。
知人宅でもやったことはある。

私が試した範囲内でいえることは、
一度は試してみた方がいい、ぐらいである。

良くなるともいえるし、そうでもないともいえる。
ケース・バイ・ケースである。

ここ数年、仮想アースのアクセサリーが増えてきたように感じている。
以前から仮想アースのアクセサリーは、数少ないながらもあった。
私も、ある人から貰ったモノが一つある。

仮想アースは、いくつかのタイプがある。
自作して試せるタイプもある。

大地アースが無理ならば仮想アース。
そう考える人が増えているのだろうか。

昔からよくいわれていることがある。
大地アースが大事だ、といわれると、
では、人工衛星や宇宙ステーションでは、どうしているのか、である。

宇宙空間にあるわけだから、大地アースは無理である。
それでもそこに積まれている電子機器は動いている。

仮想アースも、結局はケース・バイ・ケースとしかいいようがない。
いろいろ試してみるしかないわけだ。

そんなことを昨日、いつものオーディオ仲間と話していた。
で半ば冗談で、小学生時代のことを話した。
別項「平成をふり返って(その3)」で書いていることだ。

Date: 11月 27th, 2019
Cate: 黄金の組合せ

黄金の組合せ(その27)

1970年代後半のJBLのスタジオモニターとマッキントッシュのアンプの組合せ、
これを黄金の組合せと認識している人が、インターネット上にはけっこういるようだ。

でも、黄金の組合せだ、とは私は一度も思ったことがない。
いったい誰がそんなことをいっていたのか。
それすらも疑問である。

JBLのスピーカーでも、それ以前のオリンパスやパラゴンなどで、
古いジャズを聴くのであればマッキントッシュとの組合せというのも、しっくりくる。

けれど4341、4343が登場し、
JBLのスタジオモニターもワイドレンジ指向になっていた。
同時代のマッキントッシュのアンプは、
JBLのスタジオモニターの変化と追従していたわけではない。

それぞれ独立したメーカーなのだからそれでいいのだが、
4343とそのころのマッキントッシュのアンプとでは、
マッキントッシュのアンプのほうに古さを感じてしまう。

もちろん、それで聴きたい音楽がうまく鳴ってくれればいい。
それはわかったうえで、ではジャズの世界でも録音も変ってきていた。

具体的にあげればECMの録音を、
JBLの4343をマークレビンソンとSAE、スレッショルドのアンプで鳴らす音と、
マッキントッシュの、やや古さを残したアンプで鳴らすのとでは、
比較試聴をするまでもなく、前者の組合せがしっくりとくる。

マッキントッシュのアンプも1980年ごろから変化していった。
古さはなくなっていく。
それでもステレオサウンドの試聴室で、
C29とMC2205のペアを聴いた時、
ローレベルの音の粗さに驚いたことがある。

Date: 11月 27th, 2019
Cate: High Resolution

MQAのこと、文教堂市ヶ谷店のこと

書店が取り扱っているのは本だけではなく、
文具やCD、DVDなども扱っているところもある。

市ヶ谷駅近くの文教堂の書店も、入口の近くにCD、DVDコーナーがある。
といっても小さなコーナーである。

そこにMQA-CDがまとめて置いてある。
CD、DVDは壁に据えつけの棚なのだが、
MQA-CDは支柱があって回転するタイプの什器で、別においてある。

ユニバーサルミュージックのMQA-CDの、邦楽以外のタイトルではあるが、
見つけた時は嬉しかった。

なぜかMQA-CD、ハイレゾとか、そういうポップ広告があるわけでもない。
ただMQA-CDだけがまとめられている。

なぜあるのか、それはわからない。
店長がオーディオマニアなのか。

とにかく文教堂市ヶ谷店では、MQA-CDが売っている。

Date: 11月 27th, 2019
Cate: ハイエンドオーディオ

ハイエンドオーディオ考(その1)

昨年3月に「ハイエンドオーディオ考を書くにあたって」を書いた。
一年半ほどそのままにしていた。

このブログの目標である10,000本まであと100本を切っている。
このままだと10,000本を書き終っても、
「ハイエンドオーディオ考」を書き始めないな、と自分でも思い始めた。

それに今年のインターナショナルオーディオショウで、
あらためてFMアコースティックスの音を、惚れ惚れと聴いていた。

なので、やっと書く気になった次第だ。

インターナショナルオーディオショウで聴いたFMアコースティックスのパワーアンプは、
FM711MKIIIは、11,400,000円である。
一千万円を超えるアンプであるが、FMアコースティックスのフラッグシップモデルではない。
その上がある。

FMアコースティックスのアンプは、価格的にはハイエンドオーディオということになろう。
でも、アクシスのブースで、その音を聴いていて、
FMアコースティックスは果してハイエンドオーディオという括りに含まれるのか、と疑問に感じていた。

ハイエンドオーディオのはっきりとした定義は、どこかにあるのだろうか。

ハイスペックオーディオならば、ハイエンドオーディオよりもずっとわかりやすい。
ハイプライスオーディオもまたそうだ。

どちらも数字が表わしてくれるからだ。
数字だけではない、能書きもそうである。

FMアコースティックスのアンプは、確かにハイプライスだ。
けれど、アクシスのスタッフがショウで話していたように、
FM711にしてもMKIIIになっているが、
改良モデルが出る度に、FMアコースティックスにどんな変更が加えられたのか問い合せても、
まったく返答がない、ということ。

FMアコースティックスのアンプは、あまり能書きがない。
CMRRは優秀な特性ぐらいは伝えているが、
それにしても改良モデルの登場によって、どう向上しているかの情報もない。