リファレンス考(その10)
1980年代になってから、試聴室のリファレンス機器には、
バランス伝送に対応しているかどうかも重要となってくる。
バランス出力が、アンバランス出力よりも必ずしも、
性能的にも音質的にも優れているとはいえない。
どうやってバランス信号をつくり出しているのか。
それによっては、アンバランス出力のほうが、ずっと音がいいことは意外に多い。
しっかりとバランス信号をつくり出している機器であっても、
受け側のバランス入力が、どうなっているかによっては、同じことがいえる。
バランスだから、アンバランスよりも音がいい、とは必ずしもいえないわけで、
と同時に、アンバランス/バランス入出力がついていたとしても、
そのメーカーは、どちらを基準としているかという問題もある。
そういったことも試聴で確認していくためには、
しっかりとしたアンバランス/バランス入出力をもつコントロールアンプ、
アンバランス/バランス入力のパワーアンプ、
アンバランス/バランス出力のCDプレーヤーなどが必要となってくる。
絶対必要条件ではないが、きちんとした試聴を行おうとするのであれば、
要らない、とはならない。
バランス伝送では、
特にトランスを使ってのバランス伝送ではインピーダンスマッチングをどうするかも重要となる。
出力段の最後にトランスを入れて、バランス信号をつくり出す。
一般的に二次側のインピーダンスが600Ωであれば、
このトランスの出力を受ける側の入力インピーダンスは、原則として600Ωでなければならない。
けれど現実には、そうなっていないことが多い。