Archive for 9月, 2022

Date: 9月 30th, 2022
Cate: 新製品

Meridian 210 Streamer(その8)

実を言うと、TDA1541Aは、いま三つ所有している。
NOSのD/Aコンバーターを、いつかは作ろうと思って、取っておいたモノだ。

なので、以前からTDA1541Aは、
どこまでのサンプリング周波数に対応できるのかは、きちんとしたところが知りたかった。

ところが情報が錯綜しているというか、
はっきりとしたことはわからなかった時期もあった。

今回、メリディアンの210の登場によって、改めて調べてみた。
Audialというブランドに行き着いた。

S5 DACという製品がある。
このS5 DACは、TDA1541Aを搭載したNOS D/Aコンバーターである。

S5 DACの製品ページをには、こう書いてある。

●Non-Oversampling, real multibit TDA1541A DAC
●Master USB device (“asynchronous USB”), operating up to 384 kHz, with galvanic isolation and two low jitter master clocks

S5 DACのページには、TDA1541Aに関する興味深いことも記されている。

Date: 9月 29th, 2022
Cate: 新製品

Meridian 210 Streamer(その7)

Mojoより上のグレードの、同じChordのD/Aコンバーターと組み合わせていったら、
どんな音がしてくるのだろうか。

Hugoがあって、Daveがあるわけだが、メリディアンの210は、
どのグレードまで対等に対応するのだろうか、ここにも興味がある。
単純に価格的にはHugoあたりまでだろうが、
それぞれの機能と価格ということを考慮すると、まだまだいけそうな感じもする。

現行機種でMQAに対応していないD/Aコンバーターと210の組合せもいいけれど、
同じくらいに私が関心があるのは、少し古い世代のD/Aコンバーターとの組合せの音だ。

たとえばワディアのD/Aコンバーター、
それも以前のD/Aコンバーターと210との音はどんなだろうか。

そのころのワディアのD/Aコンバーターは、
32kHz、44.1kHz、48kHzのサンプリング周波数にしか対応していない。
88.2kHz、96kHzには対応していない。

それでも、その音を聴いてみたい。
TIDALでは、44.1kHz、48kHzのMQAのアルバムはかなりの数が配信されている。
グレン・グールドも44.1kHzである。
私は、その音を聴いてみたい。

そしてさらに聴いてみたいと思っているのが、もうひとつある。
フィリップスのD/Aコンバーター・チップ、TDA1541のノン・オーバー・サンプリングの音だ。

TDA1541はいまから四十年ほど前のD/Aコンバーターである。
それこそ古すぎないか──、そういわれそうだが、
以前見たTDA1541に関する記事では、96kHzまで対応できる、とあった。

そうであるならば、
TDA1541のノン・オーバー・サンプリング(NOS)D/Aコンバーターは、
210との組合せで96kHzまでのMQAのコアデコードの音が聴けるわけだ。

Date: 9月 29th, 2022
Cate: 新製品

Meridian 210 Streamer(その6)

メリディアンの210で試したいことの一番は、
MQAに対応していないD/Aコンバーターとの組合せである。

といっても私が所有しているD/Aコンバーターといえば、
メリディアンの218とChordのMojo、それにいわゆるTiny USB DACだけである。

このなかで、MQAにまったく対応していないのはMojoだけ。
なのでMojoでしか試すことができなかった。

これまでMojoでは、
iOS対応のアプリ、Amarra Playがソフトウェアによるコアデコードを行ってくれるので、
iPhoneとの接続でその音は聴いてきていた。

とはいえ、別項で触れているようにAmarra Playのコアデコードは、
途中のヴァージョンから、
サンプリング周波数を二倍にアップしたうえで出力するようになり、
レンダリングのみMQA対応D/Aコンバーターとの組合せでは、フルデコードができなくなった。

MQAのフルデコードは、コアデコードとレンダリングの両方が行われてのことだ。

210とMojoを接続する。
iPhoneとの接続はUSBだったが、210との接続はSPDIFである。
MojoのSPDIF入力は3.5mmのミニジャックなので、
デジタルケーブルは片側が3.5mmのミニプラグのモノが必要となる。

そういう仕様のデジタルケーブルは市販されている。
それを購入しようかと思っていたら、RCAとミニプラグの変換アダプター持っていた。

デジタル伝送に関わるところなので、
プラグとはいえインピーダンスを考慮しなければならないのはわかっている。
けれど、市販されているRCA-ミニプラグのデジタルケーブルがそうなのか、
ちょっと疑問に感じるところもあったし、とにかく音を聴きたい欲求がまさって、
変換プラグを使っての音出しである。

結果を先に書くと、よかった。
だからといって、iPhone(Amarra Play)+Mojoの音との比較ではない。
Mojoより上流のシステムが、210を使う時とiPhoneとでは大きく違うため、
比較対象にはならないからだ。

Mojo以外のD/Aコンバーターとの組合せでも、聴いてみたい、と思った。

Date: 9月 28th, 2022
Cate: 新製品

Meridian 210 Streamer(その5)

メリディアンの210を借りて、いくつかのことを試していた。
ちょうど忙しい時期と重なっていて、
試しておきたかったことの半分もできなかったけれど、なかなかに楽しかったとともに、
210と同種の新製品はこれからけっこう登場してくるであろうが、
この種の製品の新製品の紹介記事はなかなかにやることがあって、
大変だろうな、と思ってもいた。

ストリーマーと呼ばれる製品はすでにいくつかある。
そんななかで、210が特徴的なのはMQAのコアデコード機能を有していることだ。

96kHzまでのコアデコードは、ソフトウェアデコードがいくつかある。
210はハードウェアデコードであり、
MQA対応のD/Aコンバーターも、もちろんハードウェアデコードである。

ソフトウェアによるコアデコード、ハードウェアによるコアデコード。
結果としての音がまったく同じならば、どちらでもいいわけだが、
いまのところ、私が聴いた範囲(それほど多くない)では、
やはりハードウェアデコードでMQAを聴いてほしい。

特に、まだMQAの音を聴いていない人は、ハードウェアデコード、
それもできればフルデコードの音を聴いてほしいところだが、
210の登場は、そこまでいかないけれど、ハードウェアによるコアデコードの音を、
多くのオーディオマニアに提供できる。

将来的にはソフトウェアデコードの音は良くなっていくことだろう。
いまはこんなことを言っている私でも、将来はソフトウェアデコードの音で十分、
もしくはソフトウェアデコードの音がいい──、
そんなことを言い出すかもしれないが、
少なくとも現時点では、私の聴いた範囲でのことなのだが、
ハードウェアデコードの音で、MQAの実力を判断してほしい、と思う。

Date: 9月 28th, 2022
Cate: ジャーナリズム, 広告

「タイアップ記事なんて、なくなればいい」という記事(パラダイムのスピーカーについて・その2)

オーディオアクセサリーの186号の特集「“ペルソナ”を愛する評論家たち」、
この記事の担当者だったら──、そんなことをつい想像してみた。

私だったら、こんな記事は作らない、というのは無しで、想像してみたわけだ。
そのうえで、昨晩、私が書いたことを誰かに問われたとしよう。
なんと答えるか。

「ステレオサウンドとは違います」とまず言う。
「B&Wの800シリーズをあれだけ高く評価しながらも、
ステレオサウンドの評論家は誰も買わないじゃないですか。
うち(オーディオアクセサリー)の評論家は買っていますから」と。

評論家だから(業界の人たちだから)、安く買っているのだろう、と勘ぐることもできる。
実際に、多少は安く買っているはずだ。
定価で購入ということはまず考えられない。

それでも、彼ら六人は導入(購入)しているわけだ。
どんなに記事中で、素晴らしいスピーカーだ、いい音だ、と絶賛しても、
誰一人購入しないのと、六人が購入しているのとでは違ってあたりまえ。

六人のうち数人はメインスピーカーとしての導入ではないようだが、
それでも導入したという事実は、なかなかの説得力をもつことになる。

私のように勘ぐる人にはそれほどの説得力とならないだろうが、
それでも、そんな私でも、こういうことを今書いているわけだ。

私は「“ペルソナ”を愛する評論家たち」はタイアップ記事と受け止めている。
では、ステレオサウンドでのB&Wの800シリーズの記事はなんなのか。
800シリーズを誰も購入しないから、タイアップ記事ではない、ということになるのか。

こんなふうに想像してみると、
「“ペルソナ”を愛する評論家たち」の担当編集者は、
叛骨精神を少しは持っているのではないだろうか。

実際のところなんともいえないのだが、
ステレオサウンドにおけるB&Wの800シリーズと、
オーディオアクセサリーにおけるパラダイムのPERSONAシリーズは、
もしかすると、これから面白い展開になっていくのではないだろうか。

Date: 9月 27th, 2022
Cate: ジャーナリズム, 広告

「タイアップ記事なんて、なくなればいい」という記事(パラダイムのスピーカーについて・その1)

オーディオアクセサリーの186号を、いまKindle Unlimitedで読んでいるところ。
特集は「“ペルソナ”を愛する評論家たち」である。

ペルソナ(PERSONA)とは、パラダイムのスピーカーシステムの名称。
「“ペルソナ”を愛する評論家たち」には、
PERSONAを導入した六人が誌面に登場している。

PERSONA B導入が五人、PERSONA 3Fが一人である。

読んでいて、すごいなぁ〜、と変な感心をしてしまった。
パラダイムのPERSONAシリーズは、どの機種も聴いていないので、
どのくらいの実力なのかは知らないが、
聴いたことのある友人によると、けっこういいスピーカーだよ、といっていた。

いいスピーカーシステムなのだろう。
それにしても……、と私はやはり思ってしまう。

オーディオアクセサリーの186号の表紙は、PERSONA Bである。
そして特集が「“ペルソナ”を愛する評論家たち」で、
オーディオアクセサリーの執筆者六人の導入記。

この特集記事を、素直に読む(受け止める)人の割合はどのくらいなのだろうか。
私は、すごい(あからさまな)タイアップ記事だなぁ〜、と感心した。

ここまで堂々とやられたら、すごいなぁ〜、と感心するしかない。

もちろん、六人とも、タイアップうんぬんとはまったく無関係で、
PERSONAシリーズを導入したのかもしれない。
その可能性を完全に否定はできない。

けれど、やり方というものがあるだろう。
たとえそうであったとしても、これではタイアップ記事とは思われかねない。

Date: 9月 27th, 2022
Cate: 菅野沖彦

Sugano 90(その1)

今日(9月27日)は、菅野先生の誕生日だ。
グレン・グールドと二日違いの誕生日で、グールドと同じ1932年生れである。

このことを以前、菅野先生に話したことがある。
菅野先生も、このことに特別な親近感、つながりを感じている──、
そういったことを話してくださった。

グールドも菅野先生も天秤座である。
占星術ではバランス感覚に優れる星座である。

占星術をまったく信じない人もいるだろうが、
グールドと菅野先生、どちらもバランス感覚に優れた人であり、
そのバランス感覚は、いわゆるちまちましたバランス感覚ではなく、
一方に大きく振り切ったら、その反対にも大きく振り切ることのできるバランス感覚である。

そんなこと、私だってできる──、
そんなことをいう人は、往々にして一方に振り切ることはできても、
その反対方向に振り切れるわけではなかったりする。

本人は反対方向に振り切っているつもりであっても、
最初に振り切った方向とたいして違わないところでの振り切りであったりする。

正しく反対方向を見定めることができなければ、
ここでいうバランス感覚をもつことはできない。

Date: 9月 26th, 2022
Cate: audio wednesday

第二回audio wednesday (next decade)

第二回audio wednesday (next decade)は、10月5日。
開始時間は18時。

今回も参加する人は数人だろうから、詳細はfacebookで。

Date: 9月 26th, 2022
Cate: アンチテーゼ, 平面バッフル

アンチテーゼとしての「音」(平面バッフル・その10)

パワーアンプの出力にコンデンサーをおくことで、
DC成分をカットするということは、
スピーカーのインピーダンスが8Ω、もしくはもっと低い値なために、
大容量でなければならない。

コンデンサーの容量が少なければ、低域のカットオフ周波数は高くなっていく。
十分に低い値のカットオフ周波数にするためには、かなりな大容量となり、
フィルムコンデンサーでは容量的に無理で、電解コンデンサーを使用することになる。

たださえ出力にコンデンサーをおきたくないのに、
しかも電解コンデンサーということに、ある種のアレルギーに近い反応をする人もいる。

しかし考えてみてほしい。
世の中のパワーアンプの大半はなんらかの保護回路を積んでいる。
保護回路のおかげで、ある程度安心して使えているわけなのだが、
保護回路が音質上好ましくないことは知られているし、
保護回路をなんとかしようと試みている技術者もいる。

ネルソン・パスが発表している一連のアンプには保護回路はない。
出力に入るコンデンサーがあるだけだ。

何度も書いてきているように、どんなことにもメリットとデメリットがある。
メリットだけのことは、まずないと思っていい。

電解コンデンサーが出力に入るデメリットは確かにある。
けれど、保護回路を省けるというメリットもある。

Date: 9月 25th, 2022
Cate: 選択
1 msg

オーディオ機器を選ぶということ(再会という選択・その10)

ロジャースのPM510の登場は1980年。
もう四十年以上前である。

ちなみにPM510は、ピーエム・ファイブ・テンと呼ぶ。

その四十年以上のあいだに、どれだけのスピーカーシステムが登場したのか。
数えたことはない。数えたことのある人は、ほとんどいないだろう。
とにかく多くのスピーカーシステムが世に登場している。

もちろん、それらすべてのスピーカーの音を聴いているわけではない。
それでも、PM510以降、
PM510的な音の世界、美しさを聴かせてくれるスピーカーは、あっただろうか。

PM510よりもあきらかに高性能ぶりを感じさせるスピーカーは、いくつもある。
これからもいくつも登場してくる。
けれど、PM510的な音の世界を響かせてくれるスピーカーの登場となると、
まったく期待できない、と思っている。

期待できないことを嘆きたいわけではなく、
スピーカーが進歩していくのであれば、それはそれで仕方ないこと。

それでも一度でもPM510の音に魅了された人、
PM510を自分のモノとしてきた人ならば、
そしてPM510をなんらかの理由で手離した人は、私だけではないはずだし、
そのうちの何割かは後悔に似た気持を持っているかもしれない。

程度のよいPM510は、ほとんどないのかもしれない。
でも、いつの日か、再会したいと思っているし、再会できるのかもしれない。

Date: 9月 25th, 2022
Cate: Glenn Gould, ディスク/ブック

Gould 90(その5)

日付が変って、今日は9月25日。
グレン・グールドの誕生日であり、グールドが生きていれば九十歳なのだが、
九十歳のグールドというのはなかなか想像がつかない。

今年はグレン・グールド生誕九十年、没後四十年ということで、
ソニー・クラシカルからいくつかの企画モノが発売になる。

いちばんの話題は、
1981年録音のゴールドベルグ変奏曲の未発表レコーディング・セッション・全テイク。
もちろん予約しているが、発売日が変更になり10月だ。

もう少し待つことになるわけだが、
今回の生誕九十年でひとつ期待していることがある。

別項で書いている“SATURDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO”。
今夏、ようやく発売になった。
TIDALでの配信も始まった。

同時に“FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO”も新たに配信しなおされた。
TIDALでは、これまでMQA Studio(44.1kHz)だったのが、
“SATURDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO”の配信が始まったら、
MQA Studio(176.4kHz)に変更されていた。

TIDALではグレン・グールドのアルバムもMQA Studio(44.1kHz)で配信されている。
これらがもしかすると、
MQA Studio(88.2kHz)かMQA Studio(176.4kHz)かになるかも──、
という儚い期待である。

グールドのアルバムは、以前CDボックスが発売された時に、
すべてDSDマスタリングされている。
だから88.1kHz、176.4kHzに期待したくなる。

同時に七年前のことも思い出す。
CDボックスだけでなく、USBメモリー版も発売になった。

この時、amazon、HMV、タワーレコードなどのサイトでは、
24bit/44.1kHz FLACとなっていたが、
ソニー・クラシカルのサイトでは、USBメモリー版はハイレゾ 24bit/96kHz FLACと書いてあった。
結局、ソニー・クラシカルのサイトも44.1kHzになっていた。

このこともあるから、もしかする今回こそ──、と期待してしまう。

Date: 9月 24th, 2022
Cate: 選択

オーディオ機器を選ぶということ(再会という選択・その9)

再会したいスピーカーといえば、やはりロジャースのPM510である。
PM510はII型も出ているけれど、これを改良モデルとは私はいいたくない。

PM510の音を高く評価していない人は、II型の音を改良された、と評価していた。
けれど、PM510の美点が、ほぼきれいさっぱり洗い流されてしまったかのように、
当時PM510を鳴らしていた私の耳には感じられた。

つまらないスピーカーになってしまった……、
これが私の正直な感想だった。
けれど世評は必ずしもそうではないことも、わかっていた。

瀬川先生が長生きされていたら、PM510の日本での評価も変ってきた──、
とは、だから思えない。
きっと瀬川先生も、II型の音は評価されなかったはず、と思っている。

ステレオサウンド 56号のPM510の記事を何度も読み返したことがある人ならば、
きっとそう思うであろう。

優婉な音。PM510の音は、まさにそうだった。
こんな低音では、ジャズのベースは聴けない──、
そういっていた人がいた。

そうだろうな、とは思っていたけれど、それがどうした! とも思っていた。
この人もII型の音のほうを高く評価していた。

PM510の中古は、一度だけ見たことがあるだけ。
それほど売れたスピーカーではないのだから、中古も出回らないだろう。

私が見たことがあるPM510の中古は、かなりくたびれていた。
PM510は長年使っていると、
ポリプロピレンコーンとエッジとの接着が剥れてしまうことがあるらしい。

ロジャースは、チャートウェルを買収して、LS5/8を出し、
そのコンシューマー版のPM510を出してきた。

ポリプロピレンコーンはチャートウェルが特許を取得していた。
その特許の内容は、どうも接着に関すること、と以前きいたことがある。
確認したわけではないので、はっきりとしたことはいえないが、
確かにポリプロピレンの接着は、当時は困難なことだった、らしい。

なので接着が剥れてしまうのも、しかたないのかもしれない。

Date: 9月 23rd, 2022
Cate: アンチテーゼ, 平面バッフル

アンチテーゼとしての「音」(平面バッフル・その9)

高能率型スピーカーを真空管アンプで鳴らすことには、
いまさらという抵抗感を感じる、という人もいるだろう。

抵抗感はないまでも半導体アンプで鳴らしたい、とうい人もいることだろう。

100dB前後の高能率型スピーカーであれば、
半導体アンプも市販品のそれをもとめるのではなく、自作という手がある。

自作といっても、おおがかりなものではなく、
以前別項で触れたことのあるネルソン・パスが発表しているアンプが、
規模的にも出力的にはぴったりくる。

いまでもキットも出ているし、
中国から買うことに抵抗のない人ならば、AliExpressを検索してみるといい。
プリント基板だけ、とか、部品付きのモノとか、いくつかすぐに見つかる。

自分の自作のレベルに応じて選べばよい。
リニア電源で組むのを大変と感じる人であれば、
ACアダプターを使うという手もある。

ネルソン・パスがやっているAmp Campは、ACアダプターを使ってのアンプ製作だ。

ネルソン・パスのこれらの一連のアンプがいいのは、
プッシュプルもあるけれどシングルのアンプが主で、
回路構成上、出力にコンデンサーが介在する。

いまどきのアンプは、とっくにOCL(出力コンデンサー・レス)だが、
ネルソン・パスのアンプは違う。出力に電解コンデンサーがあり、直流をカットしている。

このコンデンサーの存在が、スピーカーを保護してくれる。

Date: 9月 22nd, 2022
Cate: 情景

情報・情景・情操(音場→おんじょう→音情・その8)

ここにきて、ようやく私にとっての(音場ではなく)音情は、
リアリティに深く結びついていることに気づいた。
同時に、音触が大事だ、ということも。

Date: 9月 22nd, 2022
Cate: アンチテーゼ, 平面バッフル

アンチテーゼとしての「音」(平面バッフル・その8)

友人の一人が、先日、アルテックの604Eを手に入れている。
仮のエンクロージュアであっても、いい音で鳴っている、とのこと。

こんなことをきくと、私も604-8Gを鳴らそうという気が起きてくる。
エンクロージュアはどうするか。

ステレオサウンド 51号のマイ・ハンディクラフトに登場した
ジェンセンのバス・ウルトラフレックス型が第一候補なのだが、
いま、このエンクロージュアよりも平面バッフルで鳴らしたい、という気持が強くなっている。

幸いなことに604-8Gは高能率のユニットである。
小出力の真空管アンプでも、そこそこ鳴ってくれる──、
こんなことを暑い夏が終り、急に涼しくなった日が続くと、
そのおもいは強くなってくるし、くり返しおもうわけだ。

audio wednesdayが終り、これまで毎月一回聴いてきたアルテックの音と縁が切れている。
だからよけいに604-8Gをきちんと鳴らそうというおもいが、今回は例年よりも強い。

高能率型スピーカーを真空管アンプで鳴らすことは、懐古趣味なのだけだろうか。
この時代にきちんと確認しておきたいことの一つである。