アンチテーゼとしての「音」(平面バッフル・その10)
パワーアンプの出力にコンデンサーをおくことで、
DC成分をカットするということは、
スピーカーのインピーダンスが8Ω、もしくはもっと低い値なために、
大容量でなければならない。
コンデンサーの容量が少なければ、低域のカットオフ周波数は高くなっていく。
十分に低い値のカットオフ周波数にするためには、かなりな大容量となり、
フィルムコンデンサーでは容量的に無理で、電解コンデンサーを使用することになる。
たださえ出力にコンデンサーをおきたくないのに、
しかも電解コンデンサーということに、ある種のアレルギーに近い反応をする人もいる。
しかし考えてみてほしい。
世の中のパワーアンプの大半はなんらかの保護回路を積んでいる。
保護回路のおかげで、ある程度安心して使えているわけなのだが、
保護回路が音質上好ましくないことは知られているし、
保護回路をなんとかしようと試みている技術者もいる。
ネルソン・パスが発表している一連のアンプには保護回路はない。
出力に入るコンデンサーがあるだけだ。
何度も書いてきているように、どんなことにもメリットとデメリットがある。
メリットだけのことは、まずないと思っていい。
電解コンデンサーが出力に入るデメリットは確かにある。
けれど、保護回路を省けるというメリットもある。