Archive for category Jazz Spirit

Date: 10月 29th, 2023
Cate: Jazz Spirit

二度目のナルシス(その6)

先日(10月25日)、新宿のジャズ喫茶、ナルシスに行ってきた。
これで七回目のナルシス。

ナルシス初めてという二人といっしょに行ってきた。
二人ともナルシスをとても気に入ってくれた。

一人の方は、
新宿駅で乗換えなので、これからちょくちょく行きます、と言われた。
三人で行ったため、カウンターには座れなかった。

これまでずっとカウンターだったから、奥のテーブル席は初めて。
エアコンを必要としない、いまの季節、
ガラス窓は少し開けてある。

そこから歌舞伎町の雑踏、ざわめきが入ってくる。
それが邪魔と感じることはなかった。

むしろ、カウンター側から鳴ってくるジャズと、
その反対側から忍び込んでくる繁華街のざわめきとが、
なんともいい感じで融合している、そんなふうに感じていた。

私だけがそう感じていたのではなく、同行の二人も同じように感じていた。

Date: 10月 6th, 2022
Cate: Jazz Spirit

二度目のナルシス(その5)

昨晩(10月5日)のaudio wednesdayの締めは、
やはりナルシス。

今回で五回目。
いつも坐るところはほぼ同じなのに、
昨晩気づいたことが一つあった。

ナルシスのシステムは、作り付けの棚におさめられている。
真ん中の棚二段にアナログプレーヤーが置かれている。

ステレオ用とモノーラル用とで、プレーヤーの使い分けである。

アナログプレーヤーの下の棚にカセットデッキとCDプレーヤーがあるが、
ほとんど使われていない、といっていい。

一番上の棚にプリメインアンプ。
このアンプの用に、CDが置いてある。
ジャケットが見えるように置かれている一枚があった。

カザルスのバッハの無伴奏である。

Date: 9月 8th, 2022
Cate: Jazz Spirit

二度目のナルシス(その4)

昨日(9月7日)、
新宿のジャズ喫茶、ナルシスに行った。

これで四度目のナルシスである。
いつも誰かと行っている。
今回もそうだ。

坐る席も、毎回ほほ同じ。
かかっているレコードは、いつも違う。
四回しか行っていないのだから、同じレコードがかかる率は低い。

それでも昨夜のナルシスの音は良かった、とはっきりといえる。
頻繁にナルシスに行っているわけではない。

おそらく次回は来年だろう。
その時、どんな音になっているのだろうか、と思うし、
ナルシスの昨晩の音を聴いていると、
ジャズ喫茶をやるならば、スピーカーは何を選ぶ、ということを、
ついつい考えてしまう。

以前、別項で、ロックウッドのMajor Geminiにしたい、と書いた。
Major Geminiもいい、と思うし、Major Gemini以外ならば、何にするだろうか。

そんなことをつい考えさせてしまうナルシスの音でもあった。

Date: 1月 5th, 2021
Cate: Jazz Spirit

喫茶茶会記のこと(その9)

(その8)に、facebookへのコメントがあった。
長野県の一部は、AC電源の周波数が50Hzと60Hzの混在地区があるが、
喫茶茶会記が移転する茅野市は60Hzだ、ということが一つだった。

そうか、60Hzなのか。
喫茶茶会記のアンプとCDプレーヤーはマッキントッシュである。
アメリカの製品なのだから、60Hzが基本だと考えている。

電源周波数の違いは、
以前少し触れているが、たとえば上杉アンプ。
現在の上杉アンプではなく、上杉先生が主宰されていたころ、
つまり会社が芦屋にあったころの上杉アンプのことである。

刺激的な音をこいっさい好まれない上杉先生らしい音のアンプである。
けれど、力感の再現に関しては、不満とまではいかないけれど、
あと少し何かが足りないような気がすることもあった。

それはそれで上杉アンプの音の魅力なのかもしれないけれど、
それでも……、と思うところは常にあった。

けれど上杉先生は、50Hzの東京に住まわれていたわけではない。
60Hzのところに住まわれていたわけで、
60Hzの電源で上杉アンプを聴いたことは、私は一度もない。

もしかすると60Hzで聴けば、印象が変っていたのかもしれない。

だから喫茶茶会記が60Hzになるのは、かなり期待している。

そして標高のことへのコメントもあった。
その方は、茅野市ではないが、東京よりも標高の高いところに住まわれている。
気圧が低いせいで、スナック菓子の袋が膨らむ、とのこと。

とにかく移転先での喫茶茶会記の音をいちばん聴きたがっているのは、私かもしれない。

Date: 1月 4th, 2021
Cate: Jazz Spirit

喫茶茶会記のこと(その8)

別項で書いたように喫茶茶会記が、四谷三丁目から長野県茅野市に移るわけだが、
今日、店主の福地さんと話していて、標高のことが話題になった。

現在の喫茶茶会記の標高は38mくらいだそうだ。
移転先は長野県茅野市ということもあって、1,000mを超える、とのこと。
これだけ標高が違えば、気圧の違いも音に影響してくることだろう。

といっても、気圧の違いがどれだけ音に影響を及ぼすのかは、体験がない。
それに変化は標高(気圧)だけではなく、
電源事情、ノイズ環境その他も大きくかわるわけだから、
移転先で音を出すようになっても、
これが気圧による変化だ、といったことはいえない。

それでも興味はわく。
新しい喫茶茶会記では、どんな音を出せるのだろうか。

Date: 5月 11th, 2020
Cate: Jazz Spirit

Jazz Spirit Audio(その7)

音楽のジャンル分けに、どれだけの意味があるのかはひとまず措くとして、
“Friday Night in San Francisco”も幻想交響曲も、
いわゆるジャズと呼ばれるジャンルの音楽とはいえない。

にもかかわず、「Jazz Spirit Audio」というテーマであえて取り上げているのは、
Jazz Spiritが必要となるのは、なにもジャズと呼ばれている音楽だけに限らないからだ。

もちろん人によって、そのへんの考え方は違ってくる。
でも私は、私の好きな音楽に関してはJazz Spiritと、
私が感じているものが必要となってくることがある。

そんな気持をこめてのオーディオだから、Jazz Spirit Audioでもある。

少なくとも毎月第一水曜日に、
四谷三丁目のジャズ喫茶、喫茶茶会記でaudio wednesdayをやっているのだから、
Jazz Spirit Audioという気持は絶対に忘れないようにこころがけている。

Date: 5月 10th, 2020
Cate: Jazz Spirit

Jazz Spirit Audio(その6)

数年前のインターナショナルオーディオショウでの、
とあるブースでかかっていた“Friday Night in San Francisco”。

そこで鳴っていた音は、聴けば聴くほどに、こちらを冷静にさせてしまう音だった。
その数年後、やはりインターナショナルオーディオショウでの別のブースでもそうだった。

そこではドゥダメル/ロサンゼルス・フィルハーモニーによる
ベルリオーズの幻想交響曲(ライヴ録音)が鳴っていた。

CDではなく、ハイレゾ音源をダウンロードしたものによる再生だった。
この時の音については別項でも少し触れているが、
聴いていて、冷静な幻想交響曲だな、と思っていた。

そして曲が終って、拍手が鳴り出した。
そこでやっとライヴ録音だったことを知った。

盛大な拍手だった。
聴衆はドゥダメルの演奏に熱狂しているようだった。

観客の拍手から判断するに熱演だったようだ。
でも、そんなことは幻想交響曲が鳴っている最中は、まったく感じなかった。

ここでも、聴けば聴くほどに、こちらを冷静にさせてしまう音だったのだ。

冷静になってしまう、というのは、私としては抑えた表現である。
本音は聴けば聴くほどしらけてしまう音なのだ。

その2)で、鳴り終ったあとに、聴いていた人同士で話が弾む、と書いた。
インターナショナルオーディオショウでの“Friday Night in San Francisco”、
ドゥダメルの幻想交響曲は、そうではなかった。

それに鳴り終ったあとに、とも書きたくない気持がこちらの心に残る。

Date: 4月 20th, 2020
Cate: Jazz Spirit

「これからのジャズ喫茶を考えるシンポジウム」(四年後)

四年前の7月30日に四谷のいーぐるで、
「これからのジャズ喫茶を考えるシンポジウム」が行われた。
老舗のジャズ喫茶で、若い世代のジャズ喫茶の店主が集まって、
「これからのジャズ喫茶」について語る、というイベントてあった。

それから四年後のいま、である。

いーぐるが、存続支援キャンペーンをやっている。

いーぐるのウェブサイトのトップページには、こうある。
     *
コロナウイルスによる外出自粛要請がされるなか、
当店の存続も厳しくなってまいりました
52年続くいーぐるを守るべく、支援グッズの通販を開始いたします
皆様のご注文を心よりお待ちしております

いーぐる従業員一同
     *
いーぐるは、グッズ販売サイトを開いている。
いーぐるだけでは、ないはずだ。

ジャズ喫茶はどこもたいへん厳しい状況のはずだ。

いーぐるはビルの地下にある。
窓はない。

四谷三丁目の喫茶茶会記にしても、開放的な空間とはいえない。
ジャズ喫茶の多くは、音を出すのだから、そういう傾向にあるだろう。

「これからのジャズ喫茶を考えるシンポジウム」では、
誰もこの状況を予想できなかったはずだ。

いーぐるは、グッズとしてTシャツ、キャップなどのほかに、プリペイドカードもある。
プリペイドカードならば、他のジャズ喫茶でもすぐにやれるはずだ。

それだけでどうにかやっていけるかどうかは、なんともいえないが、
四年前以上に「これからのジャズ喫茶を考える」ことが目の前に押しつけられている。

Date: 8月 8th, 2019
Cate: Jazz Spirit

ジャズ喫茶が生むもの

5月に「ジャズ喫茶が生んだもの(Tokyo Jazz Joints)」を書いた。

ドイツに、日本のジャズ喫茶から着想をえたというジャズ喫茶が誕生した、という記事を紹介した。
その後も、同じような記事を数本目にした。

ドイツだけではなく、アメリカにもイギリスにも誕生している、とのこと。
日本でも、四ツ谷のいーぐるでは、外国人の客が増えている、という記事も目にした。

昨晩のaudio wedneadayには、三人の、初めての方が来られた。
新しい人が来てくれると、嬉しい。

一人の方が、二年後にジャズ喫茶を開店する予定だ、ときいた。
横浜のちぐさで六年間働いていたという人だから、単なる夢では終らないはずだ。

駅までの短い帰り道、Sさんと話していて、
もしかすると古くからのジャズ喫茶、これから誕生するジャズ喫茶を含めて、
もし再びオーディオブームが訪れるとしたら、それはジャズ喫茶が生むものかもしれない、
そうおもった次第。

Date: 5月 20th, 2019
Cate: Jazz Spirit

ジャズ喫茶が生んだもの(Tokyo Jazz Joints)

東京のジャズ喫茶やバーに焦点をあてた写真展『Tokyo Jazz Joints』が、
ドイツ・ベルリンで6月7日から29日にかけて開催される──
というニュースを土曜日に知った。
(参照サイト:『ドイツ・ベルリンで「東京のジャズ喫茶」をテーマにした写真展』)

写真展の会場となるのは、
日本のジャズ喫茶から着想をえたというベルリン市内のジャズ喫茶、とのこと。

ドイツにも、日本のジャズ喫茶があるわけだ。
これもジャズ喫茶が生んだものだ。

Date: 11月 17th, 2018
Cate: Jazz Spirit

喫茶茶会記のこと(その7)

喫茶茶会記のことが、ARBANというサイトで紹介されている。
ARBANは、ジャズを中心としたカルチャーメディア、とのこと。

ジャズ喫茶として紹介されている。

Date: 9月 3rd, 2018
Cate: Jazz Spirit

二度目のナルシス(その3)

空間プロデュースの会社に「ビートニク風に」と依頼すれば、
どんなふうに仕上がるのは想像できないけれど、なんとなくそれっぽいビートニクには、
腕のいい空間プロデュースの会社ならば仕上げるだろう。

依頼した人が納得していなくとも、
ここがこうだからビートニクなんですよ、と、細かく説明していって納得させるかもしれない。

私の勝手な想像で書いているだけだから、実際はどうなのか。
真剣にビートニクに取り組む空間プロデュースの会社もあるはずだ。

金と時間に糸目をつけなければ、いい感じに仕上がるとは思う。
けれど、それはどこか映画のセット的趣をわずかとはいえ残したままなのかもしれない。

それがこだわり抜いたビートニクであればあるほど、
ナルシス的ビートニクとは違うものになっていくのかもしれない。

こんなことを書いているけれど、ビートニクを理解しているわけではない。
それでも、ビートニクとは、そういうものではないはずだ、とは感じている。

少なくとも、ナルシスはつくりものという感触はない。

Date: 9月 2nd, 2018
Cate: Jazz Spirit

二度目のナルシス(その2)

ナルシスが今の場所(東京都新宿区歌舞伎町1-13-6 YOビル2F)に移ったのは1978年(らしい)。
40年である。

行けばわかる、古い建物の二階にナルシスはある。
トレイは和式だし、床はタイル張り。
店内にはピンクの公衆電話があった。
Free Wi-Fiなんてものはない。

どっぷり昭和である。
だから、いい、といいたいのではない。

金曜日の別れ際に野上眞宏さんが「ナルシス、最高!」といわれた。
そうだろうとおもう。

ナルシスは堅苦しいジャズ喫茶ではない。
ジャズがかかっていても、おしゃべりしてもいい。

ナルシスにいるときに野上さんは、
「(時代的には)ヒッピーの前のビートニクだね」といわれた。

こういう感覚、捉え方は私にはなかった。

ナルシスは一人で行っても楽しいだろう。
でも、誰かと一緒に行くと、より楽しいはずだ。

前回のナルシスは四年前。
その後、一人でナルシスに何度か通っていたとしても、
「ヒッピーの前のビートニクだね」とは感じなかった、とおもうからだ。

Date: 8月 31st, 2018
Cate: Jazz Spirit

二度目のナルシス(その1)

空間プロデュース、空間プロデューサーという言葉を頻繁に耳にするようになったのは、
いつごろからなのだろうか。

ウソっぽい仕事とは思っていないが、
それでも薄っぺらいと感じることがないわけではない。

どこかの空間プロデュースの会社、
空間プロデューサーの誰かがてがけた店舗というのが、増えているようにも感じる。

空間プロデュースというのは、こういう仕事なのか、と感心する店舗もあれば、
既視感たっぷりの店舗もある。
どういう仕事であっても、ピンもあればキリもある。

それでも個人経営の店であれば、空間プロデュースの必要性はいかほどだろうか──、
と思ったのは、今日、新宿歌舞伎町にあるジャズ喫茶・ナルシスに行ってきたからだ。

ナルシスには四年前に一度行っている。
また行こう、と思いながら、夕方からの営業だから、
ブログを書くことを優先していると、早く帰って……、と思ってしまい、
結果、二度目が今日になってしまった。

前回のことは「会って話すと云うこと(その6)」に書いている。
店は四年前となにも変っていなかった。
記憶にある四年的の比較なのだから、変っているところもあったのかもしれないが、
何も変っていなかった、としか感じなかった。

グッドマンのダブルコーンに、
おそらくパイオニアのホーンEH351Sである中高域が足されている。
アンプも上等なモノではないし、オーディオマニアの興味を惹くシステムとはいえない。

オーディオも四年前のままだった。
ナルシスが入っているビルは、四年分だけ古くなっているはずだろうが、
元々老朽化したビルだから、変ったようにも見えない。

そのナルシスに、今日は写真家の野上眞宏さんと一緒に行ってきた。

Date: 6月 16th, 2018
Cate: Jazz Spirit

ジャズ喫茶が生んだもの(番外)

ジャズ喫茶と、日本でのJBL、アルテックの人気の高さは、けっして無関係ではない。
私は、そう思っている。

今日、OTOTENに行ったことは別項に書いた通り。
B1フロアーで「オーディオ10年の歩み」を買って帰った。
日本オーディオ協会が1997年に発行したもので、中島平太郎氏が編集委員長をつとめられている。

定価は8,000円なのだが、もう20年以上前の、いわば売れ残りという扱いなのだろう、
1,000円(税込み)だった。

この本の第八章、「ホール/スタジアムにおける音響装置」のなかに、こうあった。
     *
 1966年のビートルズの来日は劇場(PA)音響技術の展開について画期的なものになった。当時の演奏会場としては客席数3,000を超えるせのはなく、ましてや1万人を収容して音楽を演奏し観客を満足させることができる施設は横浜市の文化体育館ぐらいであった。
 ビートルズの公演回数は5ステージで諸経費を考慮すると1万人以上を収容できる会場を手当てできないと成立しない公算であった。その結果日本武道館に白羽の矢が立ち、同館の承諾を得、公演が実現した。音響はヒビノ(株)が担当し、センターに組まれた舞台の真上に八方に向けてクラスターが吊られた。スピーカーはJBLの2ウェイであった。
     *
ビートルズの日本公演でのスピーカーはJBLだった。
私は初めて知る事実だった。

当時、ビートルズの公演に来ていた人たちのどのぐらいがそのことを知っていたのか、定かではない。
おそらくほとんどの人が知らずにいたことだろう。

それでも、その音はしっかりと耳に残っていたのではないのか。
このことも日本でのJBLの人気の高さに、まったく関係していない、とは思えないのだ。