Jazz Spirit Audio(その6)
数年前のインターナショナルオーディオショウでの、
とあるブースでかかっていた“Friday Night in San Francisco”。
そこで鳴っていた音は、聴けば聴くほどに、こちらを冷静にさせてしまう音だった。
その数年後、やはりインターナショナルオーディオショウでの別のブースでもそうだった。
そこではドゥダメル/ロサンゼルス・フィルハーモニーによる
ベルリオーズの幻想交響曲(ライヴ録音)が鳴っていた。
CDではなく、ハイレゾ音源をダウンロードしたものによる再生だった。
この時の音については別項でも少し触れているが、
聴いていて、冷静な幻想交響曲だな、と思っていた。
そして曲が終って、拍手が鳴り出した。
そこでやっとライヴ録音だったことを知った。
盛大な拍手だった。
聴衆はドゥダメルの演奏に熱狂しているようだった。
観客の拍手から判断するに熱演だったようだ。
でも、そんなことは幻想交響曲が鳴っている最中は、まったく感じなかった。
ここでも、聴けば聴くほどに、こちらを冷静にさせてしまう音だったのだ。
冷静になってしまう、というのは、私としては抑えた表現である。
本音は聴けば聴くほどしらけてしまう音なのだ。
(その2)で、鳴り終ったあとに、聴いていた人同士で話が弾む、と書いた。
インターナショナルオーディオショウでの“Friday Night in San Francisco”、
ドゥダメルの幻想交響曲は、そうではなかった。
それに鳴り終ったあとに、とも書きたくない気持がこちらの心に残る。