Archive for category アナログディスク再生

Date: 2月 20th, 2025
Cate: アナログディスク再生

Westrex 10Aのこと(その4)

ノイマンのDSTは、その改良型のDST62も一緒に聴いている。
最初にDSTを聴いた。そして驚いた。
DST62を聴く。
DSTの方が、素晴らしかった。

DST62だけを聴いていたら、
もしくはDST62を最初に聴いていたら、すごい、と驚いていたはず。

けれどDSTを先に聴いてしまった。
この印象はステレオサウンドの試聴室で聴いても、
持ち帰って自分のシステムで聴いても、変らず私はDSTを取る。

今回、ウェストレックスの10Aを聴いた。決して万全な環境で聴いたわけではないが、
ひとつ確信していえるのは、ローコンプライアンスのカートリッジの音に、
私は惹かれる、ということだ。

Date: 2月 16th, 2025
Cate: アナログディスク再生

Westrex 10Aのこと(その3)

ノイマンのDSTを欲しい、とあの頃、思った。
しかも譲ってもいい、とも言われていた。
安いわけではなかった。すぐに、買います、と言える金額ではなかったけれど、
法外な値段でもなかった。相当無理すれば買える──、そんな金額だった。

買おうかと迷った。けれど買わなかったのは、DSTがカートリッジだからだ。
すでに製造中止になって随分経つ。
針交換のことを考えると、買います、とはなかなか言えない。
あとどれだけの時間、聴けるのか。それもなんとも言えない。

それで結局は諦めた。
それにDSTを聴いた直後だと、なかなかEMTのTSD15で聴く気は起こらない。
そうであってもTSD15以外のカートリッジは、基本使えないわけだから、
これで聴くしかない。

しばらくTSD15で聴いていると、これはこれで素晴らしいカートリッジだと思えてくる。

DSTの音の印象が薄れてきたわけではないが、針交換の心配もないし、
安心して聴くことができるTSD15の音に、ほっとしたところも感じていた。

それでもいつかはDSTというおもいは持ち続けていた。
そのおもいも、四十をこえたあたりから薄れてきた。
そしてメリディアンのULTRA DACでMQAの音を聴いて、相当に薄れていった。

そこに今回のウェストレックスの10Aである。

Date: 2月 11th, 2025
Cate: アナログディスク再生

Westrex 10Aのこと(その2)

ノイマンのDSTを聴いて、そのすごさに打ちのめされた──、
と書くと、なんと大袈裟な、と思われるだろうが、
それまで聴いてきたカートリッジすべての音が、
少なくともわたしの中では一瞬にして色褪せたのだから、
打ちのめされたは、決して大袈裟でもなんでもない。

次元が違うとは、この音のことを言うのだとも思っていた。
だからというか、DSTよりもすごい音というのが想像できなかったし、
ウェストレックスの10AはDSTよりもすごいとしても、
DST以上を求めても……、という気持も芽生えていた。

10AはDSTよりもすごいんだろうけど、
世の中に完動品の10Aがどれだけあるのか。
それよりもDSTをなんとか手に入れることを考えた方がいい──、
そんなことも考えていて、10Aに関しての興味は薄れていっていた。

DSTの音を聴いてから数年、イケダサウンドラボからIkeda 9が登場した。
針先のほぼ真上に発電コイルを配置する構造のカートリッジは、
それまでサテン、ソノボックス、ビクターなどがあった。
ソノボックスは聴いたことはない。
サテンは一度だけ聴いている。
ビクターの一連のカートリッジは、何度も聴いている。

けれど私が強烈なほど惹かれるのはDSTだった。
Ikeda 9は、どうなのか。
期待は大きかった。

ステレオサウンドの試聴室でも何度も聴いたし、
オーディオテクニカのEMT用のヘッドシェルに取り付けて、
自分のシステムでも聴いた。

執念のカートリッジだと思う。DSTを聴いてなければ買っていただろう。
5g超えの針圧のDST、標準的な針圧で使えるIkeda 9。
後者の方が安心して使える。

どちらもいわゆるダイレクトカップリング型と呼ばれる構造なのに、
音は、大きく違う。
Ikeda 9も、ダイレクトカップリング型らしい良さが感じられる。

なのに、この二つのカートリッジの音の違いは、なんなのだろうか。

Date: 2月 8th, 2025
Cate: アナログディスク再生

Westrex 10Aのこと(その1)

私がウェストレックスの10Aというカートリッジのことを知ったのは、
ステレオサウンド 46号の「クラフツマンシップの粋」だ。

この頃のステレオサウンドでは、過去の名器を鼎談で取り上げていた。
46号では「フォノカートリッジの名門」で、井上卓也、長島達夫、山中敬三の三氏によって、10Aを含めて、
いくつかのカートリッジ について語られていた。

この記事の最初に登場するのが、ウェストレックスの10Aであり、
こんなカートリッジがあったのか、という驚きが最初にあった。

記事を読めば読むほど、聴いてみたいというおもいは強くなる一方だったけれど、
そんな機会がすぐに訪れることはないだろう、ぐらいのことはわかっていた。

それからしばらくして池田 圭氏の文章にも、10Aのことが登場していた。
そこには、正月だけに聴くカートリッジ、とあった。

そういう存在なのか、と思った。

「フォノカートリッジの名門」には、ノイマンのDSTについても語られている。
アメリカのウェストレックス、ドイツのノイマン。
どちらもカッターヘッドを作っている会社であり、
原盤検聴用としてのカートリッジということは、
モニタースピーカーならぬモニターカートリッジなのか、という受け止め方もしていた。

DSTは幸いなことにハタチごろにステレオサウンドの試聴室でも、
自分のシステムでもじっくり聴く機会があった。

DSTとDST62の比較試聴も、時間をかけて行えた。

この時のDSTの音も、ほんとうにすごかった。
すごい、という言葉が、真っ先に出てくる。
隔絶したすごさの音を聴いてしまうと、すごい、としか言いようがない。

そのDSTよりも10Aはすごい──、
ある人は、そう言っていた。

Date: 1月 19th, 2025
Cate: アナログディスク再生

Wilson Benesch Circle(その3)

もう数年以上前のことになる。
あるレコード店にいた。個人経営の店で、アナログディスクだけでなく、
カートリッジやシェルリード線など、周辺アクセサリーも取り扱っていたので、
こだわりのレコード店ということなのだろう。

ここでシェルリード線の比較試聴が行われたのだが、
ひとつ気になったことがあった。

オーディオ機器はラックに収められていて、
上段にプレーヤー、その下の段にプリメインアンプ。

一般的な設置なのだが、アンプやプレーヤーの電源コードが、
プレーヤーからの出力ケーブルとくっつくように結線されていた。

こういうケーブルの取り回しの理由を聞いてみると、
プレーヤーからのケーブルはシールドされていて、スピーカーケーブルはシールドされていないから、
電源コードはスピーカーケーブルから遠ざけて、
プレーヤーからのケーブルにくっつくようにした、とのことだった。

人によって考え方は違うことはわかっていても、
こうも違うのか、と少し驚いたものだった。

Date: 1月 18th, 2025
Cate: アナログディスク再生

Wilson Benesch Circle(その2)

ウィルソン・ベネッシュのCircleを、最高のアナログプレーヤーとは思っていないけど、
気に入っているプレーヤーの一つだ。

オーディオ雑誌に載っていたモノクロ写真では、
石臼にしか見えなくて、カッコいいプレーヤーとは、まったく思わなかった。

実物を目にすると、石臼のイメージが払拭されるわけではないが、
これはこれでいいな、と思えてきた。
音を聴くと、これでいい、に変ってくる。

登場した頃は、それほど高価なプレーヤーではなかった。
いまは、どのくらいの価格になっているのだろうか。

自分のモノとして眺めていると、なかなかよく考えられていると感心もするが、
一つだけ首を傾げたくなるのは、電源コードの位置である。

トーンアームにいちばん近いところから出ている。
なぜ、ここなの? と思わざるをえない。

石臼的のところを優先するとなると、
信号ケーブルを含めて、こかにまとめるしかないのはわからなくはないが、
それにしても微小信号の出力のすぐ近くにAC 100Vのラインがあるのは、
納得がいかない。

このことに関連したことで思い出すことがある。

Date: 12月 18th, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(オイルのこと)

オイルと無縁ではいられないのが、アナログディスク再生である。
トーレンスの101 Limitedを使っていた時、
オイルはスクアランを使っていた。

深海鮫の肝油を磁気処理したというモノで、
トライアソシエイツという会社から、TR30という型番で発売されていた。

重宝していた。
けれどトライアソシエイツという会社がなくなり、手に入らなくなった。

代わりのオイルはなにかないものか、と検索すると、
スクアランオイルを製品化したものが、いくつか見つかる。

オーディオ用としても、スクアランオイルをベースにしたものが出ている。
でも、TR30とは、何か違うような感じがして、
手を出すまでには行かなかった。

とはいえ、なんらかのオイルが必要になってきたので、
再び検索してみて、一つ見つけた。
スクアランオイルなのだが、TR30に近い、
もしくはほとんど同じかもしれない、
そんな感じのものが見つかった。

昨日の、トーレンスのTD124に使ったのも、
このスクアランオイルである。

TR30よりも高価になっているけど、それでもいい。
このスクアランオイルで、大丈夫のようだ。

Date: 12月 17th, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その8)

(その7)でふれているトーレンスのTD124のメンテナンスに行ってきた。
メンテナンスといってもやったことは、クリーニングと注油ぐらい。

これだけのことだが、回転はよりスムーズになっただけでなく、
立ち上りも早くなったし、スイッチを切った後の回転も長くなった。

特別なことはやっていない。
基本的なことをやってきただけだ。
それでも、何の問題もなく回転するTD124のプラッターを眺めていると、
メカニズムの基本に忠実に作られたプレーヤーだからこそ、
特別なことを施さなくとも、きちんと動作するようになる。

そのことを感じていた。

Date: 12月 1st, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その7)

東京に来て、最初に買ったオーディオ機器はSMEの3012-R Specialだったことは、
すでに何度か書いているし、ステレオサウンド 62号の編集後記にも書いている。

しばらく3012-R Specialだけが、手持ちのオーディオ機器だった。
そのころ、ターンテーブルはどれを組み合わせる、
そのことばかり考えていた。

3012-R Specialを思い切って買うきっかけは、
瀬川先生による新製品紹介記事であり、
そこではマイクロのSX8000との組合せだった。

なので、音だけで選ぶならSX8000なのだが、
そう簡単に買えるモノではないし、それにカッコイイわけではなかった。

3012-R Specialにふさわしいのは、どれなのか。
ガラードの301なのか、トーレンスのTD124なのか。

どちらにしようか、かなり真剣に考えてもいた。
心はかなりTD124に傾いていた。
TD124にロングアームは、さほど似合わないのはわかっていても、
TD124単体のまとまりの良さは、なんとも魅力的だった。

そんなことを先輩編集者のSさんと話していたら、
TD124の程度の良いものがあるよ、と教えてくれた。
かなり心は動いた。

結局、トーレンスの101 Limitedを買ってしまい、
TD124を自分のモノとすることはなかった。

それでもTD124を、どこかで見かけるたびに、
やっぱりいいなぁ、と思う。

いま私のところにはTD224がある。これでいい。
TD124への憧れのようなものは、ほぼ消えていった。

そんなところへ、昨日、TD124が動かないから、来てみてほしい、と連絡があった。

今日、行ってきた。
電源が入らないTD124がある。

電源から辿って一つひとつチェックしていって、
割とすんなり動くようになった。
気になる異音もない。

とはいっても完全な状態とはいえないので、
後日また手入れすることになるが、
静かにまわるターンテーブルプラッターを眺めていると、
あらためてTD124はいいなぁ、と思っていた。

今回のTD124は、124IIではないから、
製造されてけっこうな年月が経っているにも関わらず、
動き始めると何事もなかったように、
年月など関係ないように動作しているのをみると、
基本がしっかりしたモノは、すごいとしか言いようがない。

TD224を、まじめにメンテナンスしよう。

Date: 11月 1st, 2024
Cate: アナログディスク再生

Wilson Benesch Circle(その1)

アナログディスクを再生することはめっきり減ったのは、
MQAが登場したから、と私の場合はそうである。

いま手元に三台のアナログプレーヤーがあるけれど、ほとんど稼働していない。

メインは、Wilson BeneschのCircleなのだが、
これすらも、ほぼ使っていない──、そんな状況だ。

なので6月末に引越ししてからも、アナログプレーヤーの設置は後回しにしていた。

昨晩、そろそろやるか、とふと思い立って、
ここだな、といえる場所に設置。

その際、今年、ヤフオク!で落札したジュエルトーンのガラス製ターンテーブルシート、GL602Jと組み合わせてみた。

Circleに付属していたのは、粗い感じのフェルトで、
ここだけターンテーブルプラッター、トーンアーム、ベースの質感と、
少しだけ違和感があった。

それを交換したわけだが、それほど期待していたわけではなかったのに、
GL602JをCircleに乗せた瞬間、カッコよくなった、と感じた。

Circleのプラッターは半透明のアクリル製で、
モーターやインナープラッターなどが、
ぼんやりとだが、透けて見える。

いままではフェルトだったから、普段は見えなかった。
GL602Jにすると、そのままというわけではないが、
いい感じで透けて見える。

これが、けっこういい感じで、新鮮なのだ。

改めて、Circleはカッコいいプレーヤーだな、と見直している。

Date: 7月 31st, 2024
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーのセッティングの実例と老い(その16)

今年のインターナショナルオーディオショウでも、
多くのブースでアナログディスクをかけていた。

けれど、そのレベルはバラバラだった。
そんなディスクのかけ方をするのか、と思ったところは一つではない。
ヒゲを明らかにつけているかけ方をしているところもあった。

個人のディスクで、持ち主がヒゲを気にしないのであれば、
そんなぞんざいな扱いでもいい、とは思わない。

誰かの目の前でかけていることが、すっぽり頭の中から抜け落ちているのか。
ヒゲなんてことをもともと知らないのか。

オーディオショウには多くの人が来る。
アナログディスク再生に関心を持ち始めた人もいる。
そういう人の手本になりたいとは、まったく思わないのだろうか。

ぞんざいな扱いしかできない人は、
おそらく周りに手本となる人がいなかったのだろう。
だとしたら──。

オーディオショウの出展社のスタッフは、オーディオ業界の人たちである。
いわばオーディオのプロの人たちのはずだ。

なのに、周りに手本となる人がいないのだとしたら……。

Date: 6月 28th, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その6)

ステレオサウンド 127号のレコード演奏家訪問は、長島先生だった。
ここで、菅野先生と長島先生が語られていることは、
まだ読んでいないという人はぜひ読んでほしいし、
オーディオを介して音楽を聴くという行為で、
大事なことはなんなのかを感じとれるはずだ。

とはいえ、ここで書きたいのはそういうことではなく、
アナログプレーヤーに取り付けられているトーンアームのことだ。

以前別項で、SMEのSeries Vは、
長島先生のアイディアだろう、と書いた。
だからこそ長島先生は、すぐにSeries Vを導入された。

なのに127号の写真をみると、
トーンアームがSeries Vではなく、3012-Rだった。

なぜSeries Vではないのか、
なぜ3012-Rなのか。

いまとなっては、その答をきくことはできない。
それでも問い続けているからこそ、いまこれを書いている。

Date: 6月 26th, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その5)

いま別項で「純度と熟度」について書いている。
そこで触れている高い純度と高い熟度のバランス、
これを実現している(私がそう思っているだけにしても)モデルは、
そう多くはない。

SME 3012-R Specialは、唯一の例とまではいわないものの、
数少ないモデルの一つである。

なぜ、そうなのかを説明はしない。
3012-R Specialを、きちんと使ったことのある人ならば、
納得されるはず。

Date: 6月 25th, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その4)

自転車(ロードバイク)のフロントフォークも、
いまやストレートフォークばかりになっている。

ストレートフォークを最初に採用したのは、
イタリアのコルナゴのはず。
1990年代の半ばごろから登場してきた、と記憶している。

ストレートフォークが登場したばかりのころ、あんまり美しくないなぁ、と思っていた。
それまでのロードバイクのスタイルとのあいだに違和感を覚えていた。
なんだろう、この違和感は……、と、
なぜそう感じるのだろうか、
とあれこれ考えていた時期があった。

従来の、先端がカーヴしているベンドフォークは、
いまでは限られたモデルのみである。

いまではストレートフォークであっても、登場まもないころの違和感は、ほとんど感じなくなった。
こちら側が慣れてしまっただけなのかそう思うことはない。

ベンドフォークのロードバイクを見ると、
やっぱりベンドフォークだ、と思うからだ。

ストレートフォークのロードバイクは、乗ったことがない。
乗れば、やっぱりストレートフォークだな、と、
ころっと変ってしまうかもしれないが、
そうなったとしても、ベンドフォークは美しい。
このことにかわりはない。

プロの自転車乗りならば、勝利が求められているのだから、
どちらが美しい、とかは関係ない。
勝てる機材としてのロードバイクであって、
そのためのストレートフォークなのだろう。

細身のベンドフォークと3012-R Special。
決して懐古趣味からそう感じるわけではない。

Date: 6月 15th, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その3)

トーンアームのパイプの形状は、
私がオーディオに興味を持ち始めた1976年は、S字型かJ字型が大半だった。
ストレート型もいくつかあったけれど、少数派だった。

ストレートパイプが増えてきたのは、1980年代に入ってからだろう。
しばらくしてピュアストレート型が提唱されるようになってきた。

オフセット角は不必要というもので、
それまでのストレート型はヘッドシェル部に角度がついていたが、
ピュアストレート型はヘッドシェルまで直線になっている。

ピュアストレート型の優位性を、理論的に説明する人もいる。
それはそれで納得できるところも多い。

それでも、でもね……、と思うの私だ。
トーンアームは、ピュアストレート型でないほうがいい。

いい、というのは、好きだ、という意味、
さらには美しいという意味で書いている。
SMEの3012-R Specialが盤面をトレースする姿をみていると、
この長さ、そして形があってこそ、と思う。

レコードを聴いているとき、盤面をじーっと眺めているわけではない。
目に入るのは、カートリッジを盤面に降ろすときとあげるときぐらいであっても、
美しいと感じられる形であってほしい。

そんなことよりも、音のほうが重要だろう、といわれるのはわかっている。
それでも──、である。