Westrex 10Aのこと(その6)
昔から高音質を謳ったアナログディスクは、いろんなレーベルから発売されていた。
もちろんいまも発売されているわけで、半速カッティングを誇らしげに謳っているところもある。
この半速カッティングだが、私は昔から懐疑的である。
それはアナログをエネルギー伝達、デジタルを信号伝達と捉えているからだ。
もちろんアナログディスクを信号伝達メディアとして捉える考えもあっていいし、
その考えに立てば、半速カッティングは有効な手段となるわけだが、
エネルギー伝達メディアとしてアナログディスクを考えているのであれば、
半速カッティングには、どうしても疑問符がついてまわる。
1980年代、山中先生も半速カッティングには否定的だった。
それだけでなく、倍速カッティングの音を聴いてみたい、とも言われていた。
何をバカなことを──、と思う人もいるし、私のように山道する人もいる。
私も倍速カッティングが可能ならば、その音はぜひとも聴いてみたい。
くり返すが、アナログディスクをエネルギー伝達メディアとして捉えているからの倍速カッティングである。