Archive for category re:code

Date: 5月 25th, 2014
Cate: re:code

re:code(その5)

記事の本数が4300になった時点で、JBLの4300シリーズのことを書き始めた。
まだ書いている。もう少しというか、まだまだ書いていくことがある。

いま4350のことを書いている。
4350の音を思い出しながら、
4350でいま聴いてみたいレコード(録音物)のことを思いながら書いていて気づくのは、
JBLのスピーカーの音の特質について、である。

4350の音は、生よりも生々しい。生を超える迫真性とでもいいたくなるリアリズムがある。
それがいったいどういうところから来るものなのか、
レコード(録音物)を家庭で再生するという行為において、
このJBLならではの特質はどう活きてくるのか、どう捉えるべきなのか。

こんなことを考えていた。
そして、二年前に書いていたことが浮んできた。

re:codeについて、である。
これからどういうふうに書いていくのかはまったく決めていないし、わからない。
けれど、re:codeについて書く必要がある、ということは実感している。

Date: 3月 20th, 2012
Cate: re:code

re:code(その4)

まず、このリンク先にある”Years“と名付けられた動画を見てほしい。

薄くスライスした木の円盤の年輪を光学的に読み取って、音へと変換されていく。
オーディオの世界では、レーザーで音溝を読み取って再生していく、
いわゆるレーザーターンテーブルが存在しているわけだから、
こういうプレーヤーが登場する技術的下地はすでにあったわけで、
この”Years”の登場に対しては、技術的な驚きは感じずに、そのアイディアの面白さに魅かれるところがある。

Yearsの光学ピックアップが読み取るのは、
木の年輪であるからアナログディスクの音溝のように刻まれたものではない。
つまり平面の円盤上に描かれている年輪を読み取っているわけだから、
同じことはアナログディスクでも可能となる。

ようするに、これまでのレーザーターンテーブルは音溝の形状を読み取って再生していたわけだが、
音溝ではなく、音溝と音溝のあいだを読み取ることも充分可能ということになる。
この部分の形状は隣接する音溝の形状によってきまる。
レコードが1回転するだけの時間のズレが、この部分の形状をつくっていくわけだ。

レコードはrecordであり、re:codeと考えるのであれば、
この部分からは、どんな音楽が変換されていくのだろうか、とこんなことを考えてしまう。

Date: 1月 1st, 2012
Cate: re:code

re:code(その3)

黒田先生は、次のように書かれている。
     *
しかし、蓄音機=再生装置とは、いったいなにか。
蓄音機=再生装置は、機能の面でいうと一種の情報解読機である。レコード面の溝にきざまれている凹凸は、たとえ虫メガネでみようと、顕微鏡でみようと、なにがなんだか皆目わからない。レコードは、蓄音機=再生装置にかけてはじめて、レコードとしての意味をもつ。レコード面の溝にきざまれている凹凸という暗号を針先でこすって、そこから音をみちびきだす。そのことに限っていえば昔も今もさして変わらない。
     *
黒田先生は蓄音器=再生装置を、一種の情報解読機とされているし、
レコード面の溝にきざまれている凹凸という暗号、という表現も使われている。
情報解読機を暗号解読機ととらえても問題なかろう。

再生側のオーディオ機器は、暗号解読器であり、
録音側のオーディオ機器は、暗号生成器ということになる。

こう考えていくと、暗号はcode(コード)であるから、
オーディオにおけるレコード(record)とは、暗号を記録したモノであり、
その暗号を、オーディオ機器によって聴き手が、
別項「音を表現するということ」に書いているようにリモデリングして、
リレンダリングして、リプロデュースしていくと考えれば、その元となるレコードは、re:codeでもあるはずだ。

レコードをrecordでもあり、re:codeでもある、ととらえることで、
オーディオとは何モノなのかが、よりはっきりと浮び上ってくるのではないだろうか。

Date: 1月 1st, 2012
Cate: re:code

re:code(その2)

なぜ録音に関しては、その記録の確認に器械を必要とするのか。
それは音を記録にするにあたって、ある種の暗号化が行われているから、である。

暗号化というと、デジタル方式は、アナログ信号を0と1のデジタル信号に変換するのだから、
そういえるだろうが、アナログ方式ではアナログ信号のまま取り扱うから暗号化しているわけではない、
と受けとられる方もいよう。

でもテープへの記録は、マイクロフォンがとらえた振動を電気信号に変換して、
さらに録音ヘッドによって磁気に変換して磁気テープに記録する。
CDがデジタル式の暗号化であるならば、磁気録音はアナログ式の暗号化といえる。
つまり暗号化された信号が磁気テープには記録されている。
だからその暗号を解読する器械が必要となるわけだ。

アナログディスクへの記録もそうだ。
電気信号を振動へと変換して記録しているから、その暗号を解読するには専用の器械を必要とする。
アナログディスクで、溝のうねり具合で、フォルティシモがわかるのは、
磁気テープにくらべて暗号化の度合いが低い、ということになろうか。

つまり再生側のオーディオ機器は、暗号解読器といえる。
このことは、すでに黒田先生がずっと以前に書かれている。

黒田先生の著書「レコード・トライアングル」におさめられている
「〈レコードのレコード〉でレコードを考える」のなかに出てくる。
黒田先生が「〈レコードのレコード〉でレコードを考える」を書かれたのは、ステレオ誌1977年1月号であるから、
1976年11月から12月にかけて、ということになる。30年以上の前のことだ。

Date: 1月 1st, 2012
Cate: re:code

re:code(その1)

CDが登場する1982年以前は、オーディオにおいてレコードはアナログディスクのことを指していた。
レコード(record)は、記録、成績という意味ももつから、
LPやSP、シングル盤(EP)といったアナログディスクだけではなく、テープもレコードということになるのだが、
そんなことはわかっているオーディオマニアのあいだでも、レコードはアナログディスクのことであり、
テープはテープ、もしくはヒモという。

アナログからデジタルに変っても、レコードは記録されたもの、ということに変りはないから、
CDもDVDもSACD、DATなどもレコードのなかに含まれる。
とはいうものの、いまもレコードというと、アナログディスクのことになってしまう。

同じ記録するものとして、写真がある。
写真を撮る器械はカメラである。
レンズがあり、カメラ本体があり、フィルムがある。
録音ではレンズがマイクロフォンにあたり、カメラ本体はテープデッキ本体、
フィルムが磁気テープ、ということになる。

レンズがとらえた光はフィルムに記録される、マイクロフォンがとらえた音は磁気テープに記録される。
フィルムは現像しなければならないが、フィルムに記録されているものは、
レンズがとらえた一瞬を、ほぼそのままの形で記録する、と、録音と比較すると、そういえる。
ネガフィルムでは色まではわからないものの、なにをがそこに写っているのかは、フィルムをみるだけでわかる。
ポジフィルムであれば色までわかる。
現像されていれば、フィルムに写っている記録をみるのに特別な器械は必要としない。
たしかにビューアーがあった拡大鏡があれば細部まではっきり見ることができるけれど、
何が写っているのかを確かめるのであれば、それらはモノは特に必要としない。

録音の場合はそうはいかない。目の前にある磁気テープに何が録音されているのかは、
目で見ただけではなにもわからない。
録音と同じようにテープデッキという器械と、あとすくなくとも音を出すモノ(ヘッドフォン)は必要となる。

録音に関してはテープ録音だけではない。ディスク録音でも同じことだ。
溝のうねりをみて、ここはフォルティシモが刻まれているな、ぐらいは判断できても、
溝の形を見ただけで、どんな音楽がそこに記録されているのかを判断できる人は、まずいない。
ここでも、その記録を耳で確かめるためには、なんらかの最低限の器械を必要とする。