re:code(その2)
なぜ録音に関しては、その記録の確認に器械を必要とするのか。
それは音を記録にするにあたって、ある種の暗号化が行われているから、である。
暗号化というと、デジタル方式は、アナログ信号を0と1のデジタル信号に変換するのだから、
そういえるだろうが、アナログ方式ではアナログ信号のまま取り扱うから暗号化しているわけではない、
と受けとられる方もいよう。
でもテープへの記録は、マイクロフォンがとらえた振動を電気信号に変換して、
さらに録音ヘッドによって磁気に変換して磁気テープに記録する。
CDがデジタル式の暗号化であるならば、磁気録音はアナログ式の暗号化といえる。
つまり暗号化された信号が磁気テープには記録されている。
だからその暗号を解読する器械が必要となるわけだ。
アナログディスクへの記録もそうだ。
電気信号を振動へと変換して記録しているから、その暗号を解読するには専用の器械を必要とする。
アナログディスクで、溝のうねり具合で、フォルティシモがわかるのは、
磁気テープにくらべて暗号化の度合いが低い、ということになろうか。
つまり再生側のオーディオ機器は、暗号解読器といえる。
このことは、すでに黒田先生がずっと以前に書かれている。
黒田先生の著書「レコード・トライアングル」におさめられている
「〈レコードのレコード〉でレコードを考える」のなかに出てくる。
黒田先生が「〈レコードのレコード〉でレコードを考える」を書かれたのは、ステレオ誌1977年1月号であるから、
1976年11月から12月にかけて、ということになる。30年以上の前のことだ。