Archive for category QUAD

Date: 7月 12th, 2018
Cate: 405, QUAD

QUAD 405への「?」(その5)

QUADの405の全ヴァージョンを集めて比較試聴できれば、
そうとうな音の変化を確認できるのではないだろうか。

もっともいま全ヴァージョンを集めたところで、
古いヴァージョンにおいては、まったく手が加えられていない405はまずないだろうし、
そんな405があったとしたら、きちんと動作していない405の可能性が高い。

厳密な比較試聴は、まず無理である。
特に、そんな比較試聴をやりたいわけではなく、
405の音が変っていった理由を知りたいだけである。

ひとつ考えられるのは、コントロールアンプの44である。
405が登場した1976年は、44はなかった。
QUADのコントロールアンプは33だった。

33+405という組合せもあった。
実際に、この組合せで当時聴いていた人はいた。

QUADは、製品開発にじっくりと取り組む。
有名なのはESL63である。型番末尾の63は、開発が始まった1963年を表わす。
ESL63が登場したのは、1981年である。

44の場合、そこまで長い開発期間ではないだろうが、
一年よりは長い、と思っている。

405の発売直後あたりから、開発にとりかかっていたのではないか。
最初のプロトタイプが出来、405と組み合わせての試聴。
そして改良、また試聴。
その工程のくり返しにつれて、405の音が変っていった、とはいえないだろうか。

Date: 7月 11th, 2018
Cate: 405, QUAD

QUAD 405への「?」(その4)

QUADのパワーアンプは、ステレオサウンドの試聴室でよく聴いている。
405以外に、プロ用の501、520、
405の改良型の405-2、上級機にあたる606、弟分の306と聴いている。
ステレオサウンドの試聴室を離れても、個人のリスニングルームで聴くことはあった。

そうやって聴いてきたQUADのパワーアンプであったが、
一度としてステレオサウンド 38号の新製品紹介の音とのズレを感じていた。

聴けば聴くほど、38号の新製品紹介に登場した405の音を聴きたいし、
そういう音の405こそ、欲しい、と思うようになった。

405は一台持っている。
シリアルナンバーからすると、初期の405よりも数回変更が加えられたヴァージョンだ。
回路図を比較してみると、基本的な回路は同じであっても、細部は違う。

完全に最初の405と同じ回路にするには、ちょっと面倒である。
ならば最初のロットの405を、シリアルナンバーを調べて手に入れるか、というと、
そこまでの情熱はない。

そうやって手に入れたとしても、40年以上前のアンプだから、
全面的なメインテナンスも必要となる。
私の405も電解コンデンサーの交換が必要になっている。

つまり手を加えることになる。
ならば、と考えている。
どこまで38号に登場した405に近づけられるのか。

もっともその音を聴いているわけではない。
あくまでも文字からの想像が、私の中にあるだけだ。

QUAD 405への「?」を、「!」にしたい。

Date: 7月 10th, 2018
Cate: 405, QUAD

QUAD 405への「?」(その3)

ステレオサウンド 43号で、瀬川先生は、
《発売後数回にわたって回路が変更されているようで、音のニュアンスもわずかに違うし、プリのノイズを拡大する傾向のある製品もあるようなので、選択に注意したい》
と書かれている。

ということは38号での新製品紹介での405は、初期の405のはず。
その年の暮の「コンポーネントステレオの世界 ’77」で使われた405は、
38号の405とそう変っていないのかもしれない。

けれど「コンポーネントステレオの世界 ’77」から半年後の43号の時点では、
はっきりと405は変っている、といえる。

私が405を聴いたのは、43号よりさらに五年後。
回路・仕様の変更があったと考えてもいい。

それにその間に、コントロールアンプの44が登場している。
このあたりでも回路・仕様変更はあったとみていいのか。

405は魅力的なパワーアンプだし、好きなパワーアンプのひとつである。
それだけに、38号での音の印象とその後の音の印象のズレについては、
ずっとわだかまりのようなものがあった。

実際に回路・仕様変更はあったのか。
確かに405-2が登場している時には、回路変更はあった。
それ以前はどうなのか。

ずっと確認できないまま時は経っていく。
数年前に、405のサービスマニュアルがダウンロードできるようになっていた。
405-2になるまでに、何度かの回路変更があったのが確認できる。

シリアルナンバーで、どのヴァージョンの405なのかを確認できる。

Date: 7月 10th, 2018
Cate: 405, QUAD

QUAD 405への「?」(その2)

ステレオサウンド 38号でのQUADの405の音についての、
井上先生と山中先生の対談を次のようなものだ。
     *
山中 この405については、アンプの話題の中にも含まれているので、ここではその音を中心に話を進めていくことにしましょう。実際に鳴らしてみて、驚いたのは今までのQUADというのはどちらかというと暖かみという比うょげんのできる、逆にもう一息ぬけが悪いというイメージがあったのが、このアンプでは、すっかり変ってしまった。ここにあるJBLモニターを鳴らした場合、とても異議得た酢のアンプでドライブしているとは思えない、JBLのモニターアンプで鳴らしているようなシャープネスと、加えてものすごくナイーブな音を聴かせてくれたのは驚異でした。
井上 物理的な100Wのパフォーマンス以上の音量感とエネルギー感があります。少なくともQUADから、こういう音が出るとは夢にも思わなかったことです。
 かつてJBLがコンシュマー用のプリアンプとパワーアンプをつくったころのSE400を最初に聴いたときの印象と似ていて非常にびっくりしましたね。
山中 これが非常にコンパクトなアンプとして感性しているわけでしょう。それでJBLのスピーカーをフルにドライブしている。JBLをきりきり舞いさせるような音を出すということができるんですね。
     *
38号は、1976年春号だ。
この六年後に私は405をきちんと聴いている。

私の405の印象は、38号に書かれている印象とは違っている。
六年も経てば、アンプの進歩は早い。
周りが変っているだから、405の印象もそれにつれて変っていても不思議ではない──、
そう思おうとしても、405以前に、
SAEのMark 2500、GASのAmpzillaなどは登場していた。

それらの音の印象と照らし合せてみると、
どうにも38号での語られている405の音の印象と、私が抱いた音の印象とは、
かなり違っているところ(ズレ)がある。

確かに38号の音の印象であれば、
「コンポーネントステレオの世界 ’77」で、黒田先生が、
LNP2+Mark 2500よりも511+405で4343を鳴らしたい、という気持もわかる。

ここで思い出すのが、瀬川先生が43号で書かれていることだ。

Date: 7月 10th, 2018
Cate: 405, QUAD

QUAD 405への「?」(その1)

QUADのパワーアンプ405のことを強く意識するきっかけは、
1976年12月発行のステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’77」である。

まだペアとなるコントロールアンプ44は登場していなかったから、
他社製のコントロールアンプとの組合せで使われている。

瀬川先生と井上先生が、AGIの511との組合せを、最終的な組合せとして選ばれている。

たとえば瀬川先生の組合せでは、
バロック以前の音楽を、4343て鳴らすという組合せで、
最終的なアンプはマークレビンソンのLNP2とSAEのMark 2500のペアなのだが、
この組合せは高価ということで、第二案としてKEFのModel 104aBの組合せも提案されている。

この第二案でのアンプがAGIとQUADのペアである。
そこで黒田先生は、むしろAGIとQUADのペアで4343を鳴らしたい、という発言をされている。

これを読み、かなりスグレモノのパワーアンプなんだな、と感じていた。
「コンポーネントステレオの世界 ’77」の半年後のステレオサウンド 43号でも、
QUADの405は、特集ベストバイで高い評価を得ている。

405は、読者の選ぶベストバイでも人気があった。
なのに、聴く機会はなかなか訪れず、
聴いたといえる試聴は、ステレオサウンドで働くようになってからだから、
1982年になっていた。

そのころ、ステレオサウンド 38号も読んでいる。
この38号の新製品紹介に、405は初めて登場している。

このころの新製品紹介は井上先生と山中先生が担当されていて、
基本的に海外製品については山中先生、国産製品は井上先生となっていて、
特に話題の製品に関しては、対談によるまとめで紹介されていた。

405も話題の新製品なので、対談による紹介である。

Date: 1月 24th, 2017
Cate: ESL, QUAD

QUAD・ESLについて(その3・その後)

その3)を書いたのは2008年11月だから、八年ほど前。
いまも押入れで、QUADのESL63Proが眠ったままだ。

ダイアフラムの全交換が必要な状態であるからだ。
このESL63Proは、小林悟朗さんが鳴らされていたモノだ。
いつか修理して……、と思いながらも、けっこう経ってしまった。

(その3)で書いているように、
振動板(膜)をチタンの薄膜に交換したいと考えている。

しなやかな金属箔があれば、可能性はある。
ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットを見た時(触れた時)から、
純チタンの薄膜ならば、コンデンサー型スピーカーの振動板に使えるという確信があった。

けれどインターネットであれこれ検索してみても、
使えそうなチタンは見つけられなかった。

でも時間はずいぶん経っている。
ひさしぶりに検索してみると、使えそうなチタン箔がいくつかある。

ESL63Proの修理(改造)が現実味を帯びてきた。

Date: 4月 23rd, 2013
Cate: 50E, QUAD, 電源

電源に関する疑問(QUAD 50E・その6)

オートバランス回路による位相反転にはこういうところがあり、
このことが理論に忠実であろうとすればするほど、納得のいかない回路であるし、
オートバランスを採用するのであれば、カソード結合のムラード型にするとか、
さらには徹底して入力トランスを用いて、電圧増幅段、出力段ともにプッシュプルとしたほうが、
性能的にも優れ、音質的にもよい結果が得られる──、
私もそう考えていた時期があった。

伊藤先生による349Aプッシュプルアンプ、
これもオートバランス回路を使っている。
だから、このアンプの音に惚れながらも、
349Aのプッシュプルアンプを作るのであれば、オートバランス以外の位相反転回路を採用するか、
ウェスターン・エレクトリックの349Aアンプ、133Aの回路をそのままで作ろうと考え、
前段に使われている348A、それもメッシュタイプのモノを探し出してきたこともある。

133Aの回路のほうが、伊藤先生の349Aアンプ(元はウェストレックスのA10)よりも、
回路の平衡性ということでは理論上優れていることになる。

とにかく最高の349Aのアンプが欲しかった私は、
最初は伊藤先生のアンプのデッドコピーをしよう、から、ここまで変化していった。

なのに主要パーツが集まり、あとはシャーシーの設計と発注の段階まできて、また考えが変っていた。
オートバランスのもつ、
私が気付くような欠点はウェスターン・エレクトリックやウェストレックスの技術者はとうに知っていたはず。
伊藤先生もそうであったはず。
にも関わらず、オートバランスを位相反転の回路として採用していることには、
電源回路に1kΩの抵抗を直列に挿入するのと同じように、
私が気付いていない意味があるはずだと考えるようになったからである。

Date: 4月 17th, 2013
Cate: 50E, QUAD, 電源

電源に関する疑問(QUAD 50E・その5)

位相反転にオートバランス回路を採用しているのは、
伊藤先生による349Aプッシュプルアンプもそうである(つまりウェストレックスのA10、A11も、である)。

伊藤先生の349AではここにE82CC(A11では6SN7)を使われている。
E82CC、6SN7、どちらも三極管である。
QUAD IIにはEF86、五極管で、回路を比較していくと、
単に三極管と五極管の違いだけとはいえない違いがあるのに気がつく。

2本のEF86のスクリーングリッドがコンデンサー(0.1μF)で結ばれている。
いうまでもなく三極管にはスクリーングリッドはないわけで、
伊藤先生の349Aアンプには、この0.1μFに相当するコンデンサーは存在しない。

オートバランスの位相反転回路の動作からいって、このコンデンサーの必要性はない。
にもかかわらずQUAD IIには使われている。

オートバランスという位相反転回路は、プッシュプル回路の上下(+側と−側)において、
信号が通る真空管の段数に違いが生じる。

通常回路図は左端が入力で横方向に信号が流れるように描かれることが多い。
プッシュプル回路の場合、上下に真空管が配置されることになる。
それで上の球、下の球という表現がなされるわけで、
ここでも上の球、下の球という表現を使って説明していく。

QUAD IIでは入力信号はまず上側のEF86で増幅される。
この出力は上側のKT66に接続される一方で、抵抗ネットワークによって分割・減衰された信号が、
下側のEF86に入力される。
つまり上側のEF86での増幅された分を抵抗ネットワークで減衰させ、
上側のEF86に入力された信号レベルと同じにするわけだ。

下側のEF86で増幅された信号は下側のKT66へと行く。
つまり上側のKT66にいく信号はEF86を一段のみ通っているのに対し、
下側のKT66への信号はEF86を二段(プラス抵抗)を通っていることになる。

Date: 4月 15th, 2013
Cate: 50E, QUAD, 電源

電源に関する疑問(QUAD 50E・その4)

QUADの真空管アンプの回路のユニークさについての解説は、
ステレオサウンド別冊「往年の真空管アンプ大研究」に掲載されている石井伸一郎、上杉佳郎、是枝重治、三氏による
「QUADII+22の回路の先見性・魅力の源泉を探る」をお読みいただきたい。
(すでに絶版になっているが現在は電子書籍で入手できる)

これまでQUADの真空管アンプの回路について解説は、いくつか読んだことがある。
それでもはっきりとしないことがいくつもあって、それらがほとんどはっきりしたのが、この本のこの記事である。

QUADの真空管アンプの回路のユニークさについてこまかく解説していこうとすると、
それだけでけっこうな文量になるし、その多くを「往年の真空管アンプ大研究」から引用することになる。
なのでQAUDのアンプの詳細について知りたい方は「往年の真空管アンプ大研究」を参考にしてほしい。

「往年の真空管アンプ大研究」のQUADを記事を読んで、改めて思ったのは、
ピーター・ウォーカー氏は、五極管を使いこなしに長けていた人ともいえることだ。

コントロールアンプの22のフォノイコライザーは五極管EF86を1本だけで構成している。
しかも長年22のフォノイコライザーに関しては、CR型なのかNF型なのか、議論されてきていた。
それでも納得のいく答を出せていた人はいなかった(少なくとも私が読んだ記事の範囲においては)。

フォノイコライザーを真空管1本だけ(1段)だけで構成するのは、
三極管では増幅率が低く、まず無理であり、五極管を使うしかない。
三極管の2段構成すればもちろん可能になるわけだが、ピーター・ウォーカーはあえてそうしていない。

パワーアンプのQUAD IIもそう。
QUAD IIには三極管は使われていない(22はラインアンプはECC83の2段構成)。
初段は22のフォノイコライザーと同じEF86を2本使い、
基本的にはオートバランス型と呼ばれる位相反転回路となっている。

けれど、ここが22のフォノイコライザー同様、迷路的な回路となっていて、
なかなかその正体(動作)が把握しにくくなっている。

Date: 4月 14th, 2013
Cate: 50E, QUAD, 電源

電源に関する疑問(QUAD 50E・その3)

QUADの50Eの増幅部の回路構成は、
P-K分割の位相反転回路をもつ真空管のプッシュプルアンプの増幅素子をトランジスターに置き換えたもの、
ということで説明できるわけだが、
このことをQUADのアンプの変遷のなかでみていくと、
そこには創立者であるピーター・ウォーカーのしたたかさと柔軟さ、とでもいうべきなのか、
そういう面が浮び上ってくる。

QUADは1948年に最初のアンプQA12/P(インテグレーテッドアンプ)を出している。
KT66のプッシュプルアンプということ、それにモノクロの写真以外の資料はなく、
どんな回路構成だったのか、以前は不明だったのだが、
いまは便利なものでGoogleで検索すれば、QA12/Pの回路図は簡単に見つけ出せる。

その後1950年にQUAD Iを、1953年に今でも良く知られているQUAD IIを発表している。

この3つのアンプの回路図を比較すると、すでにQUAD IIに至る出発点としてQA12/Pが生れていたことがわかる。
なので、これからはQUADの真空管アンプ=QUAD IIとして話を進めていく。

50Eは真空管アンプのプッシュプル回路と基本的には同じである──、
実際にそうなのだが、だからといってQUAD IIの回路と同じかというと、まったく違う回路である。

真空管時代のQUADのアンプは、コントロールアンプの22にしても、パワーアンプのQUAD IIにしても、
細部をみていけばいくほど、「?」が浮んでくる、そういう回路構成となっている。

Date: 4月 14th, 2013
Cate: 50E, QUAD, 電源

電源に関する疑問(QUAD 50E・その2)

私がQUADの50Eの存在を知ったのは、ステレオサウンド 43号に載った記事である。
「クラフツマンシップの粋」という連載記事で、鼎談形式により過去の銘器について、
その時点の視点から捉え直そうというもの。

43号ではQUADの管球式アンプがとりあげられていて、
最後のところでQUAD初のソリッドステートアンプの50Eについても語られている。

山中先生の発言をひろってみる。
     *
この50Eというアンプは、いままでのパワーアンプと違って(註:QUADのそれまでの管球式アンプのこと)、完全に最初からソリッドステートということを意識したスタイリングをもっているわけで、これも大変シンプルで、しかもプロ的なイメージの強い製品として興味深いんですが、音の点でも大変ユニークな製品だったと思うんです。いわゆるソリッドステートアンプということではなく、球のアンプのもつスムーズさというか……。これはピーター・ウォーカー氏によれば、現時点ではもう特性的に魅力がないんだということですが、実際に聴いてみると、303とはやはり全然違った魅力というのはありましたね。
     *
ピーター・ウォーカーの発言がいつのことなのかは、これだけでははっきりとしないが、
ステレオサウンド 43号は1977年3月に出ている。
すでにカレントダンピングという新しい回路を搭載した405は世に登場していた。

405の登場の時の発言なのか、それとも303の時点での発言なのか。
どちらにしても50Eが「特性的に魅力がない」ということは、そのまま言葉通りに受けとめていい、と思う。

けれど音の魅力としては、山中先生の発言にもあるように「魅力がない」とはいえない。

私は43号を読んだ時点では、50Eをそういうアンプとして受けとめていた。

50Eは1965年ごろに発表されている。
もう50年近く経っている。
ステレオサウンド 43号の1977年は50Eが発表されて約10年、
製造中止になってそれほど経っていないころだ。

この間、アンプだけをみてもずいぶんと変遷があり、
あのころの50Eをみていた眼といま50Eをみている眼は、私個人に関してもずいぶんと変化してきている。

あらためて50Eの回路図を眺めていると、どこか新鮮さにつながるものを感じている。

Date: 4月 13th, 2013
Cate: 50E, QUAD, 電源

電源に関する疑問(QUAD 50E・その1)

この項の(その2)にこう書いている

真空管アンプには、いくつか採用例があったチョークインプット方式だが、
トランジスターアンプになってからは、1987年に登場したチェロのパフォーマンスまで採用例はなかった(はず)。

今日、ある方から、このことで指摘を受けた。
QUAD最初のソリッドステートアンプ50Eも、チョークインプットだ、と。

回路図を見ると、たしかにチョークインプットである。
となると、ほぼまちがいなくトランジスターアンプで最初にチョークインプットを採用したのは50Eだろう。

50Eの増幅部の回路構成は、真空管アンプのプッシュプル回路の増幅素子をそのままトランジスターに置き換えた、
そういえる回路構成である。

そのため、一般的なトランジスターアンプ(シングルエンテッドプッシュプル型)にはない位相反転回路がある。
真空管アンプのP-K分割ならぬ、トランジスターだけにC-E分割回路である。
50Eは出力トランスも搭載している。

こういう回路構成のアンプ、当時いくつかのメーカーで試作品的なものはつくられたそうだが、
実際に製品化されたのはQUADの50Eだけ、らしい。

実は増幅部の回路構成については回路図を以前みたときから知っていた。
でも、そのときは電源部にまで注意がいかなかった。

増幅部の回路構成が真空管アンプそのものであるなら、
電源部もそうである、と、なぜか当時は思わなかった。

Date: 12月 27th, 2009
Cate: ESL, QUAD

QUAD・ESLについて(その27)

技術的知識は「有機的に体系化」できなければ、
害をもたらすことが多いということを肝に銘じてほしい。

Date: 11月 15th, 2009
Cate: ESL, QUAD

QUAD・ESLについて(その26)

オーディオの技術的知識について問われれば、
中途半端なレベルであれば、むしろ持っていないほうがいいように思っている。

もちろんオーディオ機器を正しく接続するための知識は必要なのは言うまでもないことだが、
それ以上の技術的知識となると、人によるとわかっていても、
知識を吸収している段階の、ある時期は、真摯に音を聴くときの害になる。
中途半端な技術的知識が、耳を騙す。

「だから素晴らしい」と語った人は、私の目にはそう映ってしまう。

耳が騙された人は、本人も気づかぬうちに、だれかを騙すことになる。
あるサイトの謳い文句に騙された人も、同じだ。
悪気は無くても、同じ謳い文句を口にしては誰かを騙している。

そういう人のあいだから発生してきた、まともそうにきこえても、じつはデタラメなことがらが流布してしまう。

Date: 11月 12th, 2009
Cate: ESL, QUAD

QUAD・ESLについて(その25)

それに6dB/oct.以外のネットワークでは、並列にはいるコンデンサーなりコイルの存在があり、
サイズ項の(その37)(その38)(その39)(その40)(その41)でふれた、
信号系のループの問題が発生してくる。

ネットワークはフィルターであり、そのフィルターの動作をできるだけ理想に近づけるためには、
アース(マイナス)線を分離していくことが要求される。

スピーカーのネットワークは、基本的にコンデンサーとコイルで構成される、さほど複雑なものではないのに、
スロープ特性だけをとりあげても、けっこう端折った書き方で、これだけある。

なのに、この項の(その11)でふれた人のように、「だから素晴らしい」と断言する人が、現実にはいる。

なぜ、その程度の知識で断言できるか、そのことについて考えていくと、ある種の怖さが見えてくる気がする。