電源に関する疑問(QUAD 50E・その3)
QUADの50Eの増幅部の回路構成は、
P-K分割の位相反転回路をもつ真空管のプッシュプルアンプの増幅素子をトランジスターに置き換えたもの、
ということで説明できるわけだが、
このことをQUADのアンプの変遷のなかでみていくと、
そこには創立者であるピーター・ウォーカーのしたたかさと柔軟さ、とでもいうべきなのか、
そういう面が浮び上ってくる。
QUADは1948年に最初のアンプQA12/P(インテグレーテッドアンプ)を出している。
KT66のプッシュプルアンプということ、それにモノクロの写真以外の資料はなく、
どんな回路構成だったのか、以前は不明だったのだが、
いまは便利なものでGoogleで検索すれば、QA12/Pの回路図は簡単に見つけ出せる。
その後1950年にQUAD Iを、1953年に今でも良く知られているQUAD IIを発表している。
この3つのアンプの回路図を比較すると、すでにQUAD IIに至る出発点としてQA12/Pが生れていたことがわかる。
なので、これからはQUADの真空管アンプ=QUAD IIとして話を進めていく。
50Eは真空管アンプのプッシュプル回路と基本的には同じである──、
実際にそうなのだが、だからといってQUAD IIの回路と同じかというと、まったく違う回路である。
真空管時代のQUADのアンプは、コントロールアンプの22にしても、パワーアンプのQUAD IIにしても、
細部をみていけばいくほど、「?」が浮んでくる、そういう回路構成となっている。