Noise Control/Noise Designという手法(その29)
何かが加われば、それに起因する新たなノイズが発生することになるのは、
1982年以降、CDプレーヤーが登場し、それまでアナログだけだった再生系にデジタルが加わることによって、
ここでも新たなノイズが発生することになった。
こんなふうに書いていくと、
なんだ、アクースティック蓄音器のモノーラル再生がいちばんノイズが少ないのか……、
ということには当然だからならない。
新しい技術が加わることで改善されていくところもあるわけで、トータルとしてのノイズ量は減少に向いている。
減少に向いているからこそ、新たなノイズ(量は少ないにしても)がクローズアップされることにもなる。
そしてノイズの性質(たち)も変化している。
アナログディスクからCDになって、大きなノイズの変化はあったし、
たとえばアンプだけをとってみても、ノイズの性質は変化してきている。
大ざっぱな区分けでしかないが、トランジスター初期のころのアンプや真空管アンプのノイズと、
たとえばコントロールアンプでいえばマークレビンソンのLNP2が登場したあたり以降のノイズとでは、
量(S/N比)だけでなく、性質的にも変化してきている、といえる。
私の感覚的な捉え方だが、
以前のノイズは電気的だったのに対して、途中から電子的なものに変化していった気がする。
アナログディスクのノイズとCDのノイズの違いにも、多少そんなところがあるような気がする。
アクースティック蓄音器を除けば、オーディオは電源を必ず必要とする。
だから電化製品とも呼べるし、電子機器とも呼べる。
電気的と電子的、それから電気モノと電子モノ──、
そんなのは単なる言葉遊びに近いのではないか、といわれるかもしれないし、
その違いについて問われた時、うまく説明はできないものの、
あえて具体例をあげれば、マッキントッシュの以前のパワーアンプのMC2300は、電気モノ、と私は捉えている。