オーディオの「本」(その14)
この項の(その10)から(その12)で、
書店からオーディオ雑誌が消えつつ(少なくなりつつ)あることの寂しさを書いた。
つい先日も、発売になったばかりのオーディオ雑誌が前号までは平積みだったのが、
今号から棚に収まるようになっていた。
これは私がよく行く書店での話であって、ほかの書店ではまだ平積みになっていることだろう。
こうやって、また一冊、平積みでなくなった……と思ったわけだが、
そのとき、やっと気がついたことがある。
自分でも、いま気づくなんて……と思ったのは、
平積みでなくなっているのはなにもオーディオ雑誌だけではないということ。
レコード(CD)関係の雑誌も平積みでなくなりつつある、ということに、いまさらながら気がついた。
オーディオ雑誌とレコード雑誌は関係している。
片方だけがものすごく売れて、もう片方がまったく売れない、ということはないはずだ。
両方とも売れるか、両方とも売れないか(そこに少しの時期のズレはあるだろうが)。
いま手元に1970年代のスイングジャーナルがある。
見ていると、オーディオメーカーの広告もかなり載っている。
ステレオの1970年代のバックナンバーも少しあって、これにもレコード会社の広告がかなり載っている。
私が読みはじめたころのステレオサウンドも、そういえばレコード会社の広告が載っていた。
いまもオーディオ誌にレコード会社の広告が、レコード誌にオーディオメーカーの広告が、
それぞれ載っていても、その割合は以前と較べるとぐんと減っている。
オーディオ関係者の中には、オーディオ界はいまのままでいい、という人がいる。
本人から直接聞いたことだから、信じられないと思われる人もいるだろうが、事実である。
そういう人はごくごく少数だと、私は信じている。
多くのオーディオ関係者の人たちは、オーディオ界をよくしていきたいと思っている、と信じている。
それに、仮にいまのままでいい、という人にあえて言いたいのは、
現状維持でいいと、何もせずにいれば確実に悪くなっていくものだ。
現状維持をするためにも、よくしていこう、とやっていかなければならないのに、と。
よくしていくには、オーディオ業界とレコード業界が協力し合うことがこれまで以上に求められるのではないか。