新製品(TANNOY Legacy Series・その17)
「タンノイのPrestigeシリーズの鍵は、いわば付加価値でしょ」
こんなことをすぐに言い出す人が少なからずいる。
なにかというと、すぐに「付加価値が」という。
こういう人とはオーディオの話はできない、と思っている。
Prestigeシリーズの鍵と鍵穴は、付加価値といえるのか。
システム全体からすれば、そこにかかっているコストはそれほど高いものではないだろう。
けれど、まったくコストがかかっていないわけではない。
少なからぬコストをかけて、タンノイならではのいぶし銀といえる音を、
大きく疎外している存在を、付加価値といえるのか。
付加価値ならぬ負加価値というのならば、同意する。
何の疑いも持たずに聴ける人にとっては、付加価値なのだろう。
しかも、あの鍵は、共通していたはずだ。
少なくとも同じ型番のPrestigeシリーズならば、鍵の使いまわしができる。
スピーカー本体のシリアルナンバーと鍵が対になって一台一台鍵が違い、
鍵にもナンバーがふられている──、
文字通りの鍵としての機能をもっていたら、付加価値というのもわからぬわけではない。
Prestigeシリーズについて、少々きついことを書いているが、
Prestigeシリーズはまじめにやっていると思っている。
内蔵ネットワークにしても、GRF Memoryもそうだし、
それ以降はしばらくはプリント基板による配線だったのを、
ワイヤー配線に切り替えているし、全機種というわけではないが、
アルニコマグネットも復活させている。
それからユニットフレームのアースをとれるようにしたり、とか、
そう、オーディオマニア心をくすぐっている。
GRF Memoryから始まったPrestigeシリーズは成功を収めている。
これからも手を抜くことがなければ、順調なのだろうに、
今年(2017年)、タンノイはLegacyシリーズを出してきた。
なぜ今年なのか、と、まず考えた。
Ardenらが登場したのは1976年である。
去年(2016年)にLegacyシリーズの復活というのであれば、40年目ということになる。
でも今年なのだ。
41年目なのだ。
何か、別の理由があるのか、と考えた。
40年以上むかし、50年前、60年前……、
70年前の1947年、デュアルコンセントリックが誕生している。