新製品(TANNOY Legacy Series・その15)
GRF Memoryが登場するまでのタンノイのイメージは、
オートグラフとABCシリーズ(その中でもArdenとEaton)によってつくられていたからこそ、
GRF Memoryのタンノイ的装飾は、好意的に受け止めることはできなかった。
マニア心をくすぐる──、
そんな表現が使われていた、と記憶している。
けれど、そのマニア心とは、オーディオマニア心なのだろうか、とも疑問に感じることもある。
たとえばサランネットに設けられた鍵穴。
GRF Memoryでは鍵を使ってサランネットを着脱するようになった。
ここに魅力を感じる人もいれば、無関心の人もいるし、
私のように、ないほうがいいのに……、という人もいる。
出っ張りすぎたひさしとうつる天板とサランネットの鍵穴。
私にとって、このふたつはGRF Memoryにおけるタンノイ的装飾の象徴といえる。
オートグラフにもABCシリーズにも、タンノイ的装飾は感じなかった。
なかったところに、いきなりあらわれたものだから、よけいに気になっていた。
タンノイのGRF Memoryにかける意気込みのようなものは頭で理解できても、
心情的にも、直感でも受け入れ難いアピアランスであった。
けれどGRF Memoryは成功した。
続いてEdinbargh、Stirlingが登場する。
いまに続くPrestigeシリーズの始まり、といえるだろう。
でも、ほんとうにタンノイ的装飾のスピーカー、
Prestigeシリーズがタンノイを代表するスピーカーシステムといえるのだろうか。