Archive for category イコライザー

Date: 7月 7th, 2021
Cate: イコライザー

私的イコライザー考(ダイナミックバランス・イコライザー)

トーンコントロール、グラフィックイコライザー、
パラメトリックイコライザーなど、周波数特性を変化させる機器は昔からある。

音を聴いて、トーンコントロールを調整する。
曲のはじめで、トーンコントロールを調整したとしよう。

曲が展開していくにつれて、トーンコントロールの調整はそのままでいいのか。
そう思うことが、10代のころからあった。

かといって、曲を聴いている途中で、またトーンコントロールをいじるということはしたくない。
そういう気持も強かった。

トーンコントロールやイコライザー等の難しいところは、このところにあるといっていい。
音楽は常に変化して、展開していく。

その音楽に対して、その曲のさわりのところをだけを聴いて、
トーンコントロール、イコライザーを調整したところで、
それがどんなにうまくいったとしても、
一分後、五分後、十分後……まで、そのままでうまくいくという保証は、どこにもない。

ならば曲の展開に応じて、カーヴが対応・変化していくことができないものだろうか。
デジタル技術が登場した時に、そんなことを妄想したことがある。

従来のトーンコントロール、イコライザーをスタティックバランスとすれば、
それはダイナミックバランス・イコライザーとも呼べる。

音楽信号を、メモリーに一旦バッファーしておいて、カーヴを対応させていく。
デジタル信号処理ならば、不可能ではないはず。
そう思いながらも、そのための勉強をしようとは思わなかった。

けれど、世の中には同じことを考えただけでなく、それを可能にする人(たち)がいる。

Date: 10月 20th, 2019
Cate: イコライザー, 平面バッフル

メリディアン 218のトーンコントロールと平面バッフル

audio wednesdayで、一度はやってみたいことがある。
平面バッフルを持ち込んでの音出しである。

といっても、2m×2mという大きな平面バッフルではなく、
1m×1m程度の平面バッフルに、15インチ口径の同軸型ユニットを取り付けて──、
それを、以前からやりたいと思っていた。

1m×1m程度の平面バッフルでは、どうしても低音は不足がちになる。
トーンコントロールである程度は補える。

マッキントッシュのMA7900には5バンドのトーンコントロールがついている。
ある程度の補整はできるだろう──、
と思ってはいたが、もうひとつ本気になって考えるほどにはなれなかった。

でもメリディアンの218のトーンコントロールの実力を聴いて、
これならば、と考え直している。

218のトーンコントロールは、低音域に関しては+5dBまでのブーストである(高音域は+10dB)。
それでどこまでやれるのか、やってみないとわからないところもあるが、
なんとかやりそうな感じがするからこそ、
ここにきて、やりたい気持が強まっている。

もうひとつ試してみたいのは、
セレッションがSL600用に開発したSystem 6000である。
このウーファー部を、218のトーンコントロールで補整する。

いい結果が得られそうな予感は、しっかりとある。

Date: 10月 19th, 2019
Cate: イコライザー

トーンコントロール(その14)

メリディアンの218を使われている方から、facebookにコメントがあって、
そこには左右独立でない点が不満といえば不満、とあった。

218のトーンコントロールは、左右チャンネルを独立して調整はできない。
そこに不満を感じる人もいるし、私は反対に、左右共通だからこそいい、と感じている。

これはトーンコントロールに対しての考え方、使い方の違いから来ることであって、
どちらが正しい、といったことではない。

218のトーンコントロールはDSPで信号処理しているだから、
左右独立でトーンコントロールの調整ができるようにするのは技術的には容易なはず。

あとはiPhone用のアプリ、IP Controlのユーザーインターフェースを変更すればいいくらいで、
実現可能なはず。

そういう仕様になったとして、
つまりトーンコントロールを左右共通で動かすのか、
独立させて動かすのかが選択できるようになったとしても、
私はいまのままの仕様(左右共通)で使う。

私はそのほうが使いやすい、と感じるからだ。

218のトーンコントロールについて、
やや昂奮気味に書いていて、次のステップとして非常に気になっているのは、
ULTRA DACが搭載する三種のフィルターとの組合せである。

Date: 10月 12th, 2019
Cate: イコライザー

トーンコントロール(その13)

メリディアンのULTRA DAC、218のトーンコントロールと同じカーヴを、
従来のアナログ回路で再現しようとした場合、
複雑な構成になるのかもしれない、となんとなく感じている。

メリディアンのトーンコントロールのカーヴがどういう特性なのか、
測定データを見て確認しているわけでもないし、
どんなことをやっているのかも、まったくとまで、とはいわないが、
知らない、といっていいレベルでしかない。

ただ、そう感じているだけ、である。
アナログ回路で、同じカーヴのトーンコントロールを、
それでも試してみたい、という気持が芽ばえている。

おそらくうまくいかないだろう、と予想している。
カーヴだけは近似のものがつくれても、位相に関する特性は、
DSPを使ったメリディアンのトーンコントロールの特性とは、
大きく違う結果になるはずだからだ。

四十年以上オーディオをやってきている者が、
いまになってトーンコントロールに夢中になっている。

メリディアンのD/Aコンバーターに搭載されているトーンコントロールに夢中になっている。

傍からみれば、オーディオの初心者じゃあるまいし、といわれることだろう。
夢中になっているのは、実際に自分で218のトーンコントロールに触れ、
その音、その効能性を実感しているからである。

218を、D/Aコンバーターとしてオーディオ店で試聴したことのある人はいよう。
オーディオ店での218は、トーンコントロールをどうしているのだろうか。

とにかくメリディアンのトーンコントロールについては、
触ってみて、つまり自身でいじってみて、その音を聴いてほしい、と思う。

その経験がある人は、私が、トーンコントロールについて、
これだけ書いていることに納得されるはずだ。

Date: 10月 8th, 2019
Cate: イコライザー

トーンコントロール(その12)

すべてのコントロールアンプ、プリメインアンプに触ってきたわけではない。
これまで登場したコントロールアンプ、プリメインアンプの数からすれば、
私が触って聴いてきたアンプは、ごく一部だし、
その中でトーンコントロールを持つアンプはどのくらいなのだろうか。

割合としては少なくなってきているが、
それでもすべてのアンプのトーンコントロールに触れて、音を聴いているわけではない。

ステレオサウンドにいたころ、
コントロールアンプの総テストで、
トーンコントロールを始めとする各機能の試聴を行ったことがある。
柳沢功力氏が試聴記を書かれている。
担当は私だった。

総テストで取り上げられたコントロールアンプのすべてがトーンコントロールを持っていたわけではない。
ついているアンプの方が少なかった、と記憶している。

トーンコントロールの利きぐあいを聴いていて、
このトーンコントロールはいい、
このトーンコントロールだけでもいいから欲しい、と思うことはなかった。

低音・高音の2バンドという基本的なトーンコントロールにしても、
その回路構成・方式はいくつもある。

同じ方式であっても、設定の仕方や使用部品によっても、
同じように作用し、同じ質のトーンコントロールになるわけではない。

このトーンコントロールの回路をどうしても知りたい、と思うことは、
その時は残念なことになかった。

アナログのトーンコントロールは、完成を迎えたのだろうか。
そんなことを218のトーンコントロールを触って、思っている。

そして、もうひとつ思っていることがある。
ULTRA DAC、218のトーンコントロールは、
このレベルに達して、やっとトーンコントロールがデザインされた、といえるのではないか、と。

Date: 10月 6th, 2019
Cate: イコライザー

トーンコントロール(その11)

10月2日のaudio wednesdayでは、
メリディアンの218のトーンコントロール機能をゼロにすることはなかった。

どのディスクでも、低音か高音のどちらかはトーンコントロールでいじっていた。

最初に鳴らしたディスクでは、どのくらいの変化量が音としてあらわれるのか、
さぐっていく段階だったので、
低音も高音も、数回、曲を鳴らしながら操作していた。

二枚目を聴いて、三枚目くらいになると、
おおよその目安のようなものはつかめた。

それでもディスクをかえて、このくらいかな、と思って操作して、
そのまま最後まで聴き続けることもあったが、
冒頭の音の十秒ほどを聴いて、0.5dBステップで調整もしていた。

さわってみると実感できるのは、
ひとふりの胡椒、ひとつまみの塩のたとえ通りであるということだ。

こんなに頻繁にトーンコントロールを調整したことは、
これまでをふりかえっても一度もなかった。

だからといって神経質になることはない。
ほんとうに、いい感じで音が決まる感触があって、
iPhoneで手元で調整できるのだから、とにかく触って音を聴くだけである。

メリディアンの輸入元ハイレス・ミュージックの鈴木さんによれば、
ボブ・スチュアートが長年取り組んできた成果である、とのこと。

ULTRA DAC、218のトーンコントロールのアルゴリズムがどういうものなのか、
技術的なことはまったく知らない。
正直、そんなことはどうでもいい。

使ってみれば、その良さはよくわかるはずだ。

Date: 10月 4th, 2019
Cate: イコライザー

トーンコントロール(その10)

瀬川先生が、「コンポーネントステレオの世界 ’79」の巻頭、
「’78コンポーネント界の動向をふりかえって」で、トーンコントロールについて触れられている。
     *
 また、音楽の愛好家ならば、レコードを録音本位では買わない。自分の好きな曲、好きな演奏家、を選ぶのは当り前だ。それが結果として良い音であれば嬉しいが、中には録音のコンディションのために、低音や高音の過不足もある。それをそのまま聴くというのもひとつの態度だろうが、私はそれほど寛大になれない。もう反射的に、手がトーンコントロールにのびて、音のバランスを修整したくなる。料理をひと口たべてみて、胡椒をひと振りするのと全く同じだ。ひとふりの胡椒、ひとつまみの塩が、どれほど味を生きかえらせることだろう。
 そういう意味で、くりかえすが私はトーンコントロールやラウドネスコントロールや、フィルタのコントロール類を、やたらと省略するアンプの作り方に全く賛成できない。録音の良いレコードばかりが用意されて、遮音の十分なメーカーの試聴室の中で十分な音量で聴きながら仕上げているかぎりは、たしかにトーンコントロールは不要だろうが、現実に私たちの手に渡ってからのアンプは、そういう聴かれかたばかりではないのだ。GASやマランツやマッキントッシュやQUADのコントロールアンプは、決してトーンコントロールをないがしろにしていない。マーク・レビンソンも、JC2がML1Lになって音質は納得がいったが私自身はLNPにこだわるのもそのためだ。
     *
《ひとふりの胡椒、ひとつまみの塩が、どれほど味を生きかえらせることだろう》
とある。

よくできたトーンコントロールを、
うまく使いこなせれば、ひとふりの胡椒、ひとつまみの塩の例えはまさにそうであり、
味が生きかえることはある。

10月2日のaudio wednesdayで、
メリディアンの218のトーンコントロール機能を、iPhoneでいじっていて、
そのことを実感していた。

それは、初めての、ともいいたくなる実感でもあった。
マークレビンソンのLNP2の3バンドのトーンコントロールは、使ってみると納得できる。

LNP2のトーンコントロールは連続可変ではなく、
切替えスイッチによるステップ式である。

それで不満を感じないといえばそうともいえるが、
時として、ステップがもう少し小さければ、もっといいのに……、
そうおもうことがまったくない、とはいえない。

218は低音と高音の2バンドのトーンコントロールで、
0.5dBステップで増減できる。

Date: 10月 2nd, 2019
Cate: イコライザー

トーンコントロール(その9)

トーンコントロールは、以前は多くの人が使っていた、と思う。
トーンコントロールがジャマモノ扱いされるようになったのは、
マークレビンソンのJC2の登場の影響は無視できないだろう。

薄型アンプの流行をつくったともいえるJC2だが、
それ以上にトーンコントロールの省略の兆しをつくったアンプでもある。

国産のアンプでもトーンコントロールを省いた製品が登場しはじめたし、
トーンコントロールはついていても、
トーンディフィート(バイパス)スイッチがついていて、
トーンコントロールの回路自体を信号が経由しないようにする機能がつくようにもなった。

プリメインアンプも同じだった。
トーンディフィートスイッチが当り前になってきたし、
トーンディフィートをONにすれば、
回路を一つ経由しないわけだから、いわゆる音の鮮度は向上する。

トーンディフィートスイッチをON/OFFしても、
音の違いが少ないアンプがいいアンプでもある──、
そういうこともいわれたが、トーンコントロールはジャマモノ扱いされていった。

トーンコントロール回路を最初から省いてしまえば、
その分コストが浮くし、
浮いたコストの分だけ価格を安くもできるし、
浮いたコストを、他のところにかければ、性能向上もはかれる。

ある世代から下は、CDが当り前のメディアであって、
LP(アナログディスク)を見たことも聴いたこともないのが普通になった。

いまアナログディスクブームだから、そうでもないだろうが、
とにかく、トーンコントロールがジャマモノ扱いされることで、
トーンコントロールなんて、一度も使ったことがない──、
というオーディオマニアがいても不思議ではないのかもしれないし、
いまはそういう時代なのだろうか。

そこに、DSPを使ったメリディアンのトーンコントロール機能が、
ひっそりと登場した(あえて、ひっそりをつけ加えた)。

Date: 9月 23rd, 2019
Cate: イコライザー

トーンコントロール(その8)

トーンコントロールで昂奮する日が来るとは、まったく予想していなかった。

たとえばCelloのAudio Paletteの登場は、昂奮もしたし、
実際にAudio Paletteを見て触れて、さらに中身を見て、すこし醒めたところもあった。

それでもAudio Paletteでの昂奮は、
Audio Paletteというオーディオ機器への昂奮の方が、私の場合、大きかった。

Audio Paletteの六つのツマミを触れてみればすぐにわかることだが、
マーク・レヴィンソンが自慢するほど精度の高い造りではなかった。

それでもツマミをまわしていけば、おもしろいように音は変化していく。
使いこなせれば、おもしろそうだな、と思っても、
Audio Paletteをリスニングポイントから手が届く位置に置いて、
レコード(ディスク)ごとに六つのツマミをいじっていく、という聴き方は、
私は、あまりしたくない、と思う方だ。

ステレオサウンドの試聴室で、目の前にAudio Paletteを置いて、という使い方では、
おもしろいと思うし、オーディオマニア心が触発されるのは否定しない。

でも、ステレオサウンドの試聴室での聴き方と、
自分の、小さいとはいえリスニングルームでの聴き方は、決して同じではない。

メリディアンの218のトーンコントロールは、
218本体には、ツマミ、ボタン類はまったくついていないから、
必然的にiPhoneもしくはiPadで操作することになる。

218は、その外観からわかるようにバックヤードでの使用を前提としている。
218は目の前に置く必要はまったくない。

iPhoneが手元にあればいい。
そのうえで、トーンコントロールの効き方が、
何度でもくり返し伝えたくなるほど、心地よいのだ。

Audio Paletteがアプリケーションになっているのは知っている。
ダニエル・ヘルツからMaster Classという名称で、数年前から出ている。

macOS用である。
これがiPhoneから操作できるようになれば、
そしてアプリケーションのユーザーインターフェースが、
Audio Paletteをどこか思わせるようになってくれれば……、
そんなことを思ってしまうが、どうなのだろうか。

Date: 9月 19th, 2019
Cate: イコライザー

トーンコントロール(その7)

メリディアンの218はDSPを搭載している。
このDSP内で信号処理をすることで、
218のアナログ出力を固定か可変かを選択できる。

つまりデジタルボリュウムの機能をもつ。
さらに2バンド(低音と高音)のトーンコントロール機能ももっている。

これまでにもデジタル信号領域でレベルコントロールを行なうモデルは、いくつもあった。
それらのほとんどの機種が、劣化は生じない、と謳っていた。

素直に信じたい気持はあるし、
ほんとうにそうなってくれれば素晴らしいことではある。

けれど実際には、それほど悪くはない、という機種もあれば、
あまり使いたくない、というレベルの機種もあった。

まだまだ発展途上という感じであったのが、いまから十年以上前のことだ。

十年以上が経った。
メリディアンの218の同じ機能をすぐには試そうとは思わなかった。
これといった理由はないが、やはり以前の印象が残っていたことも関係していよう。

それでも十年以上が経っているわけだ。
ずいぶん進歩しているはずである。

それでも半信半疑だったことは認める。
コントロールアンプをパスして、パワーアンプと218を接続する。

この程度の音が鳴ってくるのか、どきどきした。
いい感じだ。

十年以上が経っていることを実感できた、とでもいおうか。
そうなると218のトーンコントロール機能も試してみたくなる。

iPhoneに、Meridian IP Controlをインストールしていれば、簡単に操作できる。
ここでのトーンコントロールの効き方に、驚いた。

このくらいかな、と適当に目安をつけて低音をブーストした。
これまでのアナログ式のトーンコントロールでは、100%狙い通りには、まずならない。

なのに218のトーンコントロールは、すんなり狙い通りといおうか、
それ以上のようにも思えた。

こんなふうに低音がブーストされるのか。
聴いていて心地よい。

Date: 9月 18th, 2019
Cate: イコライザー

トーンコントロール(その6)

最初に使ったトーンコントロールは、ラジオについていたものだった。
ツマミは一つだけ。
時計回りで高音が、反時計回りで低音がブーストされる、という簡易的なものだ。

その次はラジカセのトーンコントロールだった。
こちらはツマミは二つあった。
つまり、一般的な低音・高音をそれぞれ調整できるタイプだ。

最初に使ったプリメインアンプのトーンコントロールも、
ラジカセのトーンコントロールと基本は同じだった。

二台目のプリメインアンプ(AU-D907 Limited)のトーンコントロールは、
ターンオーバー周波数の切替えが可能だった。

ステレオサウンドで働くようになって、
マークレビンソンのLNP2のトーンコントロールも触ってきたし、
CelloのAudio Paletteの6バンドのイコライザーも触っている。

他にもいくつかのイコライザーに触れてきた。
いまは、喫茶茶会記にあるマッキントッシュのMA7900のトーンコントロールも、
使うことがある。

これまでに使ってきたトーンコントロール(イコライザー)にも優劣はあるが、
それでも、触る前にある、
ここをこうしたい、というこちらの要求にぴったりと応えてくれるトーンコントロールはなかった。

このツマミをいじれば、こんなふうに変るだろう(というか、変ってほしい)という想像と、
実際に鳴ってくる音とは、どんな場合であっても少なからずズレがある。

そのズレを少しでも修正するために、しつこく使ってみるしかないわけだし、
そういうものであるという認識でもある。

ところが二日前の月曜日、必ずしもそうでないことを、初めて体験した。
メリディアンの218を使ってのトーンコントロールにおいて、である。

Date: 8月 3rd, 2018
Cate: イコライザー

私的イコライザー考(中心周波数・その3)

グラフィックイコライザーの評価は、バンド数とその中心周波数だけで決るわけではない。
同じバンド数と同じ中心周波数であっても、
回路構成、その他によって音は違ってくるし、
イコライザーはなにより使いこなしが、非常に重要なオーディオ機器である。

使いこなしに長けていれば、
中心周波数の設定にそれほど細かくこだわる必要はないのかもしれない。
ただ、同条件での比較が難しいから、なんともいえない。

私が知る範囲では、ビクターのSEA7070だけが、中心周波数の違いがどう影響するのかを、
まったく同条件で比較できる。

SEA7070は1977年に登場した11バンドのグラフィックイコライザーである。
価格は135,000円。

中心周波数は31.5Hz、63Hz、125Hz、250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、4kHz、8kHz、16kHz。
これもテクニクスと同じ、他の多くのグラフィックイコライザーと同じで、
もうひとつの中心周波数は1kHzと考えていい製品だ。

SEA7070は、それぞれの中心周波数を1/3オクターヴずつ上にも下にも変えられる。
つまり31.5Hzは25Hzと40Hzに、63Hzは50Hzと80Hzに、125Hzは100Hzと160Hzに、
250Hzは200Hzと315Hzに、500Hzは400Hzと630Hzに、1kHzは800Hzと1.25kHzに、
2kHzは1.6kHzと2.5kHzに、4kHzは3.15kHzと5kHzに、8kHzは6.3kHzと10kHzに、16kHzは12.5kHzと20kHz、
というふうに変えられる。

つまりSAEのMark 27と同じ二つ目の中心周波数のグラフィックイコライザーにもなる。
実際は630Hzと640Hzというスペック上の違いはあるが、
40万の平方根の632.455Hzの近似値であるのは同じだ。

SEA7070のようなグラフィックイコライザーは、他になかった、と記憶している。
SEA7070は使ったことがない。
だから、SEA7070が優れたグラフィックイコライザーなのかどうかは、私には判断できないが、
少なくとも中心周波数のもつ意味を徹底的に探ろうとするのであれば、
SEA7070に代るモノはない。

Date: 8月 2nd, 2018
Cate: イコライザー

私的イコライザー考(中心周波数・その2)

LNP2に3バンドのトーンコントロールがついていた。
機能を徹底的に省いたコントロールアンプもあれこれ夢想していた、
同時にコントロールアンプとしての機能を備えたモノも夢想していた。

トーンコントロールをどうするか。
最低でも3バンド、もっとバンド数を増すことも考えていた。
バンド数とともに、中心周波数をそれぞれどこに設定するのかも重要である。
その参考に、HI-FI STEREO GUIDE掲載の各社のイコライザーのスペックを比較していたわけだ。

たとえばラックスのSG12は型番が示すように12バンドのグラフィックイコライザーで、
中心周波数は14Hz、28Hz、55Hz、110Hz、220Hz、440Hz、880Hz、1.8kHz、3.5kHz、
7kHz、14kHz、28kHzとなっていた。

テクニクスのSH9090は、10Hz、30Hz、60Hz、125Hz、250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、
4kHz、8kHz、16kHz、32kHzであった。
SAEのMark 27は、40Hz、80Hz、160Hz、320Hz、640Hz、1.28kHz、2.5kHz、
5kHz、10kHz、15kHz、20kHzである。

これらを比較して気づくのは、それぞれのバンドの中心周波数のほかに、
もうひとつの中心周波数がある、ということだ。

テクニクスのそれは1kHzと見ていい。
ラックスの440Hzであり、SAEは640Hzである。

これは全体の帯域の中心をどこに見ているのか、の表れだ。
1kHzを中心とするテクニクス、
A音を中心とするラックス、
可聴帯域の下限と上限をかけあわせた40万の平方根である632.455Hzに近い数値の640Hz、
ここを中心とするSAE。

バンド数が少ないからこそ、各社の考えがあらわれていた。

Date: 8月 2nd, 2018
Cate: イコライザー

私的イコライザー考(中心周波数・その1)

1981年にテクニクスがSH8065を発表した。
33バンドのグラフィックイコライザーを、79,800円で出してきた。

そのころアルテックの1650Aは28バンドで、534,000円、729Aは24バンドで、622,000円、
クラークテクニークのDN27が27バンドで417,000円。
ただしこちらはモノーラルなので、ステレオだと80万円を超える。

そういう時代にSH8065の79,800円である。
テクニクスのグラフィックイコライザーで最上機種だったSH9090は、
12バンドで200,000円。こちらもモノーラルだからステレオでは40万円だった。

誰もが驚いた、と思う。
グラフィックイコライザーにほとんど関心のなかった人も驚いただろうし、
この値段だったら、と関心を持ち始めた人もいたはずだ。

一社とはいえ、10万円を切る価格で出してきて、それだけ注目をあびたことで、
少なくとも日本のメーカーは追従してくるのかと思っていたけれど、
33バンドのグラフィックイコライザーを、SH8065の同価格帯で出してくるのは困難だったようだ。

テクニクスは翌年上級機のSH8075も出してきた。
それだけ勢いがあった。

33バンドということは1/3オクターヴである。
このくらい細かい分割されると、興味を失うことがある。
中心周波数の設定である。

それまでは10バンド前後が多かった。
このくらいの分割だと、各社で中心周波数に違いが出てくる。

SH8065が出てくるまで、
HI-FI STEREO GUIDEをながめて、各社のイコライザーの中心周波数を比較していた。

中学、高校時代の私は、めぜさマークレビンソン、おいこせマークレビンソンだった。
LNP2以上のコントロールアンプを自作したい、と思っていた。

Date: 11月 8th, 2016
Cate: イコライザー

私的イコライザー考(妄想篇・その15)

BOSE・901が前面ユニット1に対して後面ユニット8なのは、
直接音と間接音の比率が1:8になるようにと説明されてきた。

この比率は、音圧なのだと最初に思った。
実際そうなのだろう。
けれど、901というスピーカーをいま一度捉え直してみていくと、
音圧だけの比率なのだろうか、とも思うようになってきた。

1:8という比率は、ユニットの数でもあり、
振動板の面積の比率でもある。

たとえば前面ユニット1、後面ユニット4にして、
後面ユニットにいくパワーを大きくすることで、
音圧的には1:8にすることもできる。

ユニットのリニアリティが優秀であれば、
もしくはリニアリティがいい範囲を使うかぎりにおいては、
前面ユニット1、後面ユニット8と、少なくとも同じ効果が得られるはずなのだが、
実際にはどうなのだろうか。

これは自分で実験していくしかないのだが、
音圧だけでなく振動板の総面積の比率を、無視できなくなる結果になる予感がある。

よく「世の中に登場するのが早かった……」という言い方がされる。
オーディオではスピーカーに、それが使われることが多い。

この表現をみかけると、ほんとうにそうだろうか、と思うことの方が多い。
たとえばQUADのESL。
このスピーカーも、登場するのが早かった、といわれがちなスピーカーであるが、
ESLは周辺機器の性能向上につれて、その能力を発揮するようになっていた。

つまりその時代まで製造中止されることなく生き残ってきたモデルである。
そうなる前に消えてしまったスピーカーは、ほんとうに「世の中に登場するのが早すぎた」といえるのか。