私的イコライザー考(ダイナミックバランス・イコライザー)
トーンコントロール、グラフィックイコライザー、
パラメトリックイコライザーなど、周波数特性を変化させる機器は昔からある。
音を聴いて、トーンコントロールを調整する。
曲のはじめで、トーンコントロールを調整したとしよう。
曲が展開していくにつれて、トーンコントロールの調整はそのままでいいのか。
そう思うことが、10代のころからあった。
かといって、曲を聴いている途中で、またトーンコントロールをいじるということはしたくない。
そういう気持も強かった。
トーンコントロールやイコライザー等の難しいところは、このところにあるといっていい。
音楽は常に変化して、展開していく。
その音楽に対して、その曲のさわりのところをだけを聴いて、
トーンコントロール、イコライザーを調整したところで、
それがどんなにうまくいったとしても、
一分後、五分後、十分後……まで、そのままでうまくいくという保証は、どこにもない。
ならば曲の展開に応じて、カーヴが対応・変化していくことができないものだろうか。
デジタル技術が登場した時に、そんなことを妄想したことがある。
従来のトーンコントロール、イコライザーをスタティックバランスとすれば、
それはダイナミックバランス・イコライザーとも呼べる。
音楽信号を、メモリーに一旦バッファーしておいて、カーヴを対応させていく。
デジタル信号処理ならば、不可能ではないはず。
そう思いながらも、そのための勉強をしようとは思わなかった。
けれど、世の中には同じことを考えただけでなく、それを可能にする人(たち)がいる。