トーンコントロール(その12)
すべてのコントロールアンプ、プリメインアンプに触ってきたわけではない。
これまで登場したコントロールアンプ、プリメインアンプの数からすれば、
私が触って聴いてきたアンプは、ごく一部だし、
その中でトーンコントロールを持つアンプはどのくらいなのだろうか。
割合としては少なくなってきているが、
それでもすべてのアンプのトーンコントロールに触れて、音を聴いているわけではない。
ステレオサウンドにいたころ、
コントロールアンプの総テストで、
トーンコントロールを始めとする各機能の試聴を行ったことがある。
柳沢功力氏が試聴記を書かれている。
担当は私だった。
総テストで取り上げられたコントロールアンプのすべてがトーンコントロールを持っていたわけではない。
ついているアンプの方が少なかった、と記憶している。
トーンコントロールの利きぐあいを聴いていて、
このトーンコントロールはいい、
このトーンコントロールだけでもいいから欲しい、と思うことはなかった。
低音・高音の2バンドという基本的なトーンコントロールにしても、
その回路構成・方式はいくつもある。
同じ方式であっても、設定の仕方や使用部品によっても、
同じように作用し、同じ質のトーンコントロールになるわけではない。
このトーンコントロールの回路をどうしても知りたい、と思うことは、
その時は残念なことになかった。
アナログのトーンコントロールは、完成を迎えたのだろうか。
そんなことを218のトーンコントロールを触って、思っている。
そして、もうひとつ思っていることがある。
ULTRA DAC、218のトーンコントロールは、
このレベルに達して、やっとトーンコントロールがデザインされた、といえるのではないか、と。