Archive for category 真空管アンプ

Date: 5月 13th, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その8)

マランツのModel 9kがやって来て、改めて考えることがある。マランツの管球式パワーアンプ、Model 2、5、8Bとの違いについて、である。

これまでも写真や実機を見てきているし、回路図もそう。いくつかの記事も読んでいる。それでも、なぜなのか、と思う点はある。

Model 9にはフロントパネルがついている。このことは、誰でもすぐにわかる違いだ。

私が、なぜなのか、と主に思っている点は、
入力レベルコントロールが付いたこと、極性切替スイッチが付いたことだ。

Model 2、5、8Bには付いていない。それがModel 9にだけはある。何か必要性があって付けたのだろうか。
これといった答は浮かばない。

となるとフロントパネルを付けたからではないか、と思えてくる。
マランツの、この時代のデザインは基本的に左右対称であり、わずかに、そのバランスをくずしていることは、古くから岩崎先生、瀬川先生が指摘されている。

Model 9も基本的に左右対称のフロントパネルをもつ。だからこそだ、入力レベルコントロールのノブがなかったら、左右対称ではなくなってしまう。

フロントパネル下部左右両端の丸いノブ、これが片方だけだったり、ない姿を想像してみると、案外そうなのかも、と思えてくる。

Date: 5月 11th, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その7)

マランツのModel 9kがやって来たのをきっかけに、検索してみると、ここまで神格化されているのかと驚く。

Model 7をはじめマランツの管球式アンプは名器として扱われている。それは私がオーディオに興味をもった頃もそうだった。

それでも神格化されてはいなかった、とふり返って思う。

私のところにやって来たのは、キット版のModel 9kだから、オリジナルであるとか、初期のモデルだとか、部品がオリジナルとは違っているとか、
そういうところからは、ある程度離れたところにいる、といっていいだろう。

Model 9kは、オリジナルと比較すると、いかほどの価値もない、とオリジナルを所有している人の何割かは、そんなふうに思っているかもしれない。

Model 9は1960年に登場している。六十年以上が経っている。
きちんと鳴っていると思われている個体でも、いろんなところにガタがきていると考えた方がいい。

きちんとしたメンテナンスが必要であっても、オリジナルのModel 9を所有している人は、部品の調達だけでも大変なはず。

オリジナルであることに価値を見出している人は、本当に大変だと思う。
その点、私はかなり気楽なものだ。日本マランツの企画によって生まれたキットだけに、オリジナル通りにしなければならないというプレッシャーのようなものはない。

マランツの管球式アンプは、確かによく出来ている。でも神格化までするのはどうだろうか。
趣味のことだから、神格化するしないも個人自由といえなくもない。

それでも神格化してしまうということは、その人自身が信者となってしまうことでもある。

神格化した方が、オーディオを商売としている人にとっては楽につながる面もある。

マランツの管球式アンプは、筐体構造に欠点がないわけではない。こんなことを書くと、信者からは、おまえはマランツの凄さがわかっていない。
わかっていないから、Model 9kがやって来た──、そんなことを言われるかもしれないが、
神格化している人は、筐体構造に、何も疑問を持たないのか。

世の中に欠点のないモノが存在するだろうか。

私は、私のところにやって来たModel 9kでいくつかのことを試してみる。
幸いなことにModel 9はモノーラルアンプだから、まず片チャンネルだけに試して比較するということができる。

オリジナルという呪縛からは遠いところで、私はModel 9kに手を入れる。

Date: 5月 9th, 2026
Cate: 真空管アンプ

やって来たのはOTL2だった(その4)

別項「シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で)」でも書いているが、
BOSEの901をマッキントッシュのMC275で鳴らした音は、いまでももう一度聴きたいと思わせるほど、印象に残っている。

そういう音は他にもあった。もう一度、あの組合せの音を聴きたいと思っていても、十年、二十年、三十年……と経つと、
それほど聴きたいとはならなくなってくる。

過去に聴いた音は、聴き手の記憶のなかで美化されていくのも事実だが、色褪せてくるのも、また事実のようだ。

フッターマンのOTL2がやって来て、真っ先に鳴らしてみたい、その音を聴いてみたいと思ったのは、BOSEの901だった。

もちろんジャーマン・フィジックスも鳴らしてみたいし、タンノイのコーネッタも、どんな音で鳴ってくれるのか、楽しみなのだが、
それ以上に901との組合せは、どんなふうに鳴ってくれるのか、なかなか想像できないでいる。

BOSEはボストン、フッターマンはニューヨーク。どちらもアメリカ東海岸である。

OTL2の手入れはまだ始めていない。マランツのModel 9kに必要な部品を、いま集めているところなので、それからになる。

秋になったら、901との組合せが音を鳴らし始める(はずだ)。

Date: 5月 8th, 2026
Cate: 真空管アンプ

直熱三極管(その7)

いまから五十年前、私が「五味オーディオ教室」と出逢った1976年。そのころ、真空管アンプは本当に少なかった。

無線と実験、ラジオ技術、初歩のラジオには真空管アンプの製作記事が常に掲載されていても、既製品の真空管アンプは風前の灯に近かった。

そのことがあって、真空管アンプは自分で作るモノと思うようになっていった。

それがいまでは多くの真空管アンプが市場に出回っている。それぞれのアンプにそれぞれの謳い文句がある。
回路的なこと、使用部品のことなどが語られている。

使用部品で意外と語られないのがソケットについてである。
真空管アンプでソケットは、非常に重要な部品である。
どんなに優れた真空管を用いても、ソケットの品質が劣っていては、アンプの信頼性に関わる。

昭和のころは、いいソケットがけっこうあった。私のところにやって来たマランツのModel 9kも、ソケットはEBYが使われている。

Model 9k全てがEBYのソケットなわけではないようだ。Googleで画像検索してみると、明らかにEBYではないソケットの例もあった。

直熱三極管用のUXソケットだが、往年のアメリカ製のソケットは、かなり入手困難である。日本製と中国製のモノならば、今でも入手可能だ。

使ったことのないソケットについてあれこれ言うのは控えたいのだが、なぜ金メッキを施すのか、と思う。

Date: 4月 29th, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その6)

私のところにやって来たマランツのModel 9kが、いつ組み立てられたのかははっきりしないが、1978年から1979にかけてだろう。

ということは、もう五十年近く経っている。
古いアンプのメンテナンスでは部品の交換だけでは不十分で、ハンダ付けもすべてやり直す必要がある、ともいわれている。

古いハンダ付けの中には、光沢がとうの昔に失われていて、確かにやり直しが必要だな、と思わせる場合もある。
その一方で、1977年に打ち上げられたボイジャー1号は? と思う。

ボイジャー1号搭載の電子回路も、ハンダ付けによって作られているわけで、そのハンダ付けの箇所はアンプよりもずっと多いはずだろうし、
宇宙空間という地球とはまるで違う環境下に置かれている。

ハンダ付けの劣化は、どうなっているのだろうか。

Date: 4月 25th, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その5)

やって来たマランツのModel 9kは、フロントパネル左端下部にあるgainのツマミ(ノブ)が、二台ともなかった。

どうするか。eBayで、“Marantz knob”で検索してみた。けっこう数がヒットする。
Model 7のオリジナルというモノもあった。これを二つ購入しようかと思ったが、
写真を見る限り、シルバー仕上げである。

Model 9kだから、ことさらオリジナルであること、それに近いことを最優先で求めているわけではないが、
このツマミが写真通りだったら、フロントパネル右端下部のツマミと色合いが違ってくる。

それもなんとなくしまらない感じになってしまう。だからといって四つのツマミ全てを交換すると、結構な金額になってしまう。

ツマミがなくても動作に支障はないけれど、そのままにしておくわけにはいかない。

AliExpressに、近いツマミはないのかと検索してみたら、かなり近いモノが見つかった。直径も同じで、内部までしっかりとアルミ製。

eBayでヒットしたツマミの多くは、外側はアルミ製でも内側がプラスチックだったりする。それしかなければ仕方なく使うが、Model 9kにその手の、いわば上げ底的ツマミは使いたくない。

AliExpressで見つけたツマミは、写真通りのものならば、かなりいい感じのはず。それに安価(eBayで見つけたツマミの五分の一)。

出来の悪いモノだったら、eBayで注文することにして、これを四つ購入してみることにした。

先ほど届いた。直径も厚みもぴったり。ツマミがフロントパネルの色合いと違ってくるけど、これはこれで悪くない。

中国製のツマミをマランツのアンプに取り付けるなんて──、そういう人は、このツマミを見て、中国製だとわかるのか。

それにしても今回購入したツマミは、マランツに使われていたツマミのレプリカに思える。

Date: 4月 24th, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その4)

フッターマンのOTL2、マランツのModel 9kが立て続けにやって来て、私のところにはトランジスター式を含めてパワーアンプが七台になった。

コントロールアンプは二台。
パワーアンプと同数のコントロールアンプまでは欲していないけど、管球式コントロールアンプが一台あってもいいな、と思い始めてしまった。

Model 9kがあるからModel 7kとは思わない。今より二十若かったら、7kを手に入れて手を加えようと思うのだが、
いま7kを手に入れて、部品を集めて手を加えようとは、なかなかならない。

オリジナルのModel 7は高くなりすぎたし、プレシジョン・フィデリティのC4はいいかもしれないと思っているが、あまり売れなかったのか、中古店で見かけたことがない。

カウンターポイントだったら、SA5ではなくSA1がいいなぁ──、そんなことをあれこれ妄想しているだけでも楽しいのがオーディオなんだけれども、
現在としてどうにかするとなると、自作するのもいいかな、となる。

大がかりな管球式コントロールアンプじゃなくていい。部品点数も多くしたくない。
どのアンプの回路を元にしようか。

思いついたのが、デッカ・デコラのコントロールアンプである。
是枝重治氏が、ラジオ技術の2005年9月号でEL 34の三極管接続のパワーアンプの製作記事を発表されている。

デコラのパワーアンプである。記事には、デコラのコントロールアンプの回路図が載っている。

なんとなくなのだが、これが良さそうだ、と感じた。

Date: 4月 22nd, 2026
Cate: 真空管アンプ
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管球式OTLアンプのこと(その5)

それでは思い入れのある、愛着を感じている真空管でOTLアンプを作ることは無理なのか、といえば、そうでもない。

300Bを10パラレルのSEPP構成にすることで、出力インピーダンスは実用になる値にまで低くなるし、
出力も動作点をどのあたりに設定するかにもよるが、100W前後は得られる。

回路的には、300BのOTLアンプは可能である。
問題はアンプの規模だ。

10パラレルのSEPPだから、片チャンネルあたり20本の300B、両チャンネルで40本。
これだけの300Bを揃えるとなると、金額的にかなり高額になるし、特性を揃えた300Bとなると、さらに手間と費用もかさむ。

10パラレルのSEPPとなると電源部も大掛かりとなる。電源トランスは特注となり、相当に大型なのだから、これを支えるシャーシーも大きく丈夫なモノが必要となる。

ならば、こういう構成はどうだろうか。
10パラレルのSEPPではなく1ペア減らしての9パラレルのSEPPとする。

さらに三分割する。つまり3パラレルのSEPPのOTLアンプを三台(片チャンネル分)作り、
それぞれのアンプの出力を合成することで、実質9パラレルのSEPPアンプとなる。

3パラレルのSEPPアンプならば、モノーラル構成にすれば、300Bは一台あたり6本となり、電源部も電源トランスを特注することなく対応できる。
シャーシーも、それほど大型化するわけでもない。

その分、アンプの台数は増えるものの、実際にアンプを組むことを考えると三分割は、現実的な解決策だ。

300Bが20本(もしくは18本)分のアンプのシャーシーの大きさと重さを想像してほしい。
そのアンプを裏返ししたりする必要があるわけで、これは一人でできる作業の枠を超えている。

こんなことを考えたりするけれど、予算がもしあったとしても作るかと問われたら、38本の300Bが発する熱量を思うと、やらないと答える。

Date: 4月 22nd, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その3)

Model 9kに最初からついてくるEL34(6CA7)は、どこのメーカーなのか。
私のところにやって来たModel 9kにはRCAの、いわゆる太管が挿さっている。ほとんど使われていなかったようだ。

ステレオサウンド 49号の写真には、内部だけでなく部品一式のものもある。こちらも不鮮明なのだが、GEの太管の箱があるのがわかる。

画像検索して表示される9kではテレフンケンのことも多い。真空管だから、作った人が挿し替えていることもあるが、なんとなくではあるが、元々はGEかRCAの太管だったような気がする。

内部を見て、最初に感じる違いは、やはりコンデンサーである。
オリジナルの9は、よく知られるとおりGOOD-ALL製。9kで使われているのは、イギリスのPLESSEY製のフィルムコンデンサーで、品質はともかくとして、オリジナルのGOOD-ALLと比較して、とにかく細い。

そのため内部をパッと見た印象がややスカスカに感じてしまうし、なんとなく頼りない感じすら受ける。
音を聴けば印象は変るかもしれないが、代わりとなるコンデンサーも用意する。

こんなことをあれこれ考えているのが楽しい。

Date: 4月 22nd, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その2)

マランツのModel 9に関することは、以前からかなり知っているつもりだった。
それでもModel 9kがやって来て、底板を開けて内部を見ていくと、発見はいくつもある。

Model 7k、Model 9kのことは、ステレオサウンド 49号の記事で知った。内部の写真も載っているが、モノクロで小さく不鮮明なので、細部まではわかるような写真ではない。

そんな写真でも、Model 7やModel 9の内部を見る機会があった後に見れば、得られる情報は49号を最初に読んだからとはずいぶんと違ってくる。

それにいまはインターネットで画像検索がすぐにできる。オリジナルのModel 9、キットのModel 9k、レプリカのModel 9SEの内部をカラー画像で見ることができる。

そうするとずいぶんとそれそのモデルでも違いがあることがわかる。
オリジナルは相当に古いわけだから、多くの個体がメンテナンスがされているだろうし、9kにしても発売は1978年だから、これも古い。
それにキットだから、作る人によっては自分で部品を変更していることも十分ある。

今回9kの内部を画像検索してみると、けっこう違いがあるのがわかる。どういう理由で違うのかまでははっきりしないが、49号のぼんやりした写真と比較しても、違う。

私のところにやって来たModel 9kの作りは丁寧だ。オーディオメーカーのエンジニアの方が組み立てられたというのは、本当だな、と思える仕上がり。

このまま音を出しても問題なさそうな状態なのだが、まだ鳴らしていない。
残念なことにフェイズ切替とローカットフィルターのトグルスイッチが経年変化によって、壊れかけているからだ。

でも幸いなことに、Model 9kに使われているトグルスイッチは、いまも現行製品で、新品が手に入る。アメリカの会社だからなのだろうか。

iPhoneでModel 9kの実機の内部と画像検索の結果を比較できるし、使用部品も検索できて、注文までできる。

Date: 4月 21st, 2026
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプのバイアス調整のこと

フッターマンのOTL2、マランツのModel 9kが続けてやって来た。
フッターマンはOTLアンプ、Model 9kは出力トランスを持つという大きな違いがあるが、どちらも出力管のバイアス調整をユーザーが行う点では共通している。

昔からバイアス調整は、そう簡単ではない、といわれ続けている。最初はよくても、しばらくするとズレくるから、こまめなチェックと調整が必要になると。

確かにそういう面はあるけれど、昔から疑問なのは、バイアス調整用のポテンショメーターに、カーボン型を使うことだ。

固定抵抗もそうなのだが、カーボン抵抗の温度係数は概ね −200〜−800ppm/℃程度。他の抵抗体に比べて劣っている。
つまり真空管アンプのシャーシー内の温度が上昇していくと、抵抗値が変動する。
抵抗値が変動すれば、バイアスも当然ズレてくる。

それだけでなく、細かいことを指摘すれば均一性の欠如がある。カーボン皮膜は抵抗体全体が同じ温度特性を持つわけではないため、調整した位置(接点位置)によっても温度係数に微妙な違いが生じているとみていい。

レベルコントロールのように、常に音量設定をして頻繁に動かす使い方ではまだしも、バイアス調整は、いわば半固定的な使い方のため、接点位置による不均一性は、そのまま温度ドリフトとして現れると考えていいはずだ。

カーボン型ポテンショメーターをバイアス調整に使うことによって、バイアス調整を面倒なことにしている、と私は考えている。

カーボン型よりも導電性プラスチック型、さらには巻線型を使えば温度係数は小さいのだから、適している。

もっといえば同じ品種のポテンショメーターでもワット数が大きいほど温度係数も小さくなる。

Date: 4月 20th, 2026
Cate: 真空管アンプ

管球式OTLアンプのこと(その4)

別項で何度も触れているように、私が真空管アンプで、素直にカッコいいと感じたのは、
伊藤先生が無線と実験で発表されたシーメンスの直熱三極管Edの固定バイアスのプッシュプルアンプが初めてだった。

同時にEdにも一目惚れした。
それだけにEdには思い入れがたっぷりあったにもかかわらず、伊藤先生の、西日暮里にあった仕事場で聴くことが叶ったEdのシングルアンプの音には、がっかりした。

伊藤先生は、300Bのシングルアンプも聴かせてくれた。
度肝を抜かれた。そのくらいEdと300Bとでは、違っていた。

Edは美しい球なんだけど、音は……、と伊藤先生の言葉ははっきりいまでも憶えている。

それでもいつかはEdのアンプも作ってみたいな、と思っていたら、Edの価格の値上りのすごいこと。
すでに製造中止になっていたのだから、仕方ないとはいえ、音のことを思うと手が出なかった。
するとまた値は上がっていった。手が出せないほどに。

Edは美しい球だし、300Bは立派な球だと思う。

それからEL156は、カッティング用アンプに採用されていた真空管という記事を読んで、すごいなと興味を持ったし、
もっとポピュラーな球のEL34、EL84、KT88なども、それからラジオ球と呼ばれる真空管のいくつかも好きな真空管だ。

出力管だけで音が決まるわけではないものの、それでも管球式パワーアンプにおける出力管の存在は大きい。

私は真空管そのもののマニアではないから、珍しい真空管でアンプを作ってみようという気はない。
これまで聴く機会のあった管球式パワーアンプで気に入った音を出してくれたモノに搭載されていた出力管が気に入っている。

愛着を多少なりとも感じている真空管あるのかないのか。管球式OTLアンプには、そのことを感じないし、
6LF6をはじめ管球式OTLアンプに採用される出力管に、私は思い入れとか愛着は感じていない。

その音は気に入っているのだから、少なくとも6LF6には、少しばかり愛着を感じてもよさそうなのに……、と自分でも思うのだが、やっぱりない。

Date: 4月 17th, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その1)

昨晩は、アルテックのA4の調整に行っていた。18時すぎから始めて、音が鳴ったのは2時ごろだった(これについては別項で触れる)。
電車はとうに走っていない時間帯なので、車で自宅まで送ってもらった。
それだけでなくマランツのModel 9とともに送ってもらった。

なので少し前のフッターマンのOTL2に続いて、Model 9がやって来た。

話ではオリジナルではなく、レプリカだと思うということだったが、ACがインレットになっていないことに気づいた時点で、9Kなんだろうな、と思っていた。

朝方3時ごろに帰宅して、いくつかチェックすると、やはり9kだった。
9kは1978年に登場したキットであり、末尾のkは kit(キット)を表す。

これまでずっと9Kだと思っていたが、本体には9kと小文字だ。

このModel 9kは、あるオーディオメーカーのエンジニアの方が作られたモノらしい。まだ中を見てないので、どのレベルの人の手によるモノなのかは、まだなんともいえない。

オリジナルの9、キットの9k、レプリカの9。
評価が高いのは、もちろんオリジナルの9で、次がレプリカの9、9kの評価は良くない。

それでも私は全く気にしていない。どの個体を手に入れたとしても補修作業は行うわけだからだ。9kだから、むしろやり甲斐があるな、と私は思う方だ。

Date: 4月 16th, 2026
Cate: 真空管アンプ

管球式OTLアンプのこと(その3)

カウンターポイントの設計者といえばマイケル・エリオットを思い浮かべる人が大半だろうが、カウンターポイントのデビュー作SA1の設計者はエドワード・スマンコフで、彼が創業者でもある。

1982年から社長に就任したのがマイケル・エリオットで、SA5が彼のカウンターポイントでのデビュー作となる。

SA1とSA5の回路はずいぶん違う。見た目こそ同じだが、当然音も違う。
安定していたSA1の音は、もう一度聴きたいと思うほどだが、これがなかなか不安定なところのあるアンプだった。

SA5に、そんな不安定さはなかった。そのSA5は、あるメーカーのエンジニアが、SA5の設計は私だ、と主張していた。

カウンターポイントとほぼ同時代のミュージック・レファレンスのロジャー・モジェスキーがそう言っていると、
ミュージック・レファレンスの輸入元の人が教えてくれた。

確かにミュージック・レファレンスのコントロールアンプ、RM5とSA5の回路はよく似ている。

回路だけでアンプの音が決まるわけではないので、RM5とSA5の音が同じなわけではなかった。
仮に同じだったとしても、どちらをとるかといえばSA5である。

デザインの違いで、SA5を選ぶわけだが、そのデザインはカウンターポイントの創業者、エドワード・スマンコフからのものだ。

そしてパワーアンプのSA4も、ロジャー・モジェスキーによると彼の設計らしい。
とはいえミュージック・レファレンスから管球式OTLアンプは登場しなかったから、この話がどこまで本当のことなのかなんとも言えない。

本当だとしても製品としてまとめ上げたのはカウンターポイントなのだから、それに音を聴けばカウンターポイントのアンプの音であるから、
設計者がロジャー・モジェスキーであったしても、私はどちらでもいいぐらいに受け止めている。

Date: 4月 15th, 2026
Cate: 真空管アンプ

管球式OTLアンプのこと(その2)

OTLアンプとは、念のため書いておくとOutput Transformer Lessの略であり、出力トランスを省いたアンプのことだ。

真空管はトランジスターのように内部インピーダンスが低くないため、スピーカーの一般的なインピーダンス(16Ω、8Ωなど)に合わせるには、
インピーダンス整合のために出力トランスが不可欠な存在となる。

出力トランスに限らずトランスは、バンドパスフィルターでもある。そのためトランスの設計にはフィルター理論が重要ともいえる。

トランスにもメリット、デメリットがあって、トランスのデメリットを嫌う人も、オーディオの世界では多い。
管球式パワーアンプの出力トランスだけでなく、ラインレベルを扱うトランスすら、全て排除する(したい)と考えている人は、結構いる。

彼らは「トランスの音がする」という。
その気持は理解できるところもあるが、そういう彼らの中には、トランスが信号系に当たり前に使われていた時代の録音を絶賛したりもしている。

そういう録音からはトランスの音が聴き取れないのだろうか。

そんなツッコミをしたくなるのだが、管球式OTLアンプの動きは、フッターマン登場以前からあった、と聞いている。

実用化し製品化したのがフッターマンが最初であり、そのことでフッターマンがOTLアンプの、いわばオリジネーターと見做されている。

そのフッターマンのアンプは、OTLアンプではあるが、OCLアンプではない。
OCL(Output Condenser Less)ではないため、出力の最終段に直流カットのためのコンデンサーが介在する。

出力管に6LF6という共通点があるが、復刻フッターマンとカウンターポイントのSA4の違いが、ここにもある。
SA4は管球式OTLアンプとともにOCL回路でもある。