アナログプレーヤーのセッティングの実例と老い(その6)
ヤマハが、ウェブサイトで、
アナログプレーヤーのGT5000の低温時の使用上の注意を公開している。
タイトルが、長い。
「ターンテーブル『GT-5000』について低温時に規定の回転数に達しない、または規定の回転数に達するまで通常よりも時間が掛かる症状につきまして」
である。
GT5000の許容動作温度は10度から35度まで、とある。
つまり10度よりも低い温度で使用する人が少なからずいて、
そういう人がヤマハに苦情をいったのだろう。
そうでなければ、こういうことを公開するはずがない。
ヤマハも大変だな、と思った。
GT5000は安いアナログプレーヤーではない。
通常のモデルが660,000円(税込み)、
ピアノ仕上げが880,000円(税込み)である。
これだけのモノを買う人だから、
アナログディスク再生をきちんとやってきた人だ、とつい考えがちである。
でも、どうもそうではないようだ。
アナログディスク再生をずっとやってきて、どういうことなのかわかっている人ならば、
こんな使い方はしないからだ。
ヤマハがいうところの低温時は、10度を下回っている状態のはずだ。
そういう低い気温で、GT5000がきちんと動作したとしても、
だからといって、アナログディスク再生に適した状態ではない。
GT5000の回転数が規定に達しない、時間がかかる気温では、
アナログディスクそのものが、快適な気温よりも硬くなっている。
ディスクだけではない、カートリッジのダンパーも硬くなっている。
スピーカーのエッジ、ダンパーもそうである。
そういう状態で、なぜアナログディスクを再生しようとするのか。
理解できない。
やってはいけないことである。
ヤマハが公開している対策は、ごく当り前のことだし、
こんなことは常識だった。
なのにヤマハが低姿勢で《深くお詫び申し上げます》とある。
ヤマハが謝ることではない。
謝ってしまっては、それこそ誤りだ。