Archive for category 927Dst

Date: 12月 13th, 2008
Cate: 927Dst, BBCモニター, EMT, TSD15

BBCモニター考(余談)

トリオ(現ケンウッド)の会長だった中野英男氏の著書「音楽、オーディオ、人びと」の中に、
「秘蔵のBBC放送局専用のTSD15」なる言葉が出てくる。

このTSD15は「英国でしか手に入らず、佳き往時の香りを今に伝える名品として
識者の間で珍重されているカートリッジ」で、
「河村電気を経て我が国にもたらされるEMTは『今様に』改良された製品で、
F特と解像力には勝れるが、気品と底力では遠くこのモデルに及ばない」と書かれている。

ステレオサウンドにはいって、このことをきいてみた。BBC専用のTSD15のことを知っているひとは、いない。
先輩のTNさん(彼は瀬川先生から譲ってもらった927Dstを使っていた)と、この話で盛り上がったこともあった。

旧型シェルのTSD15のことかと思ったが、違うようにも思える。

サウンドボーイ編集長だったOさんも、プレーヤーは927Dstだ。
彼は、ウェスターン・エレクトリック、シーメンス、EMTなどについて詳しい。
そのOさんも、はじめて聞く話とのこと。
現会長の原田氏も、このころは927Dstだった。

結局、真相はわからずじまい。

Date: 10月 1st, 2008
Cate: 927Dst, EMT, 録音

80年の隔たり(その3)

ティボー/コルトーのCD復刻を、
メタル原盤から行なったのはキース・ハードウィック(Keith Hardwick) で、
当時のレコード芸術誌に関連記事が載っていた。

使用器材で目を引くのは、EMTの927だ。DstではなくAstのようで、
カートリッジはEMT製ではなく、
スタントンなどのMM型をメタル原盤にあわせて使いわけていたと記憶している。
MM型カートリッジの採用は、針先の交換が容易に行なえることがメリットとして、である。

ステレオサウンドの姉妹誌HiViが、DAT登場の時、面白い企画ができないかと、
927Dstの音をDATで録音して再生して比較するという記事をやっている。
927Dstの出力をA/D変換してDATに収録して、それをさらにD/A変換して再生しても、
927Dstの音ははっきりと聴きとれる。
もちろん個々のDATによって、多少の差はあるが、
927Dstの音を聴いたことのある人ならば、驚かれるだろう。

当然、ティボー/コルトーの復刻CDから聴ける音にも同じことは言えるはずだ。