「のだめカンタービレ」の主人公の野田恵は、実在のピアニストで言うならば、
誰に近いのだろうか、とは、読んだ方ならば、いちどは思うだろう。
どんな音を、ピアノから抽き出すか、も空想してしまう。
そんな空想をもっと楽しませてくれそうなピアノが、
ベーゼンドルファーから7月7日に発表された “Audi Design Grand” である。
名称が示すように、自動車メーカーのアウディによるベーゼンドルファーのスペシャルモデルである。
ベーゼンドルファーのサイトに行くと、”Designed Models” というページがある。
アウディのを含め、12モデルについて、アクセスできるようになっている。
そのなかでも、”Audi Design Grand” は、とびぬけて素晴らしい。
なぜアウディなのか、といえば、アウディの地元インゴルシュタットで、
2001年から開催されているジャズコンサートを行なっている縁、ということ、
すでに270回ものコンサートが行なわれ、参加したジャズ・ピアニストの多くが、
ベーゼンドルファーのピアノを好んで演奏したからだそうだ。
どうもジャズのためにつくられたスペシャルモデルのようなのだが、
こんな素敵なピアノを、ジャズ・ピアニストだけに独占させるなんて、もったいない。
写真を見てもらえればわかるが、低音弦側の脚は、面で構成されている。
ここも響板になっているとみるべきだろう。
高音弦側の脚は、対照的な素材と印象を与える、金属によるフレームからなる。
モダーンという表現が、ここまでしっくりくるピアノは、これがはじめてであろう。
このピアノを見ていると、私の中の妄想アクセラレーターが、自動的にonになる。
この “Audi Designed Grand” をのだめが弾いたら……、と想ってしまう。
Audiのサイトにも、このピアノのページが設けられていて、
プレスキット(約40MB)がダウンロードできる。
その資料に、詳細が書かれているし、写真も数多く添付されている。
このピアノで録音されたディスクは、いつ出てくるのだろうか。