黒田恭一氏のこと(その14)
アクースタットのモデル3で聴く「スーパー・ギター・トリオ」のレコードは、すさまじかった。
黒田先生が、「このレコードを」と言われた理由が、見事に音になってあらわれていた。
「ギターの音が弾丸のごとく」と黒田先生の発言にあるように、飛び交っていた。
なんてすごいスピーカーだろうと思い、なんてすごいレコード、ということ以上に、
なんてすごいギターの名手たちだろう、と思った。
この「一度のめりこんでしまうと自閉症になって」しまいそうなスピーカーを、
黒田先生は、JBLの4343の後釜として導入される。
そして一緒に試聴に参加していたステレオサウンドの原田勲編集長(当時)も、
ヴァイタヴォックスのCN191を追いだし、アクースタットを導入されたのだから、
サウンドコニサーの取材・試聴に参加した者に、アクースタットのモデル3は、強烈な印象をのこした。
試聴後、みな、静かな興奮状態にあった。