Archive for category 電源

Date: 10月 22nd, 2024
Cate: 電源

ACアダプターという電源(GaN採用のアダプター・その5)

窒化ガリウムのACアダプターについて、音が悪いと否定的な人もいる。
その人たちが間違っているとは言わないが、
その人たちは、どんな窒化ガリウム(GaN)のACアダプターを、
どう使って、どのくらい使っての、そういう評価なのか、という疑問は残る。

今回、野口晴哉氏のウェスターン・エレクトリックの594A用として選択したのは、
私がroon rock用に使っているモノの出力電圧違いのモノ。

これよりももっといいモノがあるかも知れないが、
だからといってGaNのACアダプターを手当り次第試すわけはいかない。
少なくとも、今回使ったモノは、悪くはないという感触は得ている。

GaNのACアダプターは、594Aに接いだばかりの音は、
悪い評価をしている人たちが指摘するところがある。
そのことは自分で使っているから、最初からわかっていたことで、
しばらく使っていくことで、かなり収まっていくことも体験していた。

今回、594Aの電源として使って、
ノイズ対策を施し、さらにアンカーのポータブル電源と組み合わせることで、
かなりのポテンシャルがあることを、再確認できた。

この組合せによる電源のクォリティがひどいものだったら、
日曜日(10月20日)、多くの人が594Aの音に聴き入ることはなかったはず。
そのことだけは、はっきりといえる。

Date: 10月 20th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その25)

今日(10月20日)は、野口晴哉音楽室 中秋会。
ウェスターン・エレクトリックの594Aを中心としたシステムで鳴らしている。

594Aの電源は、すでに書いている通り、
窒化ガリウムのスイッチング電源を使っている。

重厚長大の594Aに軽薄短小といえるスイチッング電源の組合せ。
ノイズ対策をいくつか施しての音は、なかなかのものだ。

そして今回は、アンカーのポータブル電源の521も組み合わせている。
Powerhouse 90では容量が足りないため、長時間の使用は無理。
その点、521は余裕がある。

しかも充電しながらの使用も可能。
とはいえ充電用のACアダプターを外すと、音は少なからず変化する。

とにかく今日の音は、アンカーの521あっての音ともいえる。

これを読んで、アンカーの521と窒化ガリウムのスイチッング電源を組み合わせてみようと、
思う人もいるかもしれない。

ノイズ対策を自分できちんとやれる人ならば、試してみてほしい。

Date: 10月 13th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(番外)

アメリカ・ビクターの蓄音器、ビクトローラ・クレデンザは、
手巻きゼンマイ型と電動モーター、二つのタイプがある。

どちらのクレデンザを選ぶか。
いまならば手巻きの方だが、ずっと以前ならば、
SP盤をかけるたびにゼンマイを巻くのが億劫という理由で、
電動モーターのクレデンザを選んだ人もけっこういたと思う。

クレデンザに搭載されているモーターは、
二極インダクション型で、
2.00 AMPERES 105 TO 120 VOLTSという表記がある。
電源周波数は40Hzから60Hzまで、となっている。

この時代のモーターの寿命がどの程度なのかは知らないが、
トルクが不足するようになった──、
そんな話を聞いていたので、今日、その方のところに、
試しで、アンカーのPowerHouse 90を持ち込んでみた。

カタログスペック的には容量不足になるが、
60Hzがうまく効くかもしれないし、なんとか使えるかもしれない。
まずは試してみて、そこでの結果から次の検討ができる。

結果は、うまく使えた。
容量的にはダメかな、と思いもしたが、やってみるものである。
ただしバッテリーの減りは早い。
電動モーターのクレデンザの消費電力は、けっこう大きい。

音も変った。いい方向へと変った。

Date: 10月 12th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その24)

前回、アンカーの521 Portable Power Station (PowerHouse 256Wh)を聴いてきた、
と書いたが、スピーカーでもアンプでもない製品だけに、
その音を聴いたというよりも、その効果(変化)を聴いてきた。

521のサイズは、あらかじめチェックしていたが、
実物は幾分小さく見える。いいことだ。

バッテリーからAC電源を作り出す製品は、他にもあるし、
オーディオ専用と謳っている、かなり高価で大型のモノもある。

そういう製品からすると、アンカーの521は小さく軽いし、安価であり、
もうそれだけでオーディオに使えるシロモノじゃない──、
そんな判断もされるだろう。

それでも音だけは聴いてみるしかない。
聴いたうえで、あれこれいうのはかまわないが、
価格や大きさ、重さ、それにブランドだけで判断して聴かずじまいで、
あれこれ言ったところで何も始まらない。

今回はメリディアンのDSP3200を中心としたシステムで聴いた。
聴きながら、この音は、来年のaudio wednesdayで聴いてもらいたい、
そう思っていた。

Date: 10月 8th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その23)

五年前に、ホンダからLiB-AID E500 for Musicが発表された。

リチウムイオンバッテリーを搭載したポータブル電源で、
AC 100Vをオーディオ機器に供給するというモノ。

関心を持った人もけっこういたと思う。
私もそうだったけれど、三十万円近い価格に、
二百台という限定発売ということで、関心を持つだけで終ってしまった。

実際のところ、どうだったのだろうか。

同種のポータブル電源は、いまではけっこうな数が市場に出ている。
この項で取り上げているアンカーのPowerHouse 90も、
そういう製品の一つである。

アンカーからも同種の製品はいくつかある。
今日、あるところでアンカーの521 Portable Power Station (PowerHouse 256Wh)を聴いてきた。

PowerHouse 256Whとついていることからもわかるように、
PowerHouse 90の上級機だ。
といってもそれほど高価ではなく、三万円もしない。

PowerHouse 90ではパワーアンプへの供給は無理があるが、
PowerHouse 256Whならば、出力(消費電力)次第では、
パワーアンプでも使えたりする。

アクティヴ型スピーカーシステム搭載のパワーアンプは、
放熱の関係とあって、アイドリング電流をたっぷり流すモノはほぼない。
ならばPowerHouse 256Whでアクティヴ型スピーカーへの電源の供給は可能だし、
60Hzにもなる。効果は期待できる。

Date: 6月 10th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その22)

その5)と別項「電源に関する疑問(バッテリーについて・その2)」で書いていること。

乾電池、充電式バッテリーを含め、
電池の類は残量と音に関係性があって、
どうも残り少なくなってきてからのほうが好結果が得られる、という感触を持っている。

5月のaudio wednesdayでも、
6月のaudio wednesdayでも、
残量がかなり減ったところでかけた曲の鳴り方は見事、というか凄かった。

5月の時は、カザルスとゼルキンによるベートーヴェンのチェロ・ソナタ、
6月の時は、フルトヴェングラーによるブラームスの交響曲第一番、
どちらも残量はわずかだった。

Date: 6月 7th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その21)

6月5日のaudio wednesdayでは、(その20)で書いているとおり、
メリディアンのULTRA DACの電源は、
アンカーのモバイルバッテリー、PowerHouse 90から供給した。

正確に時間を計ったわけではないが、四時間ほどは大丈夫だった。
フルトヴェングラーのブラームスのときは、PowerHouse 90を使っている。

ULTRA DACのほかに、roonのNucleusにも使っている。
PowerHouse 90が二台あったからだ。

消費電力はNucleusのほうが大きいようである。
Nucleusに使ったPowerHouse 90は、本番が始まる四十分ほど前に、
いったん外して充電を行っている。
ULTRA DACで使っていたモノよりも早く、残量表示のLEDが減っていった。

PowerHouse 90は、どちらとも前日にフル充電している。
とはいえ、PowerHouse 90はどうもロットによって多少違いがあるように感じる。
なので、どちらの消費電力が大きいとか、はっきりしたところまではいえない。

もし三台揃っていたら、スイッチングハブにも使っていた。

とにかくPowerHouse 90でULTRA DACが四時間ほど使えるというのは、
十分実用になる、といえる。

PowerHouse 90ではなく、もっと大容量のバッテリー電源を使えば──、
とは私も思っているが、静かで持ち歩けて、というPowerHouse 90はなかなか魅力的だ。

実際に比較試聴してみないとなんともいえないのだが、
バッテリーの容量が大きくなり、それに伴いサイズも大きくなることは、
音質的にほんとうに有利に働くのだろうか。
そんな疑問もある。

実際のところ、どうなんだろうか。

Date: 5月 29th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その20)

メリディアンの218に最初に使った。
次は、サウンドラボのコンデンサー型スピーカーに使ってみた。
そしてマランツのModel 7にも、
アンカーのモバイルバッテリー、PowerHouse 90を使った。

いずれも好結果が得られた。
ならば次に試したいのは、6月5日のaudio wednesdayでのメリディアンのULTRA DACだ。

ULTRA DACのリアパネルには、“40W max”とある。
たぶん使えるはずである。

どれだけの時間使えるのかは、なんともいえないので、
まず開始前にどういう変化が得られるのかを確認したうえで、
三時間すべてPowerHouse 90を使うのではなく、残り一時間ほどで使ってみたい。

Date: 5月 27th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その19)

昨晩の野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会では、
マランツのModel 7の電源はアンカーのモバイルバッテリー、PowerHouse 90から供給した。

PowerHouse 90についている残量計はあまり当てにならないという意見もあるが、
とりあえず信用することにして、一時間半の使用ではまったく問題なく、
おそらく倍の三時間は余裕で使えそうな感じを受けた。

それでも、このへんのことは実証してみないとなんともいえないが、
Model 7の消費電力が35Wだとすれば、実用になる容量といえる。

壁のコンセントからの供給とどれだけ音が違ってくるのか。
ケース・バイ・ケースとしかいいようがない。

50Hzの地区か60Hzの地区かでも違ってくるし、
電源ラインに混入してくるノイズの量によっても違いは生じる。

それでもPowerHouse 90は高価なモノではないし、
あまり音質に寄与しないという結果になったとしても、
オーディオとは関係ないところではきちんと使えるのだから、
まずは使ってみたら、といいたい。

私の周りでは二人が購入。二人とも満足している、とのこと。

Date: 5月 25th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その18)

明日(5月26日)の野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会でも、
アンカーのモバイルバッテリー、PowerHouse 90を、
マランツのModel 7に使ってみようと考えている。

いうまでもなくModel 7はアメリカのアンプだから、
50Hzではなく60Hzにしたいし、電源電圧も100Vではなく110Vにしたい。

Model 7の消費電力は35Wとなっている。
PowerHouse 90で、どのくらいの時間持つのか、
音はどう変化するのか、試してみないことにはなにもいえないが、
明日の楽しみの一つである。

Date: 5月 6th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その17)

5月1日のaudio wednesdayでも、
アンカーのモバイルバッテリーのPowerHouse 90を使っている。

メリディアンのD/Aコンバーター、218の電源をPowerHouse 90をとった。
消費電力が5Wと小さいため、PowerHouse 90の容量でも十分実用になる。
しかもどちらも小さく軽いので、
audio wednesdayの音出しのための持ち運びが楽というのも、
私にとっては、大きなメリットである。

システムのどこかをAC電源から完全に独立させることは、音質向上に大きく寄与する。
いまでは容量がかなり大きなモバイルバッテリーがあるから、
218のように消費電力が小さいモデルを選ばなくても、問題ない。

モバイルバッテリーを使わずとも絶縁トランスを使えば──、という人もいるが、
ストレーキャパシティが存在する限り、完全な分離は無理である。

このあたりのことは富田嘉和氏が、
ラジオ技術にかなり詳しい記事を連載されていたので、そちらも参考にしていただきたい。

5月のaudio wednesdayの音は、PowerHouse 90を使っていなければ、
ずいぶん違う結果になっていただろう。

Date: 3月 8th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その16)

3月6日のaudio wednesdayでは、
アンカーのモバイルバッテリーのPowerHouse 90が二台揃った。

一台は私の、もう一台は常連のHさんが持ち込まれたモノ。
私のPowerHouse 90は、前回と同じく、サウンドラボのスピーカーへの電源供給。

サウンドラボのコンデンサー型スピーカーの消費電力は2Wと発表されている。
もしかするともう少し大きいのかもしれない──、
と思っていたけれど、輸入元のクリストファーさんによると、やはり2Wとのこと。
実測中の写真も見せてもらった。たしかに2Wである。

ということは二台で4W。20W以下の消費電力ということで、
自動的に十五分ほどで電源が落ちるはずなのに、今回も問題なく最後まで、
約五時間ほど使えたし、残量も前回とほぼ同じだった。

HさんのPowerHouse 90もサウンドラボに接いでみればよかったのだが、
当日は、ちょっとばかりいろいろやっていて、その時間を確保できなかった。

HさんのPowerHouse 90は、会の最後のほうで、ハブ用に使った。
この効果はかなり大きかったと感じている。

昨日の「audio wednesday (next decade) – 第二夜を終えて」で書いている、
カザルスのバッハの素晴らしさは、このことも大きく関係しているように感じている。

Date: 3月 5th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その15)

アンカーのモバイルバッテリーのPowerHouse 90を購入された方からの報告があった。
フォノイコライザーに使用したところ、十五分ほどで電源が落ちてしまう、とのこと。

アンカーに問い合せたところ、20W以下の消費電力の機器への供給の場合、
自動的に落ちてしまう設計になっている、とのこと。

先月、サウンドラボのスピーカーを鳴らしたとき、ずっと使用できていた。
どういうことなのだろうか。

私が購入したPowerHouse 90に、その機能が搭載されていないのか、
それともサウンドラボのスピーカーの消費電力が一台あたり10Wを超えていて、
二台で20Wを超える消費電力になっていたのか。

いまのところ、どちらなのかははっきりしない。
明日、そのPowerHouse 90を持ち込まれるので、実際どうなのかを検証できる。

Date: 2月 28th, 2024
Cate: 電源

ACアダプターという電源(その5)

スイッチング電源で試してみたいことの一つが、CR方法である。
CR方法については別項で書いているので省略するが、
リニア電源の電源トランスでは、すでにその効果を確認している。

スイッチング電源にもトランスはある。
リニア電源の周波数、50Hz、60Hzよりもずっと高いためかなり小型のトランスなのだが。
巻線の直流抵抗は、リニア電源の大型のトランスよりもずっと低い。

だからどの程度の効果が得られるのか、なんともいえないが、
音がまったく変化しないということはないはずだ。

Date: 2月 24th, 2024
Cate: 電源

ACアダプターという電源(その4)

NUC用のDC19Vの電源を自作してみるのはおもしろいと思いながら、
どんな回路構成にするのか、あれこれ考えているところなのだが、
いまのこの時が、実はいちばん楽しかったりする。

リニア電源といっても、シリーズ型にするのかシャント型するのか。

NUC付属のACアダプターは、19V/4.74A仕様。
同容量の電源をシャント型で作るとなると、発熱量がけっこう大きくなる。
となるとシリーズ型なのか。
でも心情的にはシャント型でやってみたい──、
そんなことを考えているところだ。

実際に作るのかどうか、本人も疑っている。
それでも自作する場合に備えて、一つの基準となる電源が欲しい。

付属のACアダプターを基準(リファレンス)としてもいいのだけれど、
なんとなくスイッチング電源であっても、GaN採用のモノにしたい。

19V/5A以上で、GaN採用のACアダプターは、それほど多くない。
それでも選択肢はいくつかある。
どれにするか。

容量的にも一つの基準として捉えたいので、
付属のアダプターよりも大きいモノにしたい。

さきほど注文したところ。
19V/6.3A仕様である。

付属のアダプターとどれぐらい音が違ってくるのか。
可能性の大きさを感じられれば、積極的に手を加えてみたい。