Archive for category 電源

Date: 3月 29th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その7)

DC5Vの出力のモバイルバッテリーが手元に三つあるわけだが、
低電流モードに対応しているのは一つだけだから、そればかり使っている。

残り二つのうち一つは、auの長期利用者ということで、
十年ほど前に貰ったものだ。

もう一つが、低電流モード対応の製品の二日前に買っている。
これを無駄にしておくのはもったいない、と考えていたら、思いついたことがある。

モバイルバッテリーは充電しなければならない。
これまではiPhone用のアダプターを使って充電していた。
つまりAC電源をスイッチング電源でDC 5Vにしての充電である。

バッテリーとは化学反応だ。
充電する電源の質(ノイズの多い少ない)によって、なんらかの影響を受けるのか。

なので試してみた。
低電流モード非対応のバッテリーから低電流モード対応のバッテリーに充電した。
モバイルバッテリーからモバイルバッテリーへの充電である。

非対応のバッテリーのほうが容量が小さいため、
低電流モード対応のバッテリーをフル充電するには、
非対応のバッテリーを、ACアダプターで二回充電しなければならなかった。

それにせっかくだから、低電流モード対応機バッテリーも、
できるかぎり使い切って充電にしたかったので、試すにもけっこうな時間がかかる。

試みようと思って実際に音が聴けるようになるまで、一日半ほどかかった。
そういう事情があってのことだから、
比較試聴というには、あいだが開きすぎている。

厳密な比較試聴とはとうていいえないのだが、
音は変ったように聴こえたのかといえば、けっこう変ったように感じた。

追試をするにも、また時間がかかる。
バッテリーへの充電はバッテリーから、と断言はしないが、
モバイルバッテリーを複数持っている人ならば、試してみてもいいのではないだろうか。

Date: 3月 13th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その6)

低電流モードで使用していて気づくのは、
ディスクを数枚再生していると、やはり電源が切れてしまう、ということだ。

低電流モードに対応しているアンカーのモバイルバッテリーが到着して、
あれこれ試していて、このことがまず起った。

たまたまなのかな、と思っていたが、今日やはりディスク数枚、
時間にすると三時間くらい経過すると、同じように電源が切れてしまう。

私が使用しているアクセサリーの消費電力がかなり小さいためなのだろう。
聴いている最中に電源が切れてしまう。

ディスクをかけかえるごとに、バッテリーのスイッチをクリックすれば、
おそらく途中で電源が切れてしまうことは起きないだろうし、
あとはダミー負荷を使う、という手がある。

低電流モードで使うのがいいのか、
ダミー負荷を使って通常モードで使うのがいいのか、
バッテリーにすれば、電源に関するもろもろのことから解放されるかなぁ、
という期待があったけれど、そううまくはいかないようである。

Date: 3月 12th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その5)

電源に関する疑問(バッテリーについて・その2)」でも書いているように、
電池の類は、私の経験、それから古くからの友人のKさんの経験でも、
残り香少なくなってきたほうが音がいい。

ということは、いま試してモバイルバッテリーに関しても同じことは当てはまるであろう。
とはいえ、消費電力がわずかなものに使っているのと、
そこそこ容量のあるバッテリーを容易したことで、
バッテリーの残量が半分以下になるまで試していない。

なのでバッテリーの残量と音の関係については、これから検証していくことになる。
残量が少なくなったほうが音がいい、という結果になると、
面倒だな、と思うところがある。

常にある程度減った状態を維持するのは面倒だからだ。
この残量と関係してくるであろうことは、
バッテリーの容量である。

今回は大容量とまではいえないものの中容量のバッテリーである。
余裕があったほうがいい……、というのは、
商用電源を使ってのことであって、バッテリーの場合はどうなのだろうか。

このあたりも検証していく必要はあるのだが、
そこまでしていくとなると、自分で納得のいく電源を作った方がいいような気がしてくる。

それにバッテリーの数がふえていくのだから、ほどほどのところでやめておくつもりだ。

Date: 3月 12th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その4)

商用電源ではなく電池を使う、ということは、
オーディオの世界ではかなり前から行われてきている。

金田式アンプの金田明彦氏も、乾電池とスイッチング電源を組み合わせて、
かなり早い時期から試みられていたし、
私がオーディオに興味を持ち始めたころは、
ドイツのゾンネシャインのバッテリーがいい音がする、といわれてもいた。

最近では太陽電池と白熱電球を組み合わせて、
オーディオに使用する人も出てきている。
メーカー製でも、LEDと太陽電池の組合せを、ヘッドアンプの電源に採用した例がある。

その音を聴いたことはある。
おもしろいとは感じたが、どうしても大がかりとなってしまう。

この点が218に関係してくるアクセサリーに使用したいとは思わせない。

電池という電源を徹底的に追求されている人からすれば、
スマートフォン用のモバイルバッテリーを、オーディオに使うなど不徹底すぎる──、
そういわれそうだし、
ホンダがLiB-AID E500 for Musicを出してきたように、
どこかのメーカーが今後、オーディオ用モバイルバッテリーを出してくるかもしれない。

でも、いまは使えそうなモノを選んで実験したい。
スマートフォン用のモバイルバッテリーが、大きさといい、価格といい、
218に関係してくるアクセサリーに使うにはちょうどいい感じなのだから。

Date: 3月 11th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その3)

電源は電池が理想である──、
とはなかなか断言できない面がある。

商用電源は、いま非常に汚れている、といっていい。
これから先よくなることはまず考えられない。
ますます汚れはひどくなる一方であろう。

だからこそ電池と考える。
商用電源から電池にかえて、電源にまいわるすべての問題が解消するのであれば、
電池にすぐにでも飛びつくところだ。

いまDC5Vの出力のモバイルバッテリーが手元に三つある。
どれも音が違う。

理想の電源であれば、音が違ってくるはずがないわけだが、
現実はそうではないことは、音を聴けばわかる。

理想ではないけれど、理想に近い──、
そう思い込めたら、どんなに楽か。

音を聴くと、いいところもあるしそうでないところもある、としかいいようがない。

モバイルバッテリーの内部には、バッテリーだけがおさめられているわけではない。
出力を監視している電子回路も入っているからこそ、
低電流負荷ではすぐに切れてしまう製品もあるわけだし、
低電流モードで動作する製品もあるわけだ。

具体的にどんな働きをしているのかまでは調べていない。
どんなデメリットがあるのかも知らないが、
モバイルバッテリーからのコードをフェライトコアに巻いてみる。

ここでもいくつか試してみた。
そんなことを、同じディスクの同じ箇所を何度もリピートして聴いていた。

このあたりかな、というところに、いまのところ落ち着いた。
それでも商用電源(外付け電源)を使わなくなるわけではない。

Date: 3月 11th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その2)

(その1)にfacebookで、二人の方からコメントがあった。

モバイルバッテリーを、スマートフォンの充電以外に使いたい人はいるわけで、
そういう人たちは、私と同じことになるわけで、
そういう人たちのためなのかどうかはわからないが、
モバイルバッテリーのなかには低電流モードに対応している製品がいくつかある。

コメントには、それらのモバイルバッテリーへのリンクがはってあった。
さらにモバイルバッテリー用のダミー負荷があることも、コメントにあった。

私が昨晩試したiPhoneを接続したのもダミー負荷である。
充電が完了すると、iPhoneはダミー負荷として機能しなくなる。
正確にいえば、充電が80%になったらiPhoneはダミー負荷として使えない。

なので最初に試したモバイルバッテリーを、
ダミー負荷として使ってみた。

もちろん使える。
当然予測できたことだが、ダミー負荷に何を使うかで、微妙とはいいがたい音の差が生じる。

それに二口あるUSB端子のどちらに接ぐかによっても音は違ってくる。
そしてこれも予想できたことなのだが、
最初に試した小型のモノと昨晩試した中型のモノとでは、音は違う。

今日、低電流モードに対応しているモバイルバッテリーが届いた。
ダミー負荷を必要とせずに問題なく使える。
アンカーのモバイルバッテリーである。

どのモバイルバッテリーが音がよいのかをすべて試していく気はない。
いまのところアンカーのモノでいろいろやっていく予定である。

これらのことは、4月1日のaudio wednesdayでやる予定でいる。

Date: 3月 10th, 2020
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その1)

D/Dコンバーターもそうだが、DC5Vで動作するアクセサリーが増えてきている。
USBのバスパワーで動作するモノ、5Vの外付け電源を使うモノがある。

5Vの外付け電源ならば、モバイルバッテリーがそのまま使えるはず。
手元に小さなモバイルバッテリーがある。
一応フル充電して試してみる。

あるアクセサリーに使ってみた。
専用の電源がついている。
オーディオ用と謳っている電源である。

モバイルバッテリーに交換すると、音ははっきりと変る。
いい感じである。

けれど一分ほどで電源が落ちてしまう。
バッテリーにあるボタンを押す。
するとまた動作する。
でも、やはり一分程度で、また落ちる。

音がいいだけに、なんとかしたい。
それにしても、なぜそうなるのか。

モバイルバッテリーはスマートフォンの充電用である。
今回試したアクセサリー用ではないし、消費電力も違う。

そのためなのか。
それとも、試したモバイルバッテリー特有の現象なのか。
検証のために、比較的大容量のモバイルバッテリーを買ってきた。

サイズ的には、試したモノよりもかなり大きい。容量も大きい。
どうだったかというと、やはり一分、というか、もっと短い時間で落ちる。

アクセサリーの消費電力が少ないのか。
今回購入したモバイルバッテリーには、出力のUSB端子が二つある。

試しに空いている端子にiPhoneを接続する。
iPhoneを充電しながら、アクセサリーにも給電している状態にした。

こうすれば安定して使える。
電源が落ちることなく使える。

Date: 2月 24th, 2020
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その8)

イギリスのCHORDは、スイッチング電源に最も友意欲的・積極的なメーカーである。
CHORDのD/Aコンバーターやコントロールアンプといった、
消費電力の少ない製品に関しては、90Vから250Vまで対応している。

消費電力の大きいパワーアンプではどうかというと、各国の電源事情にあわせている。
日本の輸入元タイムロードのウェブサイトには100Vのみが記載されている。

本国のCHORDのサイトでは、D/Aコンバーター、コントロールアンプなどでは、
90v AC-250v AC auto switchingとある。

パワーアンプのところには、電源電圧に関する項目がない。
スイッチング電源の専門メーカーともいえるCHORDだから、
パワーアンプにおいては、auto switchingでは電源電圧の低い国では、
音質的に不利になることを理解しているのだろう。

ジェフ・ロゥランドも、スイッチング電源を採用している。
プリメインアンプのDaemonのリアパネルをみると、85-265 VACとある。

パワーアンプのリアパネルには、スイッチング電源であっても100Vとあったりする。

このあたり、ジェフ・ロゥランドが、
スイッチング電源と電源電圧の関係による音の変化をどう考えているのか知りたいところだ。

スイッチング電源を搭載しているオーディオ機器は何も使っていない──、
そういう人もいる。
そういう人でも、パソコンを使って再生しているのであれば、
そのパソコンに使われている電源は、メーカー製であるならばスイッチング電源である。

ノート型で、音楽再生時にはバッテリー駆動しているというのであればいいが、
AC電源を使う場合、電源電圧は高いほど有利になるのは同じだ。

Date: 2月 24th, 2020
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その7)

メーカーは100Vの電源電圧であっても、
十分な容量のコンデンサーを搭載している、というはずだ。

けれど、このことは240Vで使用すれば、
コンデンサーの容量にかなりの余裕がある、ということになる。

平滑後のスイッチング電源でリップルは抑えている、と、またメーカーはいうだろう。
たしかにそうだろうが、それでも音は変らない、といえるだろうか。

でも、それは整流・平滑のあとに定電圧回路を入れているから、
電源トランス、ダイオード、コンデンサーなどによって音は変らない、というのと同じことだ。

スイッチング電源では、入力される電源電圧によって音は変化しない──、
そうであってほしい、といちばん願っているのはオーディオマニアなのかもしれないが、
現実には音は変ってくる。

音が変る──、ということで喜ぶオーディオマニアも意外に多いのかもしれないが、
私は変ってほしくない、と思う側だ。

でも変る以上はなんとかする必要がある。

自分で設計し自作するのであれば、
スイッチング電源の場合、最初から100Vに限定しておくのがいい。

けれどメーカー製の場合はそうはいかない。
メリディアンの218も、平滑コンデンサーの耐圧は450Vとなっている。
100Vに限定すれば、耐圧は半分以下におとせる。

そして、その分、同サイズのコンデンサーならば容量は増える。
218(version 10)とは、このコンデンサーの交換のことである。

でも別項「218はWONDER DACをめざす」で書いているように、
部品の交換はやらないと決めている。

ならばどうするか。
電源電圧を昇圧するわけだ。

Date: 2月 24th, 2020
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その6)

スイッチング電源では、平滑コンデンサーにかかる電圧は、入力される電源電圧によって違ってくる。
100Vと200Vとでは、平滑コンデンサーにかかる電圧がそれだけ違ってくる。

つまりスイッチング電源で、100Vから200V(もしくは240V)まで対応するには、
高い電圧のほうに、コンデンサーの耐圧をあわせることになる。

交流を整流し平滑して直流にする。
けれどこれだけで完全な直流になるわけではなく、
リップルという小さな波が残ってしまう。

リップルが小さければ小さいほどいいわけで、
コンデンサーの容量は、このリップルと密接に関係してくる。
簡単にいってしまえば、コンデンサーの容量が大きいほどリップルは小さくなっていく。

けれどコンデンサーには耐圧という制約がある。
耐圧が高いコンデンサーと低いコンデンサーである。
この二つのコンデンサーのサイズが同じならば、
耐圧の低いコンデンサーのほうが容量は大きい。

それから実際に電源回路に使った場合、
消費電流が少ないほど、同じ電源電圧、同じコンデンサーの容量であっても、リップルは小さくなる。
ほかの条件が同じでも、電流が大きくなればリップルも大きくなる。

電圧に関してはどうかといえば、電流が同じであれば、
電圧が高い方がリップルは小さくなり、低くなればリップルは大きくなる。

どういうことかというと、240Vの電源電圧まで対応できるスイッチング電源であれば、
平滑コンデンサーの耐圧はそれだけ高いわけだし、リップルに関しては有利になる。

それを100Vで使うとなると、コンデンサーの容量は変らず、電圧だけが低くなるわけだから、
リップルに関しては不利になる。

240Vと同じリップル率にするには、100Vではコンデンサーの容量を増さなければならない。

Date: 2月 24th, 2020
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その5)

オーディオアンプにスイッチング電源が採用されたのは1970年代後半からだから、
スイッチング電源という考え方は、それ以前からあったのだろうなぁ、ぐらいには思っていた。

数日前に、あるニュースサイトに
コンピューターや家電製品の「電源」はどのように進化してきたのか?』という記事があった。

この記事によると、スイッチング電源の構想は1930年代とある。
まだトランジスターが登場していないころである。
動作周波数20kHzのスイッチング電源は、1960年代後半に登場したこともわかる。

この記事に刺激されて、スイッチング電源の歴史で検索してみると、
なかなかおもしろい。

1974年ごろ、Robert Boschert氏によるスイッチング電源の簡略化が実現してなければ、
オーディオへの採用はもっと後になっていたかもしれない。

とにかくそうやってビクターやソニーのパワーアンプ、
それからテクニクスのコンサイスコンポへ搭載された。

このころのスイッチング電源は、100Vのみだった。
いまのスイッチング電源は、そうではない。

メリディアンの218のリアパネルには、100-240V ACとある。
内部は緯線を切り替えることなく、100Vでも200Vでも、240Vでも対応できる。

いまではあたりまえのことなのだが、
初期のスイッチング電源ではそうではなかったから、進歩といえる。

けれどオーディオに関していえば、進歩と素直に喜べない面もある。

スイッチング電源は、まずダイオードで整流し、コンデンサーで平滑する。
通常の電源は、まず電源トランスがあり、そこで電圧を昇圧・降圧したうえで、
整流・平滑とする。

つまり通常の電源の場合、平滑用コンデンサーにかかる電圧は、
各国の電源事情にあわせて電源トランスの一次側の巻線で対応するため、
100Vの国だろうと、もっと高い電圧の国であろうと同じである。

スイッチング電源は、そこが違う。

Date: 9月 26th, 2019
Cate: 電源

LiB-AID E500 for Musicという電源

ホンダのLiB-AID E500 for Musicという、
いわゆる蓄電器がコンセプトモデルとして発表された。

オーディオ関係のサイトでも、それにSNSでも取り上げている人がけっこういる。
私も、LiB-AID E500 for Musicは試してみたい。

この種の製品は以前からあった。
安いモノだと出力が正弦波ではなかったりするが、
二万円ほどの価格のモノだと正弦波出力になっている。

消費電力の小さなオーディオ機器であれば、
この種の蓄電器でも十分使用できるだけの容量を備えている製品も少なくない。

SNSでも、既発売の同種の製品を導入している人を見かける。
なかなかいい結果になっているようだ。

amazonで検索してみると、意外にも製品数は多い。
どれを試してみようか、と迷っているうちに時間だけが経っていく。

迷っていても仕方ないから、そろそろ、どれか一つに決めて……、と思い始めていた。
なので、LiB-AID E500 for Musicの発表は、タイミング的に文句なしだ。

個人的には、AC出力は100Vだけでなく、200V出力が欲しい。
たとえばメリディアンの218はスイッチング電源を採用している。

そのおかげで100Vから240Vまで、仕様変更なく対応できるわけだが、
理屈からいっても、100Vよりも電圧は高い方が有利でる。

200V出力がついていればなぁ、と思うけれど、
一般的な使用状況を考えれば、100Vだけのほうが安心といえば、そういえる。

いくつか注文をつけたいところはあるけれど、期待している製品である。

ACと違い、DCは電圧が高くなり、電流も多ければ、
電源スイッチにひじょうに苦労するようになるから、実用化はけっこう大変だろうが、
オーディオ機器も、消費電力の小さなモノは、
AC入力だけでなくDC入力の規格化の検討も始まってよさそうなのに……、と思う。

Date: 7月 13th, 2019
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その4)

スイッチング電源がオーディオ機器に使われはじめた1970年代後半、
そのころの製品で、スイッチング電源について考えるのに、
対照的なところをもつのがソニーのパワーアンプである。

ソニーはTA-N86、TA-N88でスイッチング電源を採用した。
ソニーは、PLPS(パルスロック電源)と呼んでいた。

TA-N86、TA-N88は、シャーシーの高さ8.0cmの薄型パワーアンプである。
これら二機種の約一年後に登場したTA-N9もスイッチング電源搭載のパワーアンプである。

TA-N9は18.5cmと、TA-N88の二倍以上の厚みになっている。
内部はアンプ部よりも、電源部の占める割合が大きい。
ほぼ三分の二の電源といえるほどである。

しかもTA-N9はモノーラルパワーアンプにも関らず、
ヒートパイプ方式のヒートシンクを二基もつ。
アンプ用とスイッチング電源用である。

TA-N86、N88のスイッチング電源の動作周波数は20kHzである。
ビクターのM7070が35kHzである。
TA-N9は、TA-N86、88と同じ20kHzである。

高校生のころ、TA-N9の内部写真を見て、
スイッチング電源の動作周波数が高くなったのかも……、と最初思った。
動作周波数を高く設定することで、発熱も増えていったのかもしれない。
そのためのヒートシンクなのだろう、と考えたわけだ。

でも動作周波数は変らず、である。
スイッチング電源は、そのころから効率がいい、といわれていた。
効率がいいということは発熱も少ないはずだ。

にも関らずTA-N9のスイッチング電源のヒートシンクは、
450Wの出力をもつアンプ部のヒートシンクと同サイズである。

しかもスイッチング電源部はシールドされているが、
平滑コンデンサーはシールドケース外にあり、
スイッチング電源とは思えないサイズのコンデンサーである。

このことは、スイッチング電源を本気で設計し作るとなると、
同時代の、同じ会社のパワーアンプにおいても、これだけの違いが生じてくる、ということである。

Date: 5月 28th, 2019
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その3)

ビクターのM7070、金田式DCアンプ(聴いたことはなかったが)では、
スイッチング電源に対してネガティヴな印象は持たなかった。

この時代、スイッチング電源はメーカーによってはパルス電源とも言っていた。
テクニクスのコンサイスコンポのパワーアンプSE-C01も、
パルス電源(スイッチング電源)採用だった。

M7070とSE-C01とではサイズも重量も大きく違っていた。
スイッチング電源を採用した理由も、おそらく違っていたであろう。

SE-C01は小型化を優先してのスイッチング電源の採用だったはずだ。
このころから他社からもいくつか登場した。
そして、このころからスイッチング電源は音は悪い、という印象が出てき始めた。

1980年代にはいるころには、スイッチング電源は消えてしまったように思われた。
そして数年が経ち、「スイッチング電源なのに……」というふうに印象を変えたのは、
スチューダーのCDプレーヤー、A730ではないだろうか。

それまでは「スイッチング電源だから……」、
そんなネガティヴな捉え方が一般的になっていた。

M7070は、ステレオサウンド 45号の新製品紹介で、井上先生が担当されている。
     *
 M7070は、モノ構成の完全なDCアンプである。電源関係を重視した設計であるために、A−B独立電源のBクラス動作をするパワー段には、一般の商用電源を一度DCに整流した後に数10kHzのパルスに変換し、高周波用トランスで変換してから再び整流してDC電源を得るDクラス電源に、制御系にPWM方式を用い応答速度を高めた定電圧電源が使用されている。これにより、電源の内部インピーダンスを高域まで非常に低くすることが可能となり、電源のレギュレーションは、理想の電源と言われた蓄電池をしのぐものとしている。
     *
ビクターの謳い文句を信じるのであれば、M7070に搭載されたスイッチング電源は、
従来の電源方式では無理な特性を実現するためであり、
特に応答速度の向上がいちばんの目的だったのではないのだろうか。

Date: 5月 26th, 2019
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その2)

ビクターのM7070の音は、私にはクラシックを聴くための音とは思えなかったが、
だからといって、質が悪いと感じたわけではなかった。

同時代のカートリッジのエンパイアの4000D/III。
このカートリッジに似た印象が、どこかしらあった。

どちらもクォリティの高さをきちんと持っているけれど、
クラシックを聴く者にとっては、その良さがプラスの方向に働いてくれないところがある。

聴く音楽がクラシックでなければ、
4000D/IIIもM7070も、その良さが存分に発揮されるはずだ。

しかも4000D/IIIとM7070をもってきての組合せは、
一度聴いてみたかった、と思わせる。

何がいいたいかというと、M7070の印象が、
私の場合、スイッチング電源の印象につながっている。

次にスイッチング電源を採用したアンプで思い出すのは、
無線と実験での、金田明彦氏の発表されたアンプだった。

私が読み始めたころは、金田式DCアンプには、
タムラ製のトロイダルトランスが使われていた。

それが乾電池に代っていった。
ナショナルの乾電池で、より高い電圧を得るために、
乾電池と増幅部とのあいだにスイッチング電源をいれ、昇圧していた。

そのころの無線と実験はとっくに手元からなくなっていて、
記憶も少し曖昧なところもあるが、
スイッチング電源の周波数の重要性に言及されていた。

どのくらいの値だったのかは忘れてしまっているが、
20kHzよりは高い周波数だった。
M7070の35kHzよりも高かったように記憶している。

より高い周波数で動作させてこそのスイッチング電源なのか、と、
そのころ思っていたし、
M7070の35kHzが70kHz、さらには100kHzになっていたら、
M7070の音はさらに磨かれていくのでは……、そんなことも考えながら、
そのころは金田明彦氏の記事を読んでいた。