ACアダプターという電源(その6)
roon rockとして使っているNUCの電源として、
リニア電源を用意するならば、安定化回路はシャント型を、一度は試してみたい。
1978年にスタックスがCA-Xというコントロールアンプを出した。
当時の国産アンプには珍しい外部電源方式で、
電源部はアンプ部よりもはるかに大きく重かった。
ちょっとしたプリメインアンプほどの電源部だった。
スタックスがCA-Xのために開発したのが、
スーパーシャントレギュレーターと名付けられた回路だった。
そのころの安定化電源の回路といえば、大半がシリーズ型だった。
スタックス以前にシャント型を採用していた会社は、どれだけあっただろうか。
しかもスタックスは、スーパーを付けている。
当時のラジオ技術では、このスーパーシャントレギュレーター回路についての記事が、いくつかあった。
そのころのラジオ技術の執筆者の一人、石井義治氏は、
まずコントロールアンプに採用、その後パワーアンプ、
それも出力段までスーパーシャントレギュレーター回路で安定化するという、
なかなかすごい内容の自作アンプ記事が載っていた。
確かA級動作で、出力は15Wだったと記憶している。
出力段の電源まで安定化したアンプは、テクニクスがすでにやっていたし、
マークレビンソンのML2もそうであり、少ないながら前例はあった。
けれどシャント型安定化電源を採用していたわけではなかった。
スーパーシャントレギュレーターは、回路を見ればわかるが、とにかく発熱が大きい。
シャント型はシリーズ型よりも発熱が大きいのだが、
スーパーシャントレギュレーターは、さらに発熱する箇所が通常のシャント型よりも多い。
そんなスーパーシャントレギュレーター回路を、大電流を扱うパワーアンプの出力段に採用することは、
スタックスでもすぐにはやらなかったことである。
そんなことをこの時代のラジオ技術は自作アンプ記事として掲載していた。
石井義治氏の記事はスーパーシャントレギュレーター回路の設計方法まで載っていた。