Archive for 5月, 2023

Date: 5月 31st, 2023
Cate: 楽しみ方

STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その9)

1977年にスペンドールからプリメインアンプD40が登場した。
ステレオサウンド 44号の新製品紹介で取り上げられている。

小さな筐体に、トーンコントロールすらついていない、
シンプルというよりも素っ気ないパネルフェイス。

大きさといい仕上げといい、
当時15万円ほどしていたけれど、同価格帯の国産プリメインアンプとは比較にならない。
その後、20万円近くにまで値上りしているから、
およそベストバイコンポーネントとは呼べない製品だった。

けれどスペンドールのBCIIと組み合わせた音を聴いたことのある人ならば、
そしてBCIIの音に魅力を感じている人にとっては、
BCIIとD40は、まさしく黄金の組合せといいたくなるほどの音を聴かせてくれるから、
まさしくD40はベストバイコンポーネントと推せる。

私も一度だけ、BCIIとD40の音を聴いている。
聴けば、この組合せが欲しくなる。
同時に、どうしてD40は、こういう音をBCIIから引き出せるのか。
その秘密が知りたくなる。

当時のオーディオ雑誌には、D40の内部写真は載らなかった。
掲載された雑誌があったのかもしれないが、私が知る範囲ではなかった。

インターネットが普及して、ブログ、ソーシャルメディアが普及して、
D40の内部写真を見ることができるようになった。

見たからといって、音の秘密がわかるわけではなかった。
むしろ、なぜ、こんな造りのアンプで、あの音が──、とよけいに不思議に思えてくる。

D40の回路図も検索してことがある。
ずいぶん前にやったし、数年前にもやったけれど、見つけられなかった。

このままわからないままなのか。
そう思い始めていたのだが、昨晩、M50で検索してみた。

Date: 5月 29th, 2023
Cate: BBCモニター, LS3/5A

BBCモニター考(LS3/5Aのこと・その31)

LS3/5Aをダブルスタックで鳴らすのは、いまもやっている人はいるようだ。
LS3/5Aをダブルスタック(つまり計四本)で聴くのは、邪道だ──、
そういいたくなる人のほうがきっと多いだろうし、
同じ気持をもっていないわけでもない。

けれど同時に、スタックにしてでも鳴らしたい──、という気持もわかる。
LS3/5Aの音(その世界)に惚れ込んだ人ならば、
このままあとすこしスケールアップしてくれたなら──、
そんなことは一度も思ったことはない、と言い切れる人はどのぐらいいるだろうか。

LS/3/5A用のウーファーはいくつか出ていた。
瀬川先生は、ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’79」で、
JBLの15インチ・ウーファー136A、
エンクロージュアにはサンスイとJBLが共同開発したECシリーズの中からEC10とを組み合わせ、
LS3/5A用のサブウーファーとする組合せをつくられている。

これらすべての音を聴いているわけではないが、聴いている音もある。
けれど、LS3/5Aの魅力そのままに、スケールアップに成功した音とは思えなかった。

そういう耳の私にとって、メリディアンのM20はまさしくLS3/5Aの音をスケールアップした音が、
いまここで鳴っている──、と感じたし、
その事実に、とにかく嬉しくなったものだ。

M20はLS3/5Aの延長線上にある音であり、スピーカーシステムである。
M20を聴いた、いまから四十年近く前から、そう感じていた。

けれど、そんなふうに感じる人はいなかった──、と感じていた。
誰もそんなことを書いたりしていない。

昨日、別項で書いている野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会に行ってきた。
そこで、Mさんという初対面の方から声をかけられた。

このブログで、以前、書いている。
LS3/5Aの延長線上にあるM20だ、と。
MさんはLS3/5Aを計五回買ってしまうほど、惚れ込んでいる人だ。

そのMさんは、私の書いたものを読んでM20を買った。
その音を聴いて、ほんとうにLS3/5Aの延長線上の音だった、と話してくださった。

そうだろう、そうだろう、と思いながら聞いていた。

Date: 5月 29th, 2023
Cate: きく

野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会(その8)

昨日(5月28日)は、野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会に行ってきた。
朝日新聞社発行の「世界のステレオ」に載っていた写真そのままの音楽室だった。

機器の配置は、少しばかり違っていたけれど、全体の雰囲気はそのままだった。

音はどうだったのか、というと、細かいことをあれこれ書こうとはまったく思っていない。
野口晴哉氏は1976年に亡くなられていて、
その後、野口晴哉氏のシステムは鳴らされていなかったようだから、
当時の音がそっくり聴けるとは、まったく期待していなかった。

(その1)で書いているように、片鱗でも聴けるのであれば、それでいい──、
行く前からそうおもっていた。

その片鱗は聴けたのか。
野口晴哉氏が鳴らされていた音を聴いたことのある人は、私の周りにはいない。
五味先生のオーディオ巡礼を読み返して、想像するしかない。

正直なことをいうと、あきらかな整備不足の音だった。
調整が不足している以前の、
特にアナログプレーヤーを含めての周辺の整備不足による音のアラがひどかった、といえる。

一枚目、二枚目、三枚目のディスクまでは、片鱗すら聴けないのかもしれない──、
そうおもいつつ聴いていた。

四枚目のディスクは、カザルスのバッハの無伴奏だった。
このカザルスは、前の三枚とはあきらかに鳴り方が違っていた。

この日来ていた友人数人に感想を聴いても、カザルスから音が変った、といっていた。

カザルスは野口晴哉氏が最も好んで聴かれていた、ときいている。
そのことが如実に、その音から伝わってくる、そんな感じの鳴り方だった。

「片鱗」をしっかりと聴けた、そう思えた一枚だった。
この一枚が聴けただけで、満足といえばたしかに満足していた。

Date: 5月 26th, 2023
Cate: きく

野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会(その7)

5月28日に開催される野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会の会場となる
野口晴哉氏のリスニングルームにはクーラーが設置されていない、ときいている。

Date: 5月 26th, 2023
Cate: 楽しみ方

STUDER A101 + Pass DIY BA-3(その8)

その7)で、シリーズ型定電圧回路の場合、
制御用トランジスターのエミッターから出力を取り出すのではなく、
コレクター出力としたほうがいいのではないのか──、と書いた。

世の中、同じことを考える人は三人いる、そうだ。
だとしたら、すでに同じことを考えている人がいるはずで、
この三人というのは、おそらく同時代であって、
時代を遡ればもっと多く存在するということのはずだ。

ならばコレクター出力の定電圧回路のアンプがすでにあるのではないか。
といって、検索してすぐに見つかるわけではない。

たまたま先日、QUADのコントロールアンプ、44の回路図を見ていた。
定電圧回路が、シリーズ型でありコレクターから出力を取り出している。

こんなに以前からやっぱりあったわけだ。

Date: 5月 25th, 2023
Cate: 映画

TÁR(その2)

「TÁR」は、公開初日(5月12日)に観た。
(その1)で書いているように、TOHOシネマズ日比谷のスクリーン1で観たかったからだ。

スクリーン1での上映は、やはり18日までだった。
早めに観に行ってよかった、と観終ったから、よけいにそう思う。

大きなスクリーンと上質な音で観たい映画である。
単に音楽を扱っている映画だからということからではなく、
「TÁR」を観た人(注意深くきいた人)ならば、そのことをわかってもらえるはず。

「TÁR」をおもしろかったという人もいれば、期待外れ、残念だったという人もいる。
「TÁR」はおもしろい映画だった。
観終って、もう一度観たい、と思っていた。
いくつか確認したいシーンがあったからでもある。
それもTOHOシネマズ日比谷のスクリーン1で、と思っていた。

できればDolby Atmosで上映してほしい。
エンドクレジットには、Dolby Atmosのロゴが表示される。

話題作がけっこう公開されているし、公開予定でもあるから、
「TÁR」のDolby Atmosでの上映は望めない。

個人的にもう一度観たい(確認したい)シーンは、終盤での、
あるビデオを見ている時の主人公の顔のアップのシーンだ。

えっ、とおもってしまった。
どういう意味(こと)? と思うほどの表情だったけれど、
そのシーンはほんとうに短い。

Date: 5月 23rd, 2023
Cate: 終のスピーカー, 組合せ

終の組合せ(その3)

2008年ごろ、知人がTroubadour 40を購入した。
そのとき、ウーファー、何にします? と訊かれた。
即答で、JBLの1500ALを挙げた。

他にも使ってみたいウーファーユニットはいくつかあったけれど、
やはりパッと浮んできたのは、1500ALだった。

知人も1500ALが第一候補だったようで、すぐに購入していた。
けれど、残念なことにTroubadour 40と1500ALの音は聴いていない。

知人もエンクロージュアをどうするのか、
ここのところに悩んでいて、1500ALは購入したものの、
元箱に収まったままだった。

1500ALは、ほんとうにいいウーファーだと思っている。
だからこそ、エンクロージュアはできるかぎりいいモノに仕上げたい──、
けれどその気持が強すぎると、知人の例のようになってしまう。

とりあえず1500ALを鳴らして、Troubadour 40と組み合わせてみよう、といいたい気持と、
中途半端な気持(状態)で、1500ALを鳴らしたくない、というのはよくわかる。

もし、いま1500ALのひじょうに程度のいいモノが手に入ったとして、
エンクロージュアにはそうとう悩むことになるのは目に見えている。

終のスピーカーとしてやって来たのが、Troubadour 40ではなくUnicornであれば、
ウーファーで悩むことはない。

Unicornであれば、このテーマで書き始めてもすぐに結論に近いものが書けただろう。
けれど、やって来たのはTroubadour 40なのだから、
ウーファーをどうするか、徹底的に考えることから、ここでのテーマは始まる。

Date: 5月 21st, 2023
Cate: 終のスピーカー, 組合せ

終の組合せ(その2)

ジャーマン・フィジックスのTroubadour 40が、
終のスピーカーとして、昨年やって来たのだから、終の組合せを考える。

ここでの組合せは、現実に買える金額かどうかはあまり考慮しない。
それでも(その1)を書いてから、五ヵ月。

なかなか続きを書かなかったのは、やはりウーファーをどうするか。
ここで悩んでいるというか、迷っているというか、あれこれ考えているからだ。

菅野先生は、
JBLの2205Bをパイオニア製エンクロージュアにおさめられたモノを使われていた。
同じモノを、と考えなくもないが、
2205Bは中古市場にもあまり出てこないし、もちろん新品はすでにない。

パイオニアのエンクロージュアも手に入らないし、
仮に新品同様の同じモノが手に入ったとしても、
菅野先生のリスニングルームでの、あの低音の素晴らしさは、それだけで実現できるものではなく、
グラフィックイコライザーを含めての使いこなしがあってのものだ。

Troubadour 40が新製品として登場したころ、
JBLは1500ALを単売していた。

そのころはTroubadour 40が欲しい、とつよくおもってはいても、
すぐに買えるというわけではなかった。
けれど、Troubadour 40を買ったら、ウーファーは1500ALが第一候補だった。

エンクロージュアをどうするのかはなにも考えてなかったければ、
当時市販されていたウーファーで、1500ALはそうとうにいいウーファーだったはずだ。

その1500ALも製造中止になり、Troubadour 40も製造中止になった。

Date: 5月 19th, 2023
Cate: ディスク/ブック

エリー・アメリングの「音楽に寄せて」

1933年2月8日生れのエリー・アメリングは、今年生誕90年。
ということで、29枚組のCDボックスが発売になった。

e-onkyoでもリマスターでの配信が、今日から開始になっている。
TIDALでは?
ほとんど期待していなかったけれど、いちおう見てみた。

するとMQAでの配信が始まっている。
フィリップスへのデジタル録音だったアルバムも、MQAになっている。

アメリングによる「音楽に寄せて」は、
ステレオサウンドの試聴室で数え切れないくらい聴いている。

名曲なのは承知している。
とはいっても、一日に何度もくり返し、しかもそういう日が続く。
そういう聴き方をしてきただけに、
アメリングの「音楽に寄せて」は、かなりながいこと聴いてこなかった。

それが昨年あたりから、ふたたび聴くようになった。
聴くたびに、MQAだったらなぁ、とおもっていた。

それでも1982年のデジタル録音だけに、MQAでの配信は、
ソニー・クラシカルではないのだから、まずないだろうなとなかばあきらめていた。

そこにMQA(48kHz)で配信。
フィリップスへの録音だったから、デッカからのリリースということになっている。
デッカは、ドイツ・グラモフォンと同じユニバーサル・ミュージック。

別項で書いているようドイツ・グラモフォンは、
MQAでの配信をやめてはじめている。
その一方で、新譜はMQAでの配信だったりして、
MQAをやめるのか継続するのか、
なんともはっきりしないドイツ・グラモフォンの態度を見ているだけに、
今回のMQAでの配信は、意外でもあり嬉しいことでもある。

Date: 5月 19th, 2023
Cate: ディスク/ブック

宿題としての一枚(その13)

この項であげてきたディスクは、
なんらかのかたちで、そこで鳴っていた音を聴いての宿題としての一枚なのだが、
同じような経験を持っていない人も少ないない。

それでも──、とおもうところはある。
たとえば菅野先生録音の「THE DIALOGUE」。
なんらかのかたちで、菅野先生が鳴らされた「THE DIALOGUE」を聴いたことがある人は、
どのくらいいるのだろうか。

その音を聴いていない人にとっては「THE DIALOGUE」は、
宿題としての一枚とはならないのか、といえば、けっしてそうではない。

ステレオサウンド別冊「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」の試聴を読んでほしい。
この別冊での試聴ディスクは、三枚。

ヘンリック・シェリングとイングリット・ヘブラーによる
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの第七番。
シルヴィア・シャシュのドラマティック・オペラ・アリア集、
そして菅野先生録音の「THE DIALOGUE」である。

なので個々のアンプの試聴記(鼎談)に、
「THE DIALOGUE」がどう鳴ったのかが、けっこう具体的に語られていたりする。

すべてのアンプの試聴記に「THE DIALOGUE」のことが必ず出てくるとはかぎらないが、
かなりの数のアンプで、具体的に語られている。

これらをまとめて読めば、アンプによって「THE DIALOGUE」のドラムスとベースの音が、
どんなふうに変り、どんなふうになるのが「THE DIALOGUE」なのかもつかめる。

Date: 5月 17th, 2023
Cate:

ふりかえってみると、好きな音色のスピーカーにはHF1300が使われていた(その15)

メリディアンのアクティヴ型スピーカーシステム、M1。
ステレオサウンド 54号の特集、
「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」に登場している。

瀬川先生の試聴記を読んでいると、いちどは聴いてみたい、とおもったものの、
一度ものその機会はなかったどころか、実物を見たことすらない。

その後もメリディアンはアクティヴ型のスピーカーシステムに積極的に取り組む。
別項で書いているように、M20は、いまも欲しいとおもうほどに、
その音色の魅力からは、いまだに逃れられないままだ。

M20を聴いたときに、M1も聴いてみたい、と思った。

そのM1なのだが、54号の写真でも、
輸入元の今井商事の広告の写真、スペックでは3ウェイである。

しかし昨晩見つけたM1の写真は、4ウェイである。
“meridian m1”で画像検索すれば、その写真はすぐに見つかる。

しかもセレッションのHF1300が使われている。
この4ウェイのM1がどういうモデルなのかは、詳細はよくわからない。

ごく初期のM1なのかもしれない。
だとすれば、ここにもHF1300なのか、とひとりで納得している。

Date: 5月 14th, 2023
Cate: ジャーナリズム

オーディオの想像力の欠如が生むもの(その88)

オーディオの想像力の欠如した者は、自己顕示欲を昇華することができない。

Date: 5月 11th, 2023
Cate: 映画

TÁR(その1)

明日(5月12日)、ようやく映画「TÁR」が公開になる。
今年公開予定の映画のなかで、最も観たいとおもっている一本だ。

予告編を観るたびに、一日でも早く観たい、とおもう。
「TÁR」はアクションものやSFものではないから、
上映は通常の2Dのみである。

ドルビー・アトモスの上映もない。
それでもいい音の映画館で観たい、となると、
東京だとTOHOシネマズ日比谷のスクリーン1で観たい。

初日はスクリーン1での上映があるが、土曜、日曜は他の映画が上映されるため、
スクリーン1での「TÁR」の上映はない。
月曜日以降はスクリーン1での上映が再開されるが、
いつまでスクリーン1での上映なのかは、いまのところ18日までは行われるようだ。

それ以降になると、他の映画になってしまう可能性もある。
スクリーン1で観たい方はお早めに。

Date: 5月 11th, 2023
Cate: オーディオマニア

オーディオマニアとして(圧倒的であれ・その12)

オーディオの力を信じることに圧倒的であれ──、とおもっている。

Date: 5月 11th, 2023
Cate: オーディオマニア

つきあいの長い音(その46)

つきあいの長い音とは、自分にとって理想の音、最高の音よりも、
ぴったりの音のことなのかもしれない。