野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会(その8)
昨日(5月28日)は、野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会に行ってきた。
朝日新聞社発行の「世界のステレオ」に載っていた写真そのままの音楽室だった。
機器の配置は、少しばかり違っていたけれど、全体の雰囲気はそのままだった。
音はどうだったのか、というと、細かいことをあれこれ書こうとはまったく思っていない。
野口晴哉氏は1976年に亡くなられていて、
その後、野口晴哉氏のシステムは鳴らされていなかったようだから、
当時の音がそっくり聴けるとは、まったく期待していなかった。
(その1)で書いているように、片鱗でも聴けるのであれば、それでいい──、
行く前からそうおもっていた。
その片鱗は聴けたのか。
野口晴哉氏が鳴らされていた音を聴いたことのある人は、私の周りにはいない。
五味先生のオーディオ巡礼を読み返して、想像するしかない。
正直なことをいうと、あきらかな整備不足の音だった。
調整が不足している以前の、
特にアナログプレーヤーを含めての周辺の整備不足による音のアラがひどかった、といえる。
一枚目、二枚目、三枚目のディスクまでは、片鱗すら聴けないのかもしれない──、
そうおもいつつ聴いていた。
四枚目のディスクは、カザルスのバッハの無伴奏だった。
このカザルスは、前の三枚とはあきらかに鳴り方が違っていた。
この日来ていた友人数人に感想を聴いても、カザルスから音が変った、といっていた。
カザルスは野口晴哉氏が最も好んで聴かれていた、ときいている。
そのことが如実に、その音から伝わってくる、そんな感じの鳴り方だった。
「片鱗」をしっかりと聴けた、そう思えた一枚だった。
この一枚が聴けただけで、満足といえばたしかに満足していた。