Archive for category 名盤

Date: 2月 19th, 2023
Cate: 名盤

三十数年ぶりの名曲名盤(その2)

いま書店に、「新時代の名曲名盤500+100」が並んでいる。
レコード芸術の特集「新時代の名曲名盤500」を一冊にまとめたものだ。

名曲名盤、このタイトルを眺めていて、
名曲愛聴盤ではないことを考えていた。

タイトルとしては名曲名盤のほうがおさまりがいいし、
見ての印象もいい。

けれど読み手が求めているのは、どちらなのだろうか。
名曲名盤なのか、名曲愛聴盤なのか。

1980年代のレコード芸術の「名曲名盤」は、どこか名曲愛聴盤と感じられるところがあった。
少なくとも、そう感じられるところがあった。
だからこそ夢中になって読んでいたのかもしれない。

いまはどうだろう。
読むこちらが齢をとったということもあるけれど、
なんとなくではあるが名曲愛聴盤という感じが伝わってこないようにも感じる。

名曲名盤なのだから、それでいいのだけれど──。

Date: 8月 23rd, 2021
Cate: 名盤

三十数年ぶりの名曲名盤(その1)

Kindle Unlimitedで、レコード芸術が読める。
最新号(2021年9月号)も読める。

9月号の特集は、「新時代の名曲名盤500」である。
9月号は、モーツァルトからシューベルトまで。

私のレコード芸術の、この名物企画を熱心に読んでいたのは、
もう三十年以上前のこと。
1980年代終りごろは、この特集が一冊にまとめられたムックも買ったほどだった。
文字通りボロボロになるまで読んだ。

聴きたい(買いたい)ディスクのところに赤丸をつけたり、
選にもれているけれど、私が気に入っているディスクを書き込んだりしていた。

このころ名曲名盤は、選者全員がコメントをきちんと書いていた。
書き手の負担は大きくても、読み手にとって読み応えがあった。

それがいつのころからかそうではなくなったのは、
ステレオサウンドの同様の企画であるベストバイと同じである。

書き手の負担を減らすように、回を重ねるごとになっていく。
読み応えが薄れていけば、熱心に読まなくなる。
それが編集部の目的なのだろうか──、と勘ぐりたくもなる。

そんなことを書きたかったわけではないのだが、
書き始めると、どうしてもいいたくなってしまう。

今月号のレコード芸術の特集を眺めていて、
ずいぶん三十年前と変ったな、とまず思った。

モーツァルトのピアノ・ソナタをじっくりと見ていて、
特にそう感じた。

すごい変りようだ、と感じた曲もあれば、
あまり変っていないな、と感じた曲もある。

モーツァルトのピアノ・ソナタでは、意外にもグールドがあまり選ばれていない。
一位に選ばれているので目につくのは、
アンドレアス・シュタイアーとクリスティアン・ベザイデンホウトの二人。

二人とも、三十年前にはまったく選ばれていなかった。

レコード(録音物)は、オーディオ機器と違って、
廃盤になっても、何年後かには復刻されたりする。
最新録音(演奏)と数十年前の録音(演奏)とが、同時に売られたりする。

オーディオ機器は、そうはいかない。