Date: 8月 18th, 2025
Cate: 名器, 日本のオーディオ
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ヤマハ NS10Mのこと

いつぐらいからだろうか、ヤマハの小型スピーカーのNS10Mが、名機と言われるようになったのは。

NS10Mは1978年ごろに登場している。私が15歳のころだ。
そのころの私にとって、ヤマハのスピーカーシステムといえば、
やはりNS1000Mがまっさきに頭に浮かんでいたし、その次にNS1000Mとは対称的な性格のNS690IIだった。

どちらも、いわゆるブックシェルフ型。そこに小型ながらも、NS1000Mと同じく型番末尾に「M」がつくモデルの登場。

関心が全くなかったわけではないが、早く音を聴いてみたいという存在ではなかった。

NS10Mの音は、いろんなところで聴いているが、
ステレオサウンドの試聴室で聴いてだろうか、と振り返ってみると、
ぼんやりした記憶しかないほど、印象はかなり薄い。

このNS10Mがスタジオでモニターとして使われるようになったのは、いつからだろうか。
同時に、トゥイーターのレベルコントロールを持たないNS10Mだから、
ティシュペーパーをトゥイーター前面に貼ってという使い方も伝わってきた。

この話を聞いて、そこまでして使うスピーカーだろうか──、
私の最初の感想だった。
その頃は、オーラトーンの5Cもスタジオで使われていたので、そんな感じでのNS10Mなんだろう、とも思っていた。

けれどNS10Mの知名度は高くなっていき、名機とも呼ばれるようになった。
悪いスピーカーとは言わないけれど、名機とまで呼ばれると、
どうして? と疑問しか私にはない。

NS10Mも、かなり前に製造中止になっている。
それでも需要がかなりあるようで、
NS10Mとそっくりなスピーカーも存在している。

以前別項で、ガウス(Gauss)の名前が復活していると書いた。
このGauss 7というスピーカーシステムを出しているAVANTONE PROから、CLA10 Passiveという型番で市販されている。

そっくりである。
昔は海外製にそっくりの国産オーディオ機器が、いくつもあった。
そんな時代を知っている者にとっては、CLA10の存在は、
時代が変ったことを感じさせるし、
NS10Mを名機という人たちは、やっぱり名機なんだよ、となるだろうが、
私のような者にとっては、疑問符がついてまわる。

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