Archive for category ケーブル

Date: 4月 22nd, 2026
Cate: ケーブル

ケーブルはいつごろから、なぜ太くなっていったのか(その24)

細いケーブルが、思わぬ好結果をもたらしてくれたわけだが、今回の例だけで、太いケーブルよりも細いケーブルがどんな場合でもきい結果となるとまでは考えていない。

ケーブルの音は導体の太さだけで決定されるわけではなく、外皮の材質や作り、導体の純度やその他の要素がが絡み合った結果なのだから、細くなければならないとまでは言えない。

それでも、細いとなんとなく頼りないという先入観を捨てることにはなった。

考えてみればスピーカーユニットのボイスコイルは細い。
真空管パワーアンプの出力トランスの巻線だって太くはない。
プリント基板のパターンにしても、太いケーブル並ではない。

それでもスピーカーケーブルに太いモノを持ってくることで、いい結果が得られることも体験している。

とにかくまず聴いてみることだ。

Date: 4月 13th, 2026
Cate: ケーブル

ケーブルはいつごろから、なぜ太くなっていったのか(その23)

瀬川先生がステレオサウンド 5号、
「スピーカーシステムの選び方 まとめ方」の冒頭に書かれている、このことを先日のケーブルの比較試聴で思い出していた。
     *
 N−氏の広壮なリスニングルームでの体験からお話しよう。
 その日わたくしたちは、ボザークB−4000“Symphony No.1”をマルチアンプでドライブしているN氏の装置を囲んで、位相を変えたりレベル合わせをし直したり、カートリッジを交換したりして、他愛のない議論に興じていた。そのうち、誰かが、ボザークの中音だけをフルレンジで鳴らしてみないかと発案した。ご承知かもしれないが、“Symphony No.1”の中音というのはB−800という8インチ(20センチ型)のシングルコーン・スピーカーで、元来はフル・レインジ用として設計されたユニットである。
 その音が鳴ったとき、わたくしは思わずあっと息を飲んだ。突然、リスニングルームの中から一切の雑音が消えてしまったかのように、それは実にひっそりと控えめで、しかし充足した響きであった。まるで部屋の空気が一変したような、清々しい音であった。わたくしたちは一瞬驚いて顔を見合わせ、そこではじめて、音の悪夢から目ざめたように、ローラ・ボベスコとジャック・ジャンティのヘンデルのソナタに、しばし聴き入ったのであった。
     *
ラジオ技術のメイン執筆者であった高橋和正氏は、ある時からケーブルは細い方が好結果が得られる、と主張されるようになった。

47研究所の木村準二氏も、細いケーブルを高く評価されているし、実際47研究所のケーブルは本当に細い。

今回聴いたケーブルのうち二本は細かった。かなり細い。比較試聴したケーブルのもう一本は一般的な太さである。

そのケーブルの後に、細いケーブルを聴く。
その時の音は、まさしく瀬川先生が書かれていることを、そのまま音にしたものと感じていた。

《突然、リスニングルームの中から一切の雑音が消えてしまったかのように、それは実にひっそりと控えめで、しかし充足した響きであった。まるで部屋の空気が一変したような、清々しい音であった。》

レナータ・テバルディのCDを聴いていた。
テバルディが声をひそめて歌うところ、まさにそうであった。
他のケーブルだと、声量を落として歌っているだけに思えるほど、その表情が大きく違う。

テバルディは素晴らしい歌手だと思っていたが、こんなにも素敵な歌手だと、恥ずかしながらいままで気づかなかった。

Date: 4月 11th, 2026
Cate: ケーブル

ケーブルはいつごろから、なぜ太くなっていったのか(その22)

スピーカーの出力音圧レベルが大きく違う場合、同じ音圧を得るには、当然だが、出力音圧レベルが低いスピーカーであれば、大きなアンプの出力が必要になるし、
スピーカーケーブルを流れる電流もそれに応じて大きくなる。

例えば100dB/W/mを超える出力音圧レベルのスピーカーと、今時のスピーカーのように80dBぐらいの出力音圧レベルのスピーカーとでは、必要なパワーは違う。

それに100dB超えのスピーカーは、大抵、往年の大型スピーカーだったりする。その場合、スピーカーのインピーダンスは16Ω、15Ωと高い。

一方、今時の80dB前後のスピーカーだと8Ωのモノもあれば4Ωのモノは多くある。

100dB超え16Ωのスピーカーと、80dB前後4Ωのスピーカーとでは、必要なパワーの差はさらに大きくなる。

そう考えると、100dB超のスピーカーには細いスピーカーケーブルでも問題はなくても、
80dB前後で4Ωのスピーカーでは、その細さが問題となってくる──、
そういうふうに考えられるといえば、そうともいえる。

今日、あるところでケーブルの比較試聴をしていた。その結果から、何がいえるだろうかと考えているところなのだが、理屈はそうだけど……、となっている。

Date: 5月 29th, 2025
Cate: ケーブル

結線というテーマ(その19)

6月4日のaudio wednesdayでは、この項で書いている同軸スピーカーケーブルの逆接続を、
スーパートゥイーターのエラック、4PI PLUS.2で、その音の違いを聴いてもらおうと予定している。

4PI PLUS.2への接続による音の変化は、小さくない。
スピーカーケーブルが変れば、もちろん変るし、接続の仕方によっても変ってくる。

5月の会では、それまでとは違うスピーカーケーブルを使っていた。長さの関係でパワーアンプから、というわけにはいかず、
フランコ・セルブリンのKtêmaのスピーカー端子から接いでいた。

今回もたぶんそうなると思う。その上で同軸スピーカーケーブルの正接続、逆接続の音を聴いてもらう。

Date: 5月 6th, 2025
Cate: ケーブル

結線というテーマ(その18)

同軸スピーカーケーブルの逆接続による音の変化を、何度か経験するうちに、
なぜ、こんなふうに音は変化するのかについての、
自分なりの仮説が、二、三浮かんでくる。

その時の仮説とは別に、それから三十年以上経ち、
インターネットが普及し、さまざまな知見が得られるようになってから、
また一つの、新たな仮説が浮かんできた。

ポインティングベクトルである。
ポインティングベクトルについて解説することは、私には無理。

検索してみればわかるが、数式や図式が表示される。
それらを眺めたところで無理。

それでもいくつか眺めている(読んでいるとは言えないレベル)と、
「電流のエネルギーは導体の外側を流れる」という記述が目に入る。

ここで重要なのは、
電流は、ではなく電流のエネルギーは、のところなのだが、
これにしても理論的に理解できているわけではない。

それなのに、ここでポインティングベクトルについて書いているのは、
同軸スピーカーケーブルの逆接続の音は、このことに関係しているように感じているからだ。

もしそうだとしたら、また新たな仮説が浮かんでくるのだが、
実際のところ、どうなのだろうか。

Date: 5月 4th, 2025
Cate: ケーブル

結線というテーマ(その17)

ここで同軸スピーカーケーブルについて書いていることも、
別項「パッシヴ型フェーダーについて」で書いていることきも、同じことが含まれている。

同軸スピーカーケーブルを使って、ただ単に音がいいとか悪いとか、
音が良くなったとか悪くなったとか、
パッシヴ型フェーダーにした方がコントロールアンプを使うよりもいいとか、
やはりコントロールアンプの方が良いとか、
そういうことではなく、
その使い方を思いつく限り試してみることで見えてくる事柄がある。

このことを言いたいだけである。

Date: 5月 1st, 2025
Cate: ケーブル

結線というテーマ(その16)

同軸スピーカーケーブルの逆結線(芯線をマイナス、シールド線をプラス側)の効果は大きい。
このことは当時のステレオサウンドにも載っているので、記憶されている方はいるだろうが、
その中で実際に試してみた人は、どのくらいだろうか。

かなり少ないように勝手に思っているし、ここまで読んだ人の中には、
ならば最初から同軸スピーカーケーブルの逆結線にすればいいのでは? と思う人もいるはず。

そう思う人はやってみればいい、としか私には言えないし、
そういう人と私とではオーディオの取り組み方が違うとしか言えない。

段階を踏んでいくことがどれだけ大事なのか、
そのことを理解している人とそうでない人とがいる。
それだけのことなのだろう。

段階を踏むことは、なぜ同軸スピーカーケーブルの逆結線が好結果につながるのか、
そのことへの仮説を生むことにもなる。

ここが大事なことだ。

Date: 4月 30th, 2025
Cate: ケーブル

結線というテーマ(その15)

同軸スピーカーケーブルを普通に使うと、
つまり芯線をプラス、シールド線をマイナス側として結線すると、ドンシャリ気味になる。

全ての同軸スピーカーケーブルを試したわけではないので断言まではできないが、
その傾向は多少なりともある、とは言える。

特に日立電線のLC-OFCのそれは、もともとのやや硬質な性格と相まって、
ドンシャリが強調されるとも言えなくもない。

けれど、この状態でさらにシステムを追い込んだところで、
井上先生は、同軸スピーカーケーブルの結線を反対にしろ、と言われる。

最初は、どんなふうに音が変化するのか、想像できなかった。
それでも、井上先生の指示通りに結線をやり直す。

今どきのアンプやスピーカーシステムならば、かなり太いケーブルでも苦労することなく結線できるが、
1980年代当時のスピーカーシステムもアンプも、端子はそうはいかなかった。

日立電線のLC-OFCの同軸スピーカーケーブルは、太かった。正直、結線をやり直すのはやりたくないほどに、面倒だった。

それでも鳴ってきた音を聴くと、驚く。
ドンシャリな完全に抑えられるだけでなく、全帯域に渡って音の密度が増した、と感じられた。

いうまでもなく、アンプ側もスピーカー側も両方とも芯線をマイナス、シールド線をプラス側にしているから、
スピーカーが逆相になるわけではない。

Date: 4月 29th, 2025
Cate: ケーブル

結線というテーマ(その14)

数は少ないものの、以前から同軸タイプのスピーカーケーブルがある。
おそらくモガミが最初に製品化したはずだ。
1980年代には日立電線からLC-OFCを採用した同軸スピーカーケーブルがあった。

いまもモガミには同軸スピーカーケーブルが数種出ているし、
ドイツのゴッサムからも出ている。

同軸スピーカーケーブルを使う場合、芯線をプラス、シールド線をマイナス側として使うのが、
一般的というか、ほとんどそのはずだ。

ステレオサウンドの試聴室には、日立電線のLC-OFCのモノがあった。
硬く径も太かったので、取り回しはやや面倒だったし、
この頃のステレオサウンドのメインのオーディオ評論家のあいだでは、
LC-OFCのケーブルは全般的に不評だった。
まして同軸スピーカーケーブルとなると、使う人は井上先生だけだった。

その井上先生も、常に使われているわけではなかった。
いくつかの条件が重なっていく過程で、日立電線の同軸スピーカーケーブルにしよう、と言われる。

最初は芯線をプラス、シールド線をマイナス側として接続する。
この状態で、システム全体を追い込んでいくと、接続を変えるように言われる。

芯線をマイナス、シールド線をプラス側として使う接続である。

Date: 5月 5th, 2024
Cate: オーディオの科学, ケーブル

オーディオケーブルの謎(金田・江川予想とその周辺)

オーディオケーブルの謎(金田・江川予想とその周辺)」が、再頒布されている。
どういう内容なのか、入手方法はリンク先にアクセスしてほしい。

ケーブルをかえることで音は変ることを経験していても、
ではなぜ音は変化するのか、そのことについて説明することはかなりの困難である。

128ページの冊子「オーディオケーブルの謎(金田・江川予想とその周辺)」は、
サウンドロマンの1977年6月号から1978年10月号までの14回の連載記事に、
無線と実験の1981年9月号掲載の記事、
1987年の世界のステレオ掲載の記事をまとめたもの。

濃い内容だ。
リンク先にも、こう書いてある。
     *
この冊子は、この商品としてのオーディオケーブルが産まれた時代に 日本のオーディオメーカーの技術者が自社開発品の技術的根拠、 開発意図を説明したオーディオ雑誌などの記事を題材に、 (常識的な電気工学者としての)私が書いてみた記事をまとめたもので、 技術者以外の個人、商店、商社などによるオーディオアクセサリー開発者の 魔術的信仰と主張については触れていません。私にはまったく理解できませんから。

当初の構想では、電気音響工学の対象となる、 周波数特性(振幅・位相)以外に、 非直線性やCDなどの量子化(デジタル・オーディオ)の問題、 後に江川三郎さんが傾倒した「純度(私には理解できない)」の問題、 理論家にとって重要な「なぜ一部の人が電気計測では識別できない (オーディオケーブルなどの)音の違いを認識できるのか」 という原理的問題について書く予定だったのですが、 雑誌自体が休刊になったため、連載も打ち切りになりました。

というわけで、当時の歴史的記述としても完全ではありませんが、 オーディオケーブルが話題になった当時、 どんな主張があり、真実はどうだったのかといったことはわかると思います。
     *
在庫がなくなると頒布も終了となるようなので、
ケーブルについて理解したい方はお早めに。

Date: 10月 26th, 2022
Cate: ケーブル

ケーブル考(銀線のこと・その19)

以前から考えていて試してみたいことのひとつに、
真空管アンプのヒーター用配線を銀線にしたら、どういう音になるのか、がある。

銀線は高い。
信号系もすべて銀線にしたい、ということももちろん考えているけれど、
それ以上に、ヒーターのみ銀線というのは、どうなのか、
銀線ならではの音が、ヒーター用配線であっても、やはり聴こえてくるものなのか。

別項で書いている50CA10の単段シングルアンプでは、
50CA10へのヒーター配線は銀線にする。

Date: 11月 20th, 2021
Cate: ケーブル

ケーブル考(その11)

ケーブルにはインダクタンス成分が必ずある。
そのため電源部の出力インピーダンスがどんなに低くても、
アンプ部に供給するための配線がもつインダクタンスによって、
中高域からインピーダンスは上昇することになる。

定電圧回路を採用して電源部の出力インピーダンスを低くしたところで、
アンプ部までの配線が長くなれば、中高域でのインピーダンスの上昇も大きくなる。

このことに言及したのは、無線と実験において、安井 章氏が最初だったはずだ。
電源インピーダンスのフラット化。
そのことを追求され始めたのは、1980年ごろからだった、と記憶している。

定電圧回路の誤差増幅には、OPアンプが使われることもあった。
オープンループ時のゲインが高いOPアンプを使えば、
インピーダンスはかなり低くできるものの、
その定電圧回路のインピーダンスは、
使用したOPアンプのオープンループの周波数特性をなぞるカーヴとなる。

つまり中高域(可聴帯域内)でインピーダンスが上昇してしまうし、
そこからアンプまでの配線があれば、さらに上昇することになる。

安井 章氏は、だからOPアンプを定電圧回路に使われなかったし、
定電圧回路とアンプ部との配線を極力短くするために、
それぞれのアンプ部に対してローカル電源回路を用意されるようになっていった。

外部電源を採用するコントロールアンプが増えたのは、
マークレビンソンの登場以降である。

そのマークレビンソンのアンプも、
外部電源からアンプ本体へのケーブルの影響を無視できなくなったのか、
リモートセンシングを採用したり、ML6AとML6Bでは、
アンプ本体のスペースに電解コンデンサー・バンクを備えるようになった。

Date: 10月 27th, 2021
Cate: ケーブル

ケーブル考(その10)

マークレビンソンのML12とML11のペアは、
はっきりとローコスト化を謳っていたし、そのための電源共通化でもあった。

その印象がなんとなくではあっても、
パワーアンプからコントロールアンプへ電源を供給する方式を採用している製品は、
どこか妥協しているような感じを受けなくもない。

特に、それまでのマークレビンソンの製品ラインナップからすれば、
ML12とML11は商業主義に堕落した──、そう受けとられても仕方なかった。

それでも、いまここで書いている視点からML12とML11を眺めてみれば、
一転して興味深い存在となる。

欲しい、とはおもわないにしても、
もし聴ける機会があるのなら、ケーブルに関する実験をあれこれやってみたい。

これでケーブル交換にともなう音の変化量が、仮に小さくなったとしよう。
どうなるのかは、やってみないことにはわからないにしても、そうなったとしよう。

その結果をどう受け止めるか。
ML12とML11は、マークレビンソンの製品としては安価なのだから、
性能もそこそこであろう、だからケーブルの音の違いが出にくい──、
そういう捉え方もできる。

コントロールアンプの電源をパワーアンプから供給する製品は、国産にもあった。
ラックスキットのコントロールアンプA3300である。
1976年当時、45,800円だった。

A3300の電源は、同じくラックスキットのパワーアンプ、A2500かA3500から供給できる。
A3300を含めていずれも管球式で、
A2500は6RA8のプッシュプルアンプで出力は10W+10W、価格は42,100円、
A3500はEL34のプッシュプルで出力は40W+40W(UL接続)で、価格は64,500だった。

A3300がマークレビンソンのML12と違う点は、外部電源A33が別売で用意されていたことだ。
つまりA2500もしくはA3500から電源を供給した状態でのケーブルの比較、
A33を使って電源を独立させた状態でのケーブルの比較、この実験が行なえる。

この二つの比較試聴で、どういう結果が得られるのか。

Date: 10月 26th, 2021
Cate: ケーブル

ケーブル考(その9)

三筐体という構成ではなくとも、
電源をコントロールアンプとパワーアンプで共通にしている製品は、
古くからいくつか存在していた。

真空管アンプ時代にもいくつかあった。
有名なのはQUADの22とIIのペアである。

22には電源が搭載されていない。
対となるパワーアンプのIIから供給される。
IIはモノーラル仕様だから、どちらか片側のIIからということになり、
私がここで述べようとしている三筐体の構成とは少し違ってくるけれども。

QUADは昔すぎる。
もう少し最近(といっても40年ほど前)の例では、
マークレビンソンのML12とML11のペアがある。

マークレビンソンの製品としては、比較的ローコストをめざしたものとして開発され、
コントロールアンプのML12は電源を持たない。
パワーアンプのML11との組合せが前提となる。ML12の単独使用はできない。

QUADのペアもマークレビンソンのペア、どちらも聴いている。
とはいえ、当時はここで書こうとしていることを考えていなかった。

なのでケーブルを交換して聴いたわけではない。
マークレビンソンのペアで、ラインケーブルをいくつか交換しての試聴は、
どういう結果を示しただろうか。

いまになって、そんなことを思っても仕方ないのだが、
試聴の機会があったときには、あれこれ試してみるべきである。

その時には、意味もわからずなのかもしれないが、
時間がある程度経過してから気づくことがきっとある。

Date: 10月 24th, 2021
Cate: ケーブル

ケーブル考(その8)

ケーブルによる音の違いをあれこれ経験していくうちに、
増幅よりも伝送のほうが難しいのではないのか。

難しい、という表現が適切でないとしたら、
不明なことが多いのではないか、と20代のころから考えるようになってきた。

回路図上では、ケーブルは線で表現される。
実際のケーブルは同じようなモノといえる。

細い金属線で接続しても音は出る。
アンプはそうはいかない。

トランジスター一石のアンプであっても、
トランジスターのみで構成できるわけではない。
抵抗、コンデンサーといった受動素子も必要だし、設計も必要となる。
それに電源がなければ動作しないから、ここをどうするかのかも考えなくてはならない。

それでも伝送のほうが増幅という動作よりも、実のところ、
よくわかっていないのではないのか。

そんなことを以前から考えていた。

これはアンプを自作するしか試せないのだが、
コントロールアンプとパワーアンプの電源を共通とすることで、
ケーブルによる音の変化量と幅は、かなり抑えられるようになるのではないか。

これが私の仮説の一つである。

プリメインアンプは筐体が一つである。
それがセパレートアンプにすることで、
筐体はコントロールアンプとパワーアンプの(最低でも)二つとなる。
パワーアンプがモノーラル仕様なら三筐体になる。

私がいま考えているのは、そして実験してみたいのは、
コントロールアンプ(増幅部のみ)、パワーアンプ(増幅部のみ)、
それに共通電源部という三筐体という構成である。

セパレートアンプとすることで、
コントロールアンプとパワーアンプの電源が独立できているのを、
何も共通にすることはクォリティの低下を招くのではないか──。