結線というテーマ(その15)
同軸スピーカーケーブルを普通に使うと、
つまり芯線をプラス、シールド線をマイナス側として結線すると、ドンシャリ気味になる。
全ての同軸スピーカーケーブルを試したわけではないので断言まではできないが、
その傾向は多少なりともある、とは言える。
特に日立電線のLC-OFCのそれは、もともとのやや硬質な性格と相まって、
ドンシャリが強調されるとも言えなくもない。
けれど、この状態でさらにシステムを追い込んだところで、
井上先生は、同軸スピーカーケーブルの結線を反対にしろ、と言われる。
最初は、どんなふうに音が変化するのか、想像できるなかった。
それでも、井上先生の指示通りに結線をやり直す。
今どきのアンプやスピーカーシステムならば、かなり太いケーブルでも苦労することなく結線できるが、
1980年代当時のスピーカーシステムもアンプも、端子はそうはいかなかった。
日立電線のLC-OFCの同軸スピーカーケーブルは、太かった。正直、結線をやり直すのはやりたくないほどに、面倒だった。
それでも鳴ってきた音を聴くと、驚く。
ドンシャリな完全に抑えられるだけでなく、全帯域に渡って音の密度が増した、と感じられた。
いうまでもなく、アンプ側もスピーカー側も両方とも芯線をマイナス、シールド線をプラス側にしているから、
スピーカーが逆相になるわけではない。