Archive for category ショウ雑感

Date: 10月 26th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その16)

dCSのVarèseは、どうだったのかというと、ありきたりになるが凄かった。

CDトランスポートを加えると全体で六筐体。縦型のラックに収められているのを見て、
壮観だな、と思うか、なんと大袈裟な、と思うか。音を聴くまでは、人それぞれだっただろうが、
その音を聴いてしまうと、この規模があっての音なのか、と納得するはず。

土方久明氏の選曲は、ケルテス指揮ウィーンフィルハーモニーによる「新世界より」。
古い録音なのだが、見事だった。

聴いていて、五味先生のことを思い出していた。
ステレオサウンド 47号から始まった「続・五味オーディオ巡礼」での南口重治氏の4350Aの音について書かれていたことを思い出していた。
     *
 プリはテクニクスA2、パワーアンプの高域はSAEからテクニクスA1にかえられていたが、それだけでこうも音は変わるのか? 信じ難い程のそれはスケールの大きな、しかもディテールでどんな弱音ももやつかせぬ、澄みとおって音色に重厚さのある凄い迫力のソノリティに一変していた。私は感嘆し降参した。
 ずいぶんこれまで、いろいろオーディオ愛好家の音を聴いてきたが、心底、参ったと思ったことはない。どこのオートグラフも拙宅のように鳴ったためしはない。併しテクニクスA1とスレッショールド800で鳴らされたJBL4350のフルメンバーのオケの迫力、気味わるい程な大音量を秘めたピアニシモはついに我が家で聞くことのかなわぬスリリングな迫真力を有っていた。ショルティ盤でマーラーの〝復活〟、アンセルメがスイスロマンドを振ったサンサーンスの第三番をつづけて聴いたが、とりわけ後者の、低音をブーストせず朗々とひびくオルガンペダルの重低音には、もう脱帽するほかはなかった。こんなオルガンはコンクリート・ホーンの高城重躬邸でも耳にしたことがない。
 小編成のチャンバー・オーケストラなら、あらためて聴きなおしたゴールド・タンノイのオートグラフでも遜色ないホール感とアンサンブルの美はきかせてくれる。だが大編成のそれもフォルテッシモでは、オートグラフの音など混変調をもったオモチャの合奏である。それほど、迫力がちがう。
     *
さらに五味先生は《仮りに私が指揮を勉強する人間なら、何を措いてもこの再生装置を入手する必要がある、と本気で考えていたことを告白する。》
とまで書かれている。

五味先生が南口氏の音を聴いての衝撃は、これと同じか、きわめて近いのでは──、
そんなふうに思いながらも、では昂奮していたのかというと、割と冷静だった。

Date: 10月 19th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その15)

結局、今年のインターナショナルオーディオショウは17日しか行けなかった。
18日も予定していたのだが、膝の調子が芳しくなくて休養を優先した。
今日(19日)は用事があったので無理。

初日の午後だけ。しかも今井商事のブースに二時間ほどいたので、すべてのブースどころか、わずかなブースのみしか回れなかった。

それでも是枝重治氏と話す機会があったし、私にとってはけっこう有意義なショウだった。

タクトシュトックのブースで、15時からのジャーマン・フィジックスを聴きたかったけれど、
是枝重治氏の講演が終ったのが、15時15分くらいだったため、諦めた。

今井商事のブースに行く前にタクトシュトックのブースに寄ったのだが満員だったのを見ていたから、
15時過ぎに行ってもダメだろう、と思い、太陽インターナショナルのブースで並んだ。

16時から土方久明氏の回。列はすぐに長くなり、席はすぐに埋まってしまう。立っている人も多い。
太陽インターナショナルといえば、今年はdCSのVarèseが、
なんといっても大きな注目を集めている。

買える買えない、そんなことは関係なく一度は聴いてみたい。そう思わない人は、いるのだろうか。
けれどVarèseの試聴は、dCSからのお達しで、人数制限ありで整理券が必要となる。

朝10時から配布される整理券は、行く前から諦めていた。とはいえ実物を見ることはできる──、そう思っていたら、
土方久明氏の回の最後で、一曲だけではあったがVarèseの音を聴くことができた。

Date: 10月 18th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その14)

昨晩の(その13)では恥らいという言葉を使ったが、だからといってヴァイタヴォックスのCN191の音を、恥らいの音と表現するのには躊躇いがある。

恥らいと書いてしまうと、どこか、そして少しばかりネガティヴにも受け止めれかねない。
大きく外れていないけれど、微妙に誤解を招くとも感じる。

含羞。
辞書には、はにかみ、はじらい、とある。

それでも恥らいと含羞とでは、同じだろうか。
同じだろう、と言われれば、そうですね、と言ってしまうけれど、
CN191の音を聴いた人ならば、わかってくれるかもしれない、とも思っている。

含蓄のある音と、CN191の音をたとえることもできる。
でもそれだけではない、といまの時代のスピーカーを聴いた後だと、よけいに思う。

含羞のある音。
いまの私はそう感じている。

Date: 10月 17th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その13)

インターナショナルオーディオショウに行ってきた。
もちろん今井商事のブースで、ヴァイタヴォックスのCN191を聴くためだ。

14時からの是枝重治氏の講演で聴く。
13時には今井商事のブースに入っていた。
D/AコンバーターはマイテックのManhattan DACで、MQAが再生できる。

今井商事が用意されていたCDの中に、MQAの発売が始まったころ、
ユニバーサルミュージックが通常のCDとMQA-CDを比較試聴できるサンプラーを発売していた。このCDがあったので聴かせてもらった。

MQAで聴くCN191の音である。アンプは是枝重治氏製作のアンプ。管球王国で発表されていた管球式プリメインアンプでの音でもある。

おそらく今年のインターナショナルオーディオショウで鳴っていたスピーカーの中で、一番の変換効率の高さのCN191である。

その高能率とひきかえに、決してワイドレンジなスピーカーではない。
これだけ大型のスピーカーであっても、ずっと小型の今どきのスピーカーの方が低域も高域も伸びている。

でも、そんなこととは無縁といえる音を聴くことができる。
古めかしい音と一蹴するのは、聴く人の自由と言えようが、
本当にそうだろうか。それは聴き手の自由なのだろうか。

世の中、恥じらいが失われていると感じている人もいるだろう。オーディオもそうだ、と感じている人もいるだろう。
そういう時代だからこそ、CN191の存在が輝きを取り戻しつつあるのかもしれない。

是枝重治氏の講演でCN191が聴けるのは、明日(18日)の14時からの会で終る。

Date: 10月 16th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その12)

今井商事のブースで、ヴァイタヴォックスのCN191を鳴らすアンプは、是枝重治氏製作のモノ。
入力系は、というと、マイテックのManhattan DACとのこと。
ということはMQA対応のはず。

今井商事のブースが来場者のリクエストに応えてくれるのかはわからないが、
MQAで鳴るCN191の音が聴けるかもしれない。

Date: 10月 15th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その11)

今年のインターナショナルオーディオショウにも、注目を集める製品はある。
今年も相当に高額なスピーカーシステムが登場する。そういうスピーカーを聴く機会はそうそうない。
オーディオ店でもなかなか聴けないだろうから、インターナショナルオーディオショウは数少ない機会なのだから、注目を集めるのも当然ではある。

そう思いながらも、しつこいようだが、私の楽しみはヴァイタヴォックスのCN191だ。

CN191はコーナー型スピーカーだから、どう設置されるのか。そのことだけでも興味深い。
おそらく縦長に部屋を使うように設置されるだろう。
でも私が聴いてみたいのは、思い切り左右に広げるために、
横長での部屋の使用だ。

勝手なことをいえば、金曜日は縦長で、土曜日は横長での部屋の使用とやってほしい。

Date: 10月 15th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その10)

今年のインターナショナルオーディオショウでの今井商事のブースでは、是枝重治氏がヴァイタヴォックスのCN191を鳴らされる。

これまでの告知では、金曜日と土曜日の14時からの一時間だった。
先ほどインターナショナルオーディオショウのウェブサイトを見たら、下記のようになっていた。

10月17日 (金)
11:00~12:00     自社講演
14:00~15:00     是枝重治氏
17:00~18:00     自社講演

10月18日 (土)
11:00~12:00     自社講演
14:00~15:00     是枝重治氏
17:00~18:00     自社講演

10月19日 (日)
11:00~12:00     自社講演
15:00~16:00     自社講演

尚、金曜日と土曜日の自社講演につきましては、
是枝重治氏の講演に変更する場合があります。

ということは金曜日と土曜日は、それぞれ最大で三回、是枝重治氏の講演となるのかもしれない。
あくまでの可能性なので、確実に是枝重治氏の講演を聴きたい方は、14時からの回である。

Date: 10月 2nd, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その9)

やはり今回のインターナショナルオーディオショウの今井商事のブースでの是枝重治氏の回は、
ヴァイタヴォックスのCN191を鳴らされる、とのこと。

ヴァイタヴォックスの復活が決まって、今年で十二年。
今井商事のブースで、スピーカーユニットの展示はあったけれど、
スピーカーシステムを鳴らされることはなかった。

それが、今回のショウでCN191が聴ける。
いままではやってこなかったのに、今回はどうしたのだろうか、と思ってもいた。

今井商事がCN191を、ついに取り寄せたのか。
あまりやる気の感じられない今井商事なのに、急にどうしたのだろうか? と思う人は、私の他にもいるはず。

今回のCN191は、是枝重治氏が持ち込まれるモノだそうだ。しかもそのために中古のCN191を仕入れてのこと。
アンプは、是枝重治氏製作のモノが予定されている。
数多い是枝アンプの中から、どれになるのかはまだ決まっていないらしい。

是枝アンプで鳴らされるCN191の音に全く興味を持てない人もいてもいい。
それでも少しでもいいから、できれば若いうちに体験してほしいと思うし、
こういう企画こそ、これから少しでもいいから増えていってほしい。

Date: 10月 2nd, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その8)

ヴァイタヴォックスのfacebookを見たら、インターナショナルオーディオショウの今井商事のブースで、
CN191を鳴らす、と告知されていた。

(その7)で触れた是枝重治氏の今井商事での講演は、このことなのか。
CN191と是枝重治氏だとしたら、今回のインターナショナルオーディオショウでのいちばんの楽しみとなる。

Date: 9月 26th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その7)

三週間後開催の今年のインターナショナルオーディオショウの講演スケジュールが公開されている。

私の目を惹いたのは、今井商事のブース。17日と18日、是枝重治氏の名前がある。

非常に楽しみ。

Date: 7月 23rd, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その6)

audio wednesdayを再開して一年半ほど経って改めて思うのは、
音を出して、誰かに聴いてもらうのは、まず音を出す自分が楽しんでいることが、大事だということ。

これはオーディオショウでも同じはずだ。
それぞれのブースで音を出している人が楽しんでいなければ、来て聴いている人が楽しむことはない。

オーディオショウでは、仕事だから、そんなふうに楽しめない──、そんな意見もあるかもしれないが、
仕事と割り切って出ている音を、楽しんで聴いてくれる人はいないはず。

Date: 7月 3rd, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その5)

別項で、映画とテレビの違いについてかいているところだが、
同じことが、オーディオショウでの各ブースの音の違いについても、当てはまりそうな感じがしている。

優れたドラマを撮れるけれど、だからといって映画でいい作品の監督になれるわけではない。

向き不向きだけではない何かがあって、映画の監督、テレビの監督がいる。

オーディオショウで、いろんなブースの音を聴いてきて、いま思っているのは、
音に関しても、映画の監督的、テレビの監督的と言えるのではないか、だ。

どちらがいい音を鳴らしているのかではなく、それぞれのブースで、
不特定の人たちに聴いてもらう音を出すことに求められること。
そのことを考えていると、少なくともオーディオショウにおいては、
映画の監督的に音を鳴らす──、そんな気がしてならない。

では、それは具体的にはどういうことなのかは、今のところ、うまく説明でかないのだが、
音は儚い、だからこそ潔くなければならない。
少なくとも、オーディオショウで音を鳴らして聴いてもらうのであれば、
潔さが求められているはずだ。

Date: 6月 27th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その4)

今年のOTOTENは、うまく行ったのではないだろうか。
今年は行けなかったので、はっきりとは言えないけれど、
X(旧twitter)を見ていると、そう思う。

今回、OTOTENに来て、オーディオの面白さに気づいた人も少なかずいるだろう。
その人たちは、この秋に、インターナショナルオーディオショウがあることを知っているのか知らないのか。

開催までもう少し時間はあるのだから、
インターナショナルオーディオショウの開催を知る機会まであるはずだから、
何割かの人たちは、インターナショナルオーディオショウにも来てくれるかもしれない。

来てくれるのはいいことだけれども、
同じオーディオショウで、同じ会場での開催でも、
OTOTENとインターナショナルオーディオショウでは、違う雰囲気もある。

二つのオーディオショウが同じ雰囲気である必要はないけれど、
インターナショナルオーディオショウの常連の人たちの一部が醸し出す雰囲気の悪さに、
インターナショナルオーディオショウに初めて来る人は居心地の悪さを感じるのではないだろうか。

Date: 6月 21st, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その3)

今日、明日開催のOTOTEN。
行くつもりでいたけれど、今日もダメで明日も行けそうにない。

どんな感じなのだろう、と思い、X(旧twitter)で検索してみると、かなりの数が表示される。
若い人と思われる投稿多い。
初めてのOTOTENと思われる人も、けっこう多い。

ネガティヴな反応ではなく、楽しんでいる感じが伝わってくる。

OTOTENは、インターナショナルオーディオショウは違う。
そのことが今年はよく出ているように感じるだけでなく、うまくいっているようにも感じられる。

Date: 6月 9th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その2)

今月下旬開催のOTOTENに、ジャーマン・フィジックスの輸入元のタクトシュトックは出展しない。
昨年に続き、二年続けてのことだ。
京都で開催されるオーディオショウには出展する。

東京でのオーディオショウにはもう出展しないのか、と思っていたら、
今年のインターナショナルオーディオショウに出展する、という。

ジャーマン・フィジックスのスピーカーシステムも鳴らされはず。