Archive for category ショウ雑感

Date: 8月 4th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その13)

(その11)で書いているように、六階の端から順番にだったから、
最初に入ったのは太陽インターナショナルで、
土方久明氏の時間帯だった。

ヘッドフォン祭では、若い来場者数人に囲まれて談笑している土方久明氏を見かけたことはあるが、
土方久明氏が話しているのを聞くのは初めてだった。

ここでも小さな驚きがあった。
土方久明氏の話はそつがないというか、
うまいな、と感心しながら聞いていた。

土方久明氏は、いま売れっ子といっていいだろう。
オーディオ雑誌、ウェブ記事、どちらでもその名前を目にする。

インターナショナルオーディオショウでの話し方を聞いていると、
その売れっ子ぶりに納得がいく。

ヘッドフォン祭での囲まれているところからも、
若い人たちからの支持もけっこうあるのだろう。

別項で、オーディオ評論家(職能家)、オーディオ評論家(商売屋)について書いている。

土方久明氏をオーディオ評論家(職能家)とは思わないし言わないが、
オーディオ評論家(商売屋)とも言わない。
オーディオ評論家(仕事人)という感じを受けた。

Date: 8月 4th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その12)

私がナスペックのブースに入った時は、
ちょうどジブリの音楽というテーマの時間帯だった。

ジブリの音楽を続けて聴くのは、初めてだった。
「風の谷のナウシカ」までは映画館で観ていたけれど、
それ以降は映画館でも、それ以外でも観ていない。
なので初めて聴く曲ばかり。

それで去年の音とどう比較するのか、と言われそうだが、
音楽の表情が、歌の濃やかな表情が、さりげなくだが、よく出ていた。

耳を澄まして聴けば、こんなふうに歌っているのか、と、おっと思ったりしたし、
歌のあるところでは歌手の力量もはっきり出していたので、
おやっお感じたりもした。

少なくとも去年の音は、そんなふうには感じなかったから、
やはり今年の音は、
プレイバックデザインズのパワーアンプがあってのものといえよう。

「大男総身に知恵が回りかね」、
プレイバックデザインズのパワーアンプを初めて見た人は、
そう思うかもしれないが、
少なくとも今回聴いた印象では、そんなふうにはまったく感じなかったし、
だからといってスピーカーを手玉に取って鳴らすという感じもなく、
好印象だけが残った。

そのこともあって、今年のインターナショナルオーディオショウで、
ナスペックのブースはいい印象だけが残っている。

Date: 7月 28th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その11)

タイムロードのブースに行けば、ジャーマン・フィジックスが聴ける、という頃は、
会場の国際フォーラムに着いたら、四階の端っこ、
タイムロードのブースを目指していた。

ジャーマン・フィジックスの輸入元がゼファンになってからは、
それをやったところで、ゼファンにとってはいくつもあるスピーカーブランドの一つでしかない、
そんな感じの扱いで、鳴っている時間に遭遇したことがない。

そのゼファンとさっさと取り扱いをやめている。
それからというもの、インターナショナルオーディオショウは、
まず六階の端から順に各ブースに入るようになった。

今年もそうだった。
六階の端から順になのだが、ブースによっては満員で入れないところもあるし、
今回のように時間にあまり余裕がないときは、
ほんの少しだけ覗くような感じをしたり、
入りもせずに飛ばしてしまうこともする。

実をいうと、今回ナスペックのブースは飛ばして、次のブースに行こうとしていた。
ナスパックのブースの前を通り過ぎようとしていたら、
ドアが開いていて、音が聴こえてくる。

そうだ、もしかするとモニターオーディオのフラッグシップモデルが聴けるかも、
そう思い直して入ったところ、鳴っていたのは、
トールボーイ型のPlatinum 300 3Gだった。

去年聴いたスピーカーだ、今年はいいかな、と思おうとしていたら、
去年の音よりも明らかにいい感じで鳴っている。

最初は後ろで立って聴いていたが、前の席が空いたので座ると、
目の前にあったのは、プレイバックデザインズのSPA8だった。

去年のシステムとの一番の違いは、このパワーアンプの存在のはずだ。

Date: 7月 26th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その9)

インターナショナルオーディオショウに行ってきた。
今年強く感じたことの一つが、以前書いたことの繰り返しである。

いくつものブースで、
「次はこのディスクを鳴らしたいと思います」「かけたいと思います」という人がいる。
今年もいた。むしろ以前より増えているように感じたのは、
私がこの「と思います」が嫌いなだけではないはずだ。

直前のこと、次に行うことに、なぜやりたいと思います、と言うのか。
まだ確定していない、それをやるにはまだ時間がかなり経ってから、
そういうのであれば、「と思います」とするのはわかる。

すべてのブースでそうだったわけではない。
すべてのブースをまわったわけではないから、
他にも「と思います」を使っていなかったところはあると思うが、
ナスペックのスタッフは、「と思います」を使っていなかった。
「次はこれをかけます」、「これを鳴らします」、
それでいいのだから、ナスペックのブースはそれだけで好感が持てる。

Date: 7月 20th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その8)

来週末はインターナショナルオーディオショウ。
今回、個人的にもっとも聴きたいのが、ゼラトンのスピーカーシステム。

1990年ごろにアンサンブルという、
スイスのブランドのスピーカーシステムが、輸入されていた。

小型の2ウェイシステムは、このブランドならではの音の表現を聴かせてくれていた。
それゆえに好き嫌いはあったように思う。
惚れ込んだ人にとって、他に代わるスピーカーは、
なかなか見つからなかったはずだ。

私も魅了された一人だ。

このアンサンブルのスピーカーのウーファーは、
センターキャップがなく、文字通りのコーン(円錐形)だった。

このウーファーだからこその音なのか、
そんなふうにも受け止めていた。

アンサンブルは、長く輸入されていたわけではなかった。
いつの間にか日本の市場から消えていた。

それからずいぶんして、ドイツのゼラトンが輸入されるようになった。
ウーファーを見て、アンサンブルと同じだと。
これは、ぜひともじっくり聴いてみたい、と思いながらも、
聴く機会はなかった。

ゼラトンのスピーカーが輸入されていたころは、
インターナショナルオーディオショウには、毎年行っていた。

けれどタイミングが悪いのか、
輸入元のブースで音が鳴っているのに、出会したことがない。

来年は聴けるだろう、と思っていたら、その輸入元は、取り扱いをやめた。
それから十年以上経ったか。
やっとゼラトンが輸入されるようになった。

今度はアクシスが取り扱う。
以前の輸入元のような、そっけない扱いではないはずだ。

現在のゼラトンの音が、どんななのか、まったくわからない。
それでも今回のショウで、いちばん期待しているし、楽しみにしている。

Date: 7月 7th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その7)

今年の1月から、audio wednesdayで、音を鳴らしている。
オーディオシステムのセッティングはもちろん、
かける曲も私が選んでいる。
つまり自分で聴きたい曲、
言いかえれば、その場に一緒にいる人たちに聴いてもらいたい曲をかける。

リクエストにも応じているが、
リクエスト曲以外は、音楽として聴きたい曲である。

こんなあたりまえのことをいまさら書くのは、
オーディオショウのブースによっては、
本当に、この人は、この音楽が好きなのか、
聴きたいと思ってかけているのか……、
そんなふうに感じることが、けっこうある。

私がそう感じているだけで、かけている人はそうじやない、というだろう。
それでもこんなことを書いているのは、
その人の好きという感情(のようなもの)が、
まったく伝わってこないからだ。

その人自身から伝わってこないだけでなく、
鳴っている音(音楽)からも伝わってこない。

そうでない出展社のブースもある。
でも、そんな出展社のブースも、毎年変わらずある。

Date: 7月 5th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その6)

今年のインターナショナルオーディオショウは、
会場側の都合で7月開催なわけで、
暑い時期に……、と思ったりもするが、
学生はちょうど夏休みに入っている。

今年のインターナショナルオーディオショウは、
若い人たちの来場が増えるのだろうか。
増えてほしいし、
はっきりと誰の目にも明らかなほどに増えるのであれば、
これから先、夏休みの時期に開催もあるようになるのか。

Date: 6月 22nd, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その5)

今日からOTOTENなのだが、今年は行けそうにない。
引っ越しの準備もあるけれど、引っ越しがなかったとしても無理。

オーディオショウなんて──、という人は少なくない。
行ったところで、いい音が聴けるわけでもないし──、
そんなことを言う。

その気持もわからないでもないが、行けば楽しい(というか楽しめる)わけで、
たとえ二時間程度であっても、時間がとれれば行くようにしていたけれど、
今年はそれすら無理。

(その2)で書いているが、
ハーベスの輸入元がエムプラスコンセプトからサエクコマースにかわっている。

ハーベスも、聴きたかったモノの一つだったけれど、聴けずじまい。

Date: 5月 12th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その4)

(その1)で、今年のOTOTENには、
ジャーマン・フィジックスの輸入元のタクトシュトックが出展しないようだ、と書いた。

5月9日の時点でも、出展社のところに、タクトシュトックの名はない。

6月8日、9日、
京都オーディオフェスティバルが開催される。
こちらにタクトシュトックは出展する。

昨年のショウ雑感(その7)で、
2024年のOTOTENでは、
オーディオショウとしては初めて、
ジャーマン・フィジックス(ベンディングウェーヴ)とMQA、
この組合せの音が鳴るのかもしれない──、と書いたが、
少なくとも東京では聴けそうにない。

そのかわり京都では聴けるのだろうか。

Date: 4月 22nd, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その3)

ラ・フォル・ジュルネのウェブサイトを見ていたら、
逸品館が5月3日から5日までの三日間、
東京国際フォーラムのガラス棟G404で、
LFJで体験しよう! ハイエンド・オーディオの世界」というイベントを行うという。

どんな試聴イベントなのかは、
リンク先からさらに逸品館のサイトに行けばPDFでわかる。

応援したくなるような企画だ。

Date: 4月 20th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その2)

ハーベスの輸入元が、
エムプラスコンセプトからサエクコマースに4月1日づけで移管になった。

ハーベスの輸入元がかわる、というウワサは耳にしていたから、
サエクコマースなのか、という程度で驚きはないのだが、
エムプラスコンセプトは、どうなるのか……、とちょっと思ってしまう。

2003年からハーベスだけを取り扱ってきた会社だ。
会社を畳むのだろうか。
そんなことをおもったりするのだが、
サエクコーマスになったことで、OTOTENで聴けるようになるはずだ。

Date: 4月 12th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その1)

今年のOTOTENの詳細が先日発表になった。

出展予定企業・団体が、そこで公開されているが、
4月10日現在で、ジャーマン・フィジックスの輸入元のタクトシュトックがない。

あくまでも4月10日現在での、ということなのだから、
後日、ここにタクトシュトックの名が加わるのかもしれないが、
そうならない可能性だってある。

開催まで、約二ヵ月。
どうなるのだろうか。

Date: 11月 13th, 2023
Cate: ショウ雑感

2023年ショウ雑感(その17)

今年のインターナショナルオーディオショウで、
同じ曲を対照的な音で聴くことができた。

フェーズメーションとオルトフォンジャパンのブースで、
石川さゆりの「天城越え」である。

初日の金曜日、オルトフォンジャパンのブースで、
年内発売予定のオルトフォンのSPU GTEでの「天城越え」だった。

私がオルトフォンジャパンのブースに入った時は、
発売予定のMASTERCUT RECORDSがかかっていた。

そのあとで、SPU GTEに切り替った。
できればMASTERCUT RECORDSをSPU GTEでかけてほしかったけれど、
レコードは別のものだった。
そのうちの一枚が石川さゆりの「天城越え」だった。

このアナログディスクは、ステレオサウンドから発売されている45回転のLP。
誌面でも巻末の広告でも取り上げられているから、ご存知の方、
すでに入手して聴いている、という方も少なくないだろう。

私はまったく関心がなかったので、
あっ,これがあのディスクか、という程度だった。

それでも鳴ってきた音は、
なんといおうか、どこかのナイトクラブで石川さゆりが歌っている──、
そんな光景が浮んでくる鳴り方だった。

オルトフォンジャパンのブースは、どちらかといえば暗くしているブースだった。
スピーカーシステムはTAD、パワーアンプはアキュフェーズ。

国産ブランドの組合せで、こんな雰囲気を感じさせる音が聴けることも意外だった。
その意味で、私にとって、今回のインターナショナルオーディオショウで聴いた音で、
いちばん印象に残っている。

オルトフォンジャパンの音がいちばんよかった、というわけではなく、
印象に残っている、ということだ。
MASTERCUT RECORDSの音(カートリッジはMC Diamondだったはず)よりも、
SPU GTEでの「天城越え」のほうが、私にとってはそうだった。

Date: 11月 7th, 2023
Cate: ショウ雑感

2023年ショウ雑感(その16)

「告白」を聴いたのは初めてだった。
だから冒頭で電話のベル音が鳴るのを知らなかった。

Audio Necの電話のベルは、どきっとするほどリアルに感じられた。
そして聴いているうちに、録音スタジオのマスタリングルームでは、
こんな感じで鳴っているのではないだろか──、
そんなことをおもっていた。

モニターオーディオのPlatinum 300 3Gでのベル音は、
二度目ということもあって、どきっとすることはなかった。

順番だけのことではないはずだ。
Platinum 300 3Gで「告白」を聴いて、Audio Necで聴けば、
やはりAudio Necのベル音にどきっとしたように思う。

Platinum 300 3Gは、家庭での良質の音という感じを受けていた。
どちらが優れているスピーカーシステムということではなく、
家庭で音楽を聴くということ、
そのことをあらためて考えさせられる対照的な鳴り方をしていた。

「五味オーディオ教室」で読んだことも思い出す。
     *
 音を聴き分けるのは、嗅覚や味覚と似ている。あのとき松茸はうまかった、あれが本当の松茸の味だ——当人がどれほど言っても第三者にはわからない。ではどんな味かと訊かれても、当人とて説明のしようはない。とにかくうまかった、としか言えまい。しかし、そのうまさは当人には肝に銘じてわかっていることで、そういううまさを作り出すのが腕のいい板前で、同じ鮮魚を扱ってもベテランと駆け出しの調理士では、まるで味が違う。板前は松茸には絶対に包丁を入れない。指で裂く。豆はトロ火で気長に煮る。これは知恵だ。魚の鮮度、火熱度を測定して味は作れるものではない。

オーディオ愛好家は、耳で考える
 ヨーロッパの(英国をふくめて)音響技術者は、こんなベテランの板前だろうと思う。腕のいい本当の板前は、料亭の宴会に出す料理と同じ材料を使っても、味を変える。家庭で一家団欒して食べる味に作るのである。それがプロだ。ぼくらが家でレコードを聴くのは、いわば家庭料理を味わうのである。アンプはマルチでなければならぬ、スピーカーは何ウェイで、コンクリート・ホーンに……なぞとしきりにおっしゃる某先生は、言うなら宴会料理を家庭で食えと言われるわけか。
 見事な宴席料理をこしらえる板前ほど、重ねて言うが、小人数の家庭では味をどう加減すべきかを知っている。プロ用高級機をやたらに家庭に持ち込む音キチは、私も含めて、宴会料理だけがうまいと思いたがる、しょせんは田舎者であると、ヨーロッパを旅行して、しみじみさとったことがあった。
     *
たしかに、この二つのスピーカーの音には、このことを思い出させる違いがあった。
どちらが優秀ということではなく、どちらが好ましいのか。
そういう聴き方もある。

Date: 11月 7th, 2023
Cate: ショウ雑感

2023年ショウ雑感(その15)

ナスペックのブースで、
モニターオーディオのPlatinum 300 3G担当の女性スタッフの方は、
最初に「私の好きな曲ばかりかけます」と前置きされた。

ジブリ作品が大好きということで、「もののけ姫」も鳴らされたし、
推しということで、福山雅治の歌もかけられた。

そんなふうに進んでいった。
別項で「好きという感情の表現」を書いているけれど、
そのことを考えていた。

ナスペックの男性スタッフも、他の出展社のスタッフも、
基本的には好きな音楽をかけているのではないのか。

好きな音楽のなかから、
そこでのアンプやスピーカーなどの特色を活かしてくれそうな曲を選ぶ──、
そうおもいたいけれど、実際にはほんとうに、このスタッフは、この曲が好きなのだろうか、
と疑問に感じることが多い。

好きという感情をストレートに出すことにためらいがあるのか。
だとしても、なんらかの感情は伝わってきそうなものな……。

男性らしさ、女性らしさ、などという。
でも人それぞれなのだから、男性(女性)らしさということよりも、
性別に関係なく、人はみな違うということであっても、
オーディオショウでの選曲においての女性らしさとは、
好きという感情を素直に出してくれるところにある、と私は思っている。

この女性スタッフは途中で、竹内まりやの「告白」を鳴らされた。
「告白」はAudio Necでのプレゼンテーションで最後にかけられた曲であり、
アンプ、CDプレーヤーなどがまったく同じ条件で、
スピーカーシステムだけがAudio NecからPlatinum 300 3Gに替わったのだから、
比較試聴という意味での選曲だった。

「告白」を鳴らし終ったあと、「やはりずいぶん違いますね」といわれた。
価格がPlatinum 300 3GとAudioNecとではずいぶん違う。
だから、かなりの違いがあって当然なのだが、
とはいえAudio Necの鳴り方が、必ずしも好ましいとはいえないところも感じていた。