ダイヤトーンのDS1000は、レスポンスに優れたという意味では優秀なスピーカーといえる。
クセのまったくないスピーカーとはいわないが、
特に目立った大きなクセはない。
これはレスポンスの良さを追求した結果であろう。
その意味で、DS1000はスピーカーを鳴らす基本を身につけるための道具としては、
相当に優秀といえる。
オーディオマニアとしての腕。
それを身につけ磨くためには、何が必要なのか。
まず道具が要る。
オーディオのシステムである。
特にスピーカーシステムは重要といえる。
そしてひたすら鳴らして込んでいくわけだが、
オーディオはどうしても、いわば独学となってしまうことが多い。
リスニングルームという個室で、ひとりで音を追求していく。
誰かのリスニングルームに行き音を聴き、
自分のリスニングルームに来てもらい音を聴かせる──、
ということをやっても、実際の音の追求はひとりでの作業であり、
その作業において、誰からに見られているわけでもないし、
誰かのその作業をつぶさに見ているわけでもない。
私は使いこなしについてきかれると、
セックスにたとえる。
たとえが悪いと眉をしかめる人もけっこういるが、
どちらも密室での行為である。
誰かのセックスという行為を、
最初から終りまで傍らでじっと見ていたという経験を持っている人は、ごくわずかだろう。
他人のセックスという行為を見る機会はまずない。
アダルトビデオがあるとはいえ、あれは一種の見せ物としての行為であり、
あそこでの行為のすべてを、実際の行為への参考とするわけにはいかない。
結局相手の反応をみながら、身につけていくというところは、
オーディオの使いこなしもセックスも同じ行為と考えている。
つまり、どちらもひとりよがりになる、という点も共通している。