Date: 3月 22nd, 2014
Cate: レスポンス/パフォーマンス
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一年に一度のスピーカーシステム(その5)

ダイヤトーンのDS1000というスピーカーシステムについて、一言で表現すれば、
いまでは「レスポンスに優れた」という。

帯域バランスがどうなのか、については設置やチューニングでかなり変化してくる。
だからDS1000はこういう帯域バランスといったようなことは言いにくい面をもつ。

耳につく音域がある、という人もいるのは知っている。
けれど、それはほとんどの場合、DS1000を含め、アンプやプレーヤーの設置、調整の不備によるものである。

以前も別項で書いたように、こういった不備に対してDS1000は容赦ないところをもつ。
他のスピーカーシステムだったら、そこまではっきりとは音として提示してこないようなところまで、
聴き手に音で提示してくる。

その不備がどこにあるのかを見極め、少しずつ調整をつめていく作業による音の変化も、
DS1000はきちんと反応し、音として出してくれた。

これほどレスポンスのいいスピーカーシステムは、当時他にはなかった。
つまりDS1000は、打てば響く、といえる。

この面白さは、オーディオの使いこなしのあれこれに目覚めたものにとっては、たまらないものだ。
私は井上先生のDS1000の試聴取材に何度か立会えたことで、その面白さを直に味わえ、その過程に昂奮もした。

にも関わらず、DS1000を欲しい、と思ったことはない。
DS1000が現行製品だったときに、その理由について深く考えることはなかった。

いまになって、理由を考えている。
結局のところ、DS1000はレスポンスに優れたスピーカーシステムではあった。
けれど、音楽を聴くスピーカーシステムとしてのパフォーマンスに優れたスピーカーシステムであったのか、
というと、ここには疑問を感じてしまう。

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