日本のオーディオ(DIASOULのこと・その5)
このことはダイヤソウルだけに言えることではなく、ごく小規模のオーディオメーカーほぼ全てに関係してくることだ。
ダイヤソウルの製品は修理ができるのか、である。
ぴあ分室のDIASOUL.AIのウーファー用のアンプとシステム全体の専用ネットワークは、
すでに書いているように大阪のMさんによって置き換えられている。
より良いモノに置き換わっているともいえる。
オリジナル至上主義の方からすれば、この時点でけしからん、となるだろうが、
ダイヤソウルという会社もなく、設計者も亡くなられているのだから、
内蔵アンプ、専用ネットワーク、どちらも不具合が生じていたのだから、
私もMさんと同じように何かに置き換える。
エレクトロニクス系は、まだいい。
けれどスピーカーユニットが破損したら、どうするのか。
同じようなスピーカーユニットが手に入るだろうか。
修理不能となる可能性が高い。
このようなことは、ダイヤソウルと同じ規模のオーディオメーカーにもいえる。
メーカーはあっても、古い機器となると修理を、そのメーカーでは受け付けてくれなくなる。
製造中止になって、けっこうな時間が経過しているのならば、仕方ない。
けれどダイヤソウルのようにわずか数年で会社が倒産してしまったら──。
そんなことを心配していたら、モノは買えない、という声はある。それもわかる。
それほど高価でなければ、まあいいだろう。
だがペアで一千万円するモノが、修理不能になってしまうのは、購入した人ならば、納得いかないだろう。
このことはダイヤソウルだけの問題ではない。
完全な安心など、ないわけだが、それでもと思う。
日本には、ほぼ個人でやっているオーディオメーカーがいくつかある。
主宰者が亡くなってしまうと、どうなるのか。
エレクトロニクスの機器であれば、回路図と基板のパターン、部品一覧表といった情報を、
例えばオーディオ協会に預ける、というのはどうだろうか。
そのオーディオメーカーがなくなってしまった時に、修理のために、
必要な、そういった情報を預かっていたオーディオ協会が公開する。
これだけのことでも、修理にあたる人にとっては、役立つ。
売るだけではなく、そろそろこういったことも考えて、
そのためのシステムづくりをやる、そういう時期になっていると思う。