ケーブル考(その10)
マークレビンソンのML12とML11のペアは、
はっきりとローコスト化を謳っていたし、そのための電源共通化でもあった。
その印象がなんとなくではあっても、
パワーアンプからコントロールアンプへ電源を供給する方式を採用している製品は、
どこか妥協しているような感じを受けなくもない。
特に、それまでのマークレビンソンの製品ラインナップからすれば、
ML12とML11は商業主義に堕落した──、そう受けとられても仕方なかった。
それでも、いまここで書いている視点からML12とML11を眺めてみれば、
一転して興味深い存在となる。
欲しい、とはおもわないにしても、
もし聴ける機会があるのなら、ケーブルに関する実験をあれこれやってみたい。
これでケーブル交換にともなう音の変化量が、仮に小さくなったとしよう。
どうなるのかは、やってみないことにはわからないにしても、そうなったとしよう。
その結果をどう受け止めるか。
ML12とML11は、マークレビンソンの製品としては安価なのだから、
性能もそこそこであろう、だからケーブルの音の違いが出にくい──、
そういう捉え方もできる。
コントロールアンプの電源をパワーアンプから供給する製品は、国産にもあった。
ラックスキットのコントロールアンプA3300である。
1976年当時、45,800円だった。
A3300の電源は、同じくラックスキットのパワーアンプ、A2500かA3500から供給できる。
A3300を含めていずれも管球式で、
A2500は6RA8のプッシュプルアンプで出力は10W+10W、価格は42,100円、
A3500はEL34のプッシュプルで出力は40W+40W(UL接続)で、価格は64,500だった。
A3300がマークレビンソンのML12と違う点は、外部電源A33が別売で用意されていたことだ。
つまりA2500もしくはA3500から電源を供給した状態でのケーブルの比較、
A33を使って電源を独立させた状態でのケーブルの比較、この実験が行なえる。
この二つの比較試聴で、どういう結果が得られるのか。