宿題としての一枚(その13)
この項であげてきたディスクは、
なんらかのかたちで、そこで鳴っていた音を聴いての宿題としての一枚なのだが、
同じような経験を持っていない人も少ないない。
それでも──、とおもうところはある。
たとえば菅野先生録音の「THE DIALOGUE」。
なんらかのかたちで、菅野先生が鳴らされた「THE DIALOGUE」を聴いたことがある人は、
どのくらいいるのだろうか。
その音を聴いていない人にとっては「THE DIALOGUE」は、
宿題としての一枚とはならないのか、といえば、けっしてそうではない。
ステレオサウンド別冊「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」の試聴を読んでほしい。
この別冊での試聴ディスクは、三枚。
ヘンリック・シェリングとイングリット・ヘブラーによる
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの第七番。
シルヴィア・シャシュのドラマティック・オペラ・アリア集、
そして菅野先生録音の「THE DIALOGUE」である。
なので個々のアンプの試聴記(鼎談)に、
「THE DIALOGUE」がどう鳴ったのかが、けっこう具体的に語られていたりする。
すべてのアンプの試聴記に「THE DIALOGUE」のことが必ず出てくるとはかぎらないが、
かなりの数のアンプで、具体的に語られている。
これらをまとめて読めば、アンプによって「THE DIALOGUE」のドラムスとベースの音が、
どんなふうに変り、どんなふうになるのが「THE DIALOGUE」なのかもつかめる。