電源に関する疑問(バッテリーについて・その2)
一ヵ月ほど前、古くからの友人のKさんと電話で話していた。
その時、バッテリーのことが話題になった。
Kさんが立ち会ったある録音現場でのこと。
ノイマンのコンデンサーマイクロフォンの電源を、
本番の前に、フル充電のバッテリーに交換しておこう、としたら、
止められた、とのこと。
バッテリーの残りは、約半分。
そのくらいからが音がいいから、そのままの状態で、ということだったそうだ。
40年くらい前の話である。
そのころから、録音の現場(すべてではないだろうが)では、
電池の残りが少なくなってきたほうが、音がいいということは常識であった。
つまり一次電池、二次電池、どちらも同じなのだ。
AC電源かDC電源か。
どちらが音がいいのかは、人によって違っている。
絶対的に電池(DC電源)だ、という人もいるし、
いや、AC電源(商用電源)の方がいい、という人もいる。
電池といっても、さまざまな種類があるから、
どの電池でも音がいい、というわけではないし、
商用電源は外部からの影響を受けるから、これも一概にはいえない。
私としては、電池ならば、音がいい悪いよりも、
常に安定した状態の音が得られる、と期待していた。
つまり商用電源のように、どこかにつながっているわけではないから、
外部からの影響はない。
これは、ひとつの安心感である。
もちろん電池の劣化はあるものの、
商用電源が外部からうける影響の度合と変化にくらべれば、
それはある程度コントロールできる範囲でもある──、
そう思っていた。
けれど電池は減ってきた状態の方が、音がいい──、
このことは電池もまた別の意味で不安定な電源である。