電源に関する疑問(その1)
チョークことについて、すこしふれたので、つづけて電源について書いていこうと思う。
チョークを採用した電源には、コンデンサーインプット方式とチョークインプット方式がある。
簡単に説明すると、コンデンサーインプット方式は、
整流回路(整流管、整流ダイオードで構成される)のすぐあとに平滑用のコンデンサーがあり、
そのあとにチョークが直列に挿入される。
チョークインプットは、整流回路のすぐあとにチョークが直列にはいり、その出力にコンデンサーがある。
つまりチョークに入る位置が異るともいえるし、最初にはいるコンデンサーの位置が異るともいえる。
どちらがオーディオ用として優れているかといえば、チョークインプット方式だと思う。
電圧波形を見るかぎり、コンデンサーの容量が充分にあれば、リップルはほぼ抑えられる。
けれど、電圧波形ではなく、電流波形をみると、
チョークを使った電源でも、コンデンサーインプット方式とチョークインプット方式では、
大きな違いがある。電流供給能力が高く要求されるパワーアンプにおいては、
チョークインプット方式に分があるといえる。
REPLY))
チョークインプットは直流分がコイルに多くかかりので、磁気飽和でインダクタンスが下がります。
直流重畳分を考慮し磁性材料やギャップ、防振対策を含めた設計になっている物がチョークインプットを明記している製品です。
シングルアンプですとチョークは必需品ですが、プッシュプルのアンプの場合、リップルは上下逆位相で打ち消されるので有っても無くても残留ノイズは大して変わらない。
殆どのプロ用機材はチョークコイルなど付け無いのが普通。重要視しているのは瞬間的な大音量に対する即答性と直進性の様です。ギターアンプが最たる例でしょう。
電流変動の殆どないA級動作では問題にならないのですが、AB級やB級の様に音声信号により常に電流が変動しているなアンプの場合、電圧も常に変化すると言う問題に突き当たります。三極管ではリニアに出力が上がらないだけですが、ビーム管や5極管の場合スクリーングリッド電圧も下がり波形はノッチングする、出力が設計予定の出力が全く出ないと言う事になります。
AltecやRCA等の高級クラスの高出力アンプではチョークインプットが普通です。
Westrexのカッティング用アンプも電源はチョークインプットで、SG電圧は定電圧放電管を二段重ねして安定化。電流変動による電圧低下から解放されリニアで安定した出力が得られると言う事になります。
そこで、一番気になる音はどう違うのか?となりますね。
コンデンサー入力の音が早く明るい音質から、中間にチョークを挟むと音のタメが出て来て声等が生々しくなる傾向、チョークインプットにすると、どっしりと地に足が着いた音質と言うのが私の印象です。
随分とアンプは作りましたが、個人的にはチョークインプットの音が一番好きです。
しかし、電圧は一気に下がりますので、全く同じ回路、同電圧、同電流値で比較しないと音質の差異は語れません。比較するとなると電圧タップの沢山ある電源トランスが必要になるし、コンデンサー入力の場合、容量の違いによる違いもあるので一概には語れないのが難しいところです。
また、直熱整流管やダイオードを使った場合、傍熱管がヒートアップするまでの間、電源トランスの電圧表示の1.5倍くらいの電圧がドーンと掛かりますので、他のコンデンサーや球等、部品の耐圧には十分考慮する必要があります。整流管を含めたヒートアップ時間を考慮した設計は必要と思います。
普通のコンデンサー入力用のチョークを使うと唸り音が酷い事になり悲惨な目に合う事は確実。
チョークインプット用と明記されたものを使ってください。明記されていませんがタムラの4000番シリーズは大丈夫でした。
挑戦するだけの音の価値はあります。頑張って下さい!