日本のオーディオ、これまで(OEM・その2)
スピーカーのエンクロージュアも日本製である例がいくつかある。
よく知られるところでは、タンノイのオートグラフとGRFである。
タンノイが手間がかかりすぎるということでやめてしまったエンクロージュアの製造を、
輸入元のティアックがタンノイの承認を得て、日本で始めた。
イギリス製から日本製へと変ったことであきらかになったのは、
タンノイにはオートグラフの図面は存在しなかった、ということ。
そのためティアックではオリジナルのオートグラフを一台分解している。
木工の専門家が分解することで、
図面だけではわからない構造と材料についてのノウハウがわかる。
結果としては図面がなかったことが、
オリジナルに近いモノを製造できることにつながったはずだ。
図面だけでつくられたモノはコピーなのかもしれない、
こうやってオリジナルを分解して、という作業を経たモノはレプリカなのかもしれない。
このへんのことはステレオサウンド別冊「世界のオーディオ」タンノイ号に載っている。
ヴァイタヴォックスにも国産エンクロージュアのモノが、
輸入元の今井商事から販売されていたこともある。
オートグラフにしてもヴァイタヴォックスにもしても、
ティアック、今井商事がユニットとネットワークを輸入して、
国産エンクロージュアに組み込む作業を行って出荷していた。
こういう例は、そんなにないものだと、その頃は思っていた。
カートリッジと違い、スピーカー・エンクロージュアはサイズが大きく違うためである。
あるスピーカーに関しては、ある時期から国産エンクロージュアになった、という話をきいた。
エレクトロボイスのSentry IVBである。
ちょうどその頃だったか、
エレクトロボイスが、Patrician 800を復刻した。
Patrician 800だけにとどまらず、Baronet、Aristocrat、Regencyも続けての復刻である。