QUAD 405への「?」(その2)
ステレオサウンド 38号でのQUADの405の音についての、
井上先生と山中先生の対談は次のようなものだ。
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山中 この405については、アンプの話題の中にも含まれているので、ここではその音を中心に話を進めていくことにしましょう。実際に鳴らしてみて、驚いたのは今までのQUADというのはどちらかというと暖かみという比うょげんのできる、逆にもう一息ぬけが悪いというイメージがあったのが、このアンプでは、すっかり変ってしまった。ここにあるJBLモニターを鳴らした場合、とてもイギリスのアンプでドライブしているとは思えない、JBLのモニターアンプで鳴らしているようなシャープネスと、加えてものすごくナイーブな音を聴かせてくれたのは驚異でした。
井上 物理的な100Wのパフォーマンス以上の音量感とエネルギー感があります。少なくともQUADから、こういう音が出るとは夢にも思わなかったことです。
かつてJBLがコンシュマー用のプリアンプとパワーアンプをつくったころのSE400を最初に聴いたときの印象と似ていて非常にびっくりしましたね。
山中 これが非常にコンパクトなアンプとして感性しているわけでしょう。それでJBLのスピーカーをフルにドライブしている。JBLをきりきり舞いさせるような音を出すということができるんですね。
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38号は、1976年春号だ。
この六年後に私は405をきちんと聴いている。
私の405の印象は、38号に書かれている印象とは違っている。
六年も経てば、アンプの進歩は早い。
周りが変っているだから、405の印象もそれにつれて変っていても不思議ではない──、
そう思おうとしても、405以前に、
SAEのMark 2500、GASのAmpzillaなどは登場していた。
それらの音の印象と照らし合せてみると、
どうにも38号での語られている405の音の印象と、私が抱いた音の印象とは、
かなり違っているところ(ズレ)がある。
確かに38号の音の印象であれば、
「コンポーネントステレオの世界 ’77」で、黒田先生が、
LNP2+Mark 2500よりも511+405で4343を鳴らしたい、という気持もわかる。
ここで思い出すのが、瀬川先生が43号で書かれていることだ。