Date: 8月 18th, 2018
Cate: re:code
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re:code(その7)

ステレオサウンド 52号のオーディオ巡礼では、岩竹義人氏のリスニングルームを、
五味先生は訪問されている。
この回は「オーディオ巡礼」には収められていない。

その理由はわからぬわけではない。
けれどこの回は、
ハイ・フィデリティ・リプロダクションとは? について、
五味先生はどう捉えられているのかを知る上でも重要である。

終り近くで、こう書かれている。
     *
 このあと、フランクのヴァイオリン・ソナタをはじめはギトリスなる私の知らぬ人の演奏で、次にスークで、それからフェラスとバルビゼ、最後はオイストラフとリヒテルで聴いた。これが充分聴けたのだからそうわるい音なわけはないが、コンクリートホーンでヴァイオリンはやっぱり無理な感じは最後まで否めなかった。どうかするとヴァイオリンが二提もしくは三提で弾かれているようにきこえる。拙宅でも、以前にも述べたようにヴァイオリンがヴィオラかチェロにきこえることがある。だが弦の響きで胴が大きくふくらむものの楽器そのものは一つだ。岩竹氏のコンクリート・ホーンではそれが、まったく別の位置で演奏されるヴィオラやチェロにきこえる。つまりフランクの〝ピアノ三重奏曲〟イ長調ってわけだ。岩竹氏は以前、たとえばタンノイはどんなヴァイオリンの音色もすべて同じで、まさに白痴美の音だと申されたことがある。至言かもわからない。しかし、ヴァイオリン・ソナタがピアノ三重奏曲にきこえるのがどうして原音に忠実なのか。岩竹氏の人柄を心から好もしく私はおもうだけに、敢えてこれは言っておきたい。あなたは間違っている、今のスピーカーを先ず捨てなさい、即刻ウェスターンあたりに替えなさい。美しい再生音とは、どんなものかを、そしたら会得なさるはずだと。
     *
ヴァイオリン・ソナタがピアノ三重奏曲にきこえる。
それはモデリングがうまくいっていないからと捉えることができる。

私にとってオーディオの出発点となった「五味オーディオ教室」には、
《いま、空気が無形のピアノを、ヴァイオリンを、フルートを鳴らす。 これこそは真にレコード音楽というものであろう》
と書いてあった。

つまりモデリングであり、リモデリングであり、
ここにおいて五味先生はハイ・フィデリティ・リプロダクションを目指されているし、
MC275とMC3500の違いについて書かれている五味先生の文章は、
私にはレンダリングの違いというふうに読めるわけだ。

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