Date: 8月 29th, 2025
Cate: アナログディスク再生
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Westrex 10Aのこと(その8)

ウェストレックスの10A、ノイマンのDST。
これらのダイレクトカップリングのカートリッジの音を思い出すと、
私の頭の中に時々浮かぶのは、圧電型カートリッジの可能性である。

私が小さいころ、いわゆるステレオがある家庭は少なかった。
ステレオがない家庭にあるレコード再生のための機器は、
卓上型プレーヤー、ポータブルプレーヤーと呼ばれていたモノである。

フルレンジのスピーカーが搭載されていて、ターンテーブルプラッターは、シングル盤サイズ。
手軽に持ち運びできるように蓋を閉じると持ち手がある。
ケースはプラスティック製。

オーディオマニアからすれば、いい音が出てくるはずはない、と、それで終ってしまうであろう作り。

中学生のころ、中を見たことがある。アンプ部は、小さい基板一枚で構成されていた。
モノーラル再生のみなので、基板にはOPアンプ(それも一つ)だった。

どうみてもイコライザー回路はない。
MM型、MC型といった速度比例型ではなく、振幅比例型の圧電型カートリッジを採用しているため、アンプはこれ以上は無理というほどに簡略化されている。

本格的な音は、鳴ってこないが、声だけは活き活きと鳴っていた、と記憶にある。
当時の圧電型カートリッジは高性能は期待できないレベルとはいえ、この発電方式ならではの良さは少なからずあったのではないのか。
そんなことを時々思うことがある。

そんな時代と現代とでは、いろんな素子が改良されて良いモノになっている。
圧電型カートリッジは、可能性はどうなのか。
圧電型カートリッジは、ダイレクトカップリングに向く。当時は破損しやすかったため、カンチレバーが必要だったが、現代の圧電素子ならば、どうだろうか。

1 Comment

  1. 8月 31st, 2025
    REPLY))

  2. 手元にある、音楽之友社『ステレオのすべて 1964年版』(1963・昭和38年12月発行)では、岡田諄さんが、「市販されているステレオ電蓄のほとんどがクリスタル型カートリッジを使っていることは皆さんも御存知でしょう。クリスタル型といっても、いろいろなステレオ電蓄でおききのように、かなり優れたものもあり、全部のものが悪いとは決して言えません。また、本質的にも悪いものではないのです。リオンのCS-7Aのように、カートリッジ単体として作られた製品はステレオの左右の分離もよいし、音質的にもなかなか捨て難い味を持っています。」と書かれています。

    イコライザーアンプを組み込んだLSIが、単体フォノイコライザーやレコードプレーヤーに組み込まれている物しか見たことがなく、クリスタル(圧電)型は言葉で知るのみです。
    「圧電型カートリッジは、可能性はどうなのか。」という一文を読み、実物を見たこともない、リオンのカートリッジから出てくるレコードの音を想像しています。

    1F

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