私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その7)
東京に来て、最初に買ったオーディオ機器はSMEの3012-R Specialだったことは、
すでに何度か書いているし、ステレオサウンド 62号の編集後記にも書いている。
しばらく3012-R Specialだけが、手持ちのオーディオ機器だった。
そのころ、ターンテーブルはどれを組み合わせる、
そのことばかり考えていた。
3012-R Specialを思い切って買うきっかけは、
瀬川先生による新製品紹介記事であり、
そこではマイクロのSX8000との組合せだった。
なので、音だけで選ぶならSX8000なのだが、
そう簡単に買えるモノではないし、それにカッコイイわけではなかった。
3012-R Specialにふさわしいのは、どれなのか。
ガラードの301なのか、トーレンスのTD124なのか。
どちらにしようか、かなり真剣に考えてもいた。
心はかなりTD124に傾いていた。
TD124にロングアームは、さほど似合わないのはわかっていても、
TD124単体のまとまりの良さは、なんとも魅力的だった。
そんなことを先輩編集者のSさんと話していたら、
TD124の程度の良いものがあるよ、と教えてくれた。
かなり心は動いた。
結局、トーレンスの101 Limitedを買ってしまい、
TD124を自分のモノとすることはなかった。
それでもTD124を、どこかで見かけるたびに、
やっぱりいいなぁ、と思う。
いま私のところにはTD224がある。これでいい。
TD124への憧れのようなものは、ほぼ消えていった。
そんなところへ、昨日、TD124が動かないから、来てみてほしい、と連絡があった。
今日、行ってきた。
電源が入らないTD124がある。
電源から辿って一つひとつチェックしていって、
割とすんなり動くようになった。
気になる異音もない。
とはいっても完全な状態とはいえないので、
後日また手入れすることになるが、
静かにまわるターンテーブルプラッターを眺めていると、
あらためてTD124はいいなぁ、と思っていた。
今回のTD124は、124IIではないから、
製造されてけっこうな年月が経っているにも関わらず、
動き始めると何事もなかったように、
年月など関係ないように動作しているのをみると、
基本がしっかりしたモノは、すごいとしか言いようがない。
TD224を、まじめにメンテナンスしよう。