2023年ショウ雑感(その17)
今年のインターナショナルオーディオショウで、
同じ曲を対照的な音で聴くことができた。
フェーズメーションとオルトフォンジャパンのブースで、
石川さゆりの「天城越え」である。
初日の金曜日、オルトフォンジャパンのブースで、
年内発売予定のオルトフォンのSPU GTEでの「天城越え」だった。
私がオルトフォンジャパンのブースに入った時は、
発売予定のMASTERCUT RECORDSがかかっていた。
そのあとで、SPU GTEに切り替った。
できればMASTERCUT RECORDSをSPU GTEでかけてほしかったけれど、
レコードは別のものだった。
そのうちの一枚が石川さゆりの「天城越え」だった。
このアナログディスクは、ステレオサウンドから発売されている45回転のLP。
誌面でも巻末の広告でも取り上げられているから、ご存知の方、
すでに入手して聴いている、という方も少なくないだろう。
私はまったく関心がなかったので、
あっ,これがあのディスクか、という程度だった。
それでも鳴ってきた音は、
なんといおうか、どこかのナイトクラブで石川さゆりが歌っている──、
そんな光景が浮んでくる鳴り方だった。
オルトフォンジャパンのブースは、どちらかといえば暗くしているブースだった。
スピーカーシステムはTAD、パワーアンプはアキュフェーズ。
国産ブランドの組合せで、こんな雰囲気を感じさせる音が聴けることも意外だった。
その意味で、私にとって、今回のインターナショナルオーディオショウで聴いた音で、
いちばん印象に残っている。
オルトフォンジャパンの音がいちばんよかった、というわけではなく、
印象に残っている、ということだ。
MASTERCUT RECORDSの音(カートリッジはMC Diamondだったはず)よりも、
SPU GTEでの「天城越え」のほうが、私にとってはそうだった。