Date: 9月 24th, 2022
Cate: 選択
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オーディオ機器を選ぶということ(再会という選択・その9)

再会したいスピーカーといえば、やはりロジャースのPM510である。
PM510はII型も出ているけれど、これを改良モデルとは私はいいたくない。

PM510の音を高く評価していない人は、II型の音を改良された、と評価していた。
けれど、PM510の美点が、ほぼきれいさっぱり洗い流されてしまったかのように、
当時PM510を鳴らしていた私の耳には感じられた。

つまらないスピーカーになってしまった……、
これが私の正直な感想だった。
けれど世評は必ずしもそうではないことも、わかっていた。

瀬川先生が長生きされていたら、PM510の日本での評価も変ってきた──、
とは、だから思えない。
きっと瀬川先生も、II型の音は評価されなかったはず、と思っている。

ステレオサウンド 56号のPM510の記事を何度も読み返したことがある人ならば、
きっとそう思うであろう。

優婉な音。PM510の音は、まさにそうだった。
こんな低音では、ジャズのベースは聴けない──、
そういっていた人がいた。

そうだろうな、とは思っていたけれど、それがどうした! とも思っていた。
この人もII型の音のほうを高く評価していた。

PM510の中古は、一度だけ見たことがあるだけ。
それほど売れたスピーカーではないのだから、中古も出回らないだろう。

私が見たことがあるPM510の中古は、かなりくたびれていた。
PM510は長年使っていると、
ポリプロピレンコーンとエッジとの接着が剥れてしまうことがあるらしい。

ロジャースは、チャートウェルを買収して、LS5/8を出し、
そのコンシューマー版のPM510を出してきた。

ポリプロピレンコーンはチャートウェルが特許を取得していた。
その特許の内容は、どうも接着に関すること、と以前きいたことがある。
確認したわけではないので、はっきりとしたことはいえないが、
確かにポリプロピレンの接着は、当時は困難なことだった、らしい。

なので接着が剥れてしまうのも、しかたないのかもしれない。

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